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4月9日 その⑬

 

「では、前半戦も終わりましたね。トイレ休憩などを挟みましょうか?」

 マスコット先生が、皆に問う。俺達6人は皆、首を振った。


「智恵、貴様はトイレに行かなくてもいいのか?愛する栄の聞きたくない情報を聞いて、失禁してしまうのではないか?」

 森愛香が、智恵に対してセクハラを行う。


「───私は、栄君のこと、信じてるから」

 智恵は、キッと森愛香のことを睨む。


「ほう、面白い。まぁ、妾はとっとと妾のどんな情報が公開されるか楽しみだからな。早く妾のターンになるのならば、なんだっていい!」

 森愛香はそう言う。


「では、ゲームを続行しようと思います。森愛香の情報①───」


 後半戦がスタートする。4人目の森愛香のターン。


「───両親は仕事をする上で、政治家に根回ししている」


「親か...」

 俺はそう呟く。森愛香の顔に泥を塗る情報ではないが、自らの生まれを馬鹿にするような暴露。


「おい、マスコット」

「なんですか?」


「貴様...」

 森愛香の腕がプルプルと震えている。怒っているのだろうか。今にもマスコット先生に殴り掛かりそうだ。と思ったら───


「貴様、妾の親について何か知っているのか?それなら、どんな情報でもいい!妾に教えろ!」

「「「───はぁ?」」」


 予想外すぎる、森愛香の答えに俺らは素っ頓狂な声を出さずにはいられなかった。ただ一人、森愛香がそう答えるかのように見越して座っていた森宮皇斗を除いては。


「両親のことは、両親自身から聞いてください」

「聞けないだろう?この高校、どうやって抜け出すのだ?自主退学とかできるのか?」

「はい、できますよ?」


「「「え?」」」

 ゲーム参加者、そして傍観者から聞かれる驚きの声。


「退学や転校してはいけないなんて、言いましたっけ?」

 マスコット先生は首を傾げる。


「えぇ、退学や転校できるんですか?」

「はい、できますよ。その代わり、もうこの高校には戻ってこれませんし、一般受験・推薦も確実に取れませんが」

「───じゃあ...」


「退学するも転校するも書類を書いてもらうこととなります。どうして、転校するかの理由ですね。具体的には教育理念が自らとは合わなかっただったりですかね?」


 要するに、誰でも転校できると言うことになる。そうすれば、誰も死なずに生き残れることが───


「しかし、その書類は我々と貴方達の保護者も目を通します。そして、両方に承諾が出なければ卒業できません」

「───なぁ...」


 帝国大学に行くのを諦めて、まともな生活をすればいい。


 ───だが、デスゲームのことを言ってしまうときっと親に書類は届かない。


 それに、確実に帝国大学に行けないとなったら、プライドが高い親なんかは許してもらえないだろう。


「実質的に転校は無理...じゃないか...」

 転校できるという文言は、ただの飾りだったと言うことを知る。だが、一縷の望みを賭けて紙を書くというのも一つの手だ。


 俺は小さくため息をつく。見つかった望みが、物凄く小さいことを知った。


「両親のことは、卒業するまで聞けない...そういう事だな?」

「まぁ、最悪そうなりますね。もしくは、死んで聞けないかもしれませんが」

 マスコット先生はそう言って笑う。


「クソ、会ったこともない両親が金を渡してるだとか、知るか」

 森愛香はそう言い放つ。


「親は何をやってるんだ?」

「知らん。だが、何かの社長らしい。金を送ってくれただけだ。何の感謝もない」

「そうなのか...」


「───もしかして、森グループの社長か?」

 傍観者から見ていた一人の少年───西村誠が問う。


「あぁ、そうだ」

「「「なっ!」」」


 クラス全体に走る激震。


 森グループとは、日本では知らない人はいないとも言われる企業だ。キャッチコピーは「ミサイルからお寿司まで」で、日常生活で森グループの製品を見ない日は無いとも言われている。


 皆が利用している、電気も森グループが作った発電所だとされているし、食べている米だって、森ブランドだとされている。


 その娘がデスゲームに参加していた。


「妾の実力なれば、一般受験だろうと合格できるのにも関わらずこの学校に入れられたわ。もっとも、親しき友なども前の学校にはいなかったから問題は無かったのだが」

 森愛香は、一人そんな事を述べる。


 そう、俺らの頭脳があれば一般受験だろうと楽々合格できるのだ。では、何故こんなデスゲームの会場となる高校に来てしまったのか。


 俺ならば、育ててくれた叔父の金銭面を心配して。


 他にも、いじめから逃げるためだとか、養育するのが面倒だからとか、多種多様な理由はあるのだろう。


 ───この学校にさえ来なければ、普通の人間として生活していた人だっているはずだ。


 俺も、デスゲームになるくらいなら無理言って一般受験をした方が───、


「栄...」

 ふと、隣から智恵が声をかけてくる。心配そうな目で、こちらを見ている。


「栄、大丈夫?何か、怖い夢でも見ているような顔をしていたよ」

「あ、あぁ...大丈夫だ」

 俺はそう述べた。この学校に来なければ、きっと智恵には出会えなかっただろう。なら、よかったのかもしれない。


「静かになりましたね。では、情報②───」

 マスコット先生が静かになったのを見越して声を出す。転校などの新事実が判明したが、やはり驚くべき情報は入ってくる。





「───親はデスゲームの運営に関係している」




 森愛香の情報

 ①両親は仕事をする上で、政治家に根回ししている

 ②親はデスゲームの運営に関係している

 ③???

 ④???

 ⑤???

『スクールダウト』

情報の公開される順番 津田信夫・森宮皇斗・宇佐見蒼・森愛香・池本栄・村田智恵

現在 森愛香 情報②の開示

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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