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4月9日 その⑨

 

 ルーレットの結果が出る。選択肢は「情報③生徒会に所属している」と「情報④精神病院に通っていたことがある」の2つだ。


 結果は───


 ④



「───ッ!」

 ギリギリ。本当にギリギリのラインで「情報④」となった。もし、これが「情報③」だったならば、生徒会かどうかの真偽はわかったはずだ。


「2つ連続で④の『精神病院に通っていたことがある』になりましたか...そんなに④が好きなんですか?」

 マスコット先生はそんな事を言っている。そして、すぐに真面目な雰囲気になり───


「では、真偽を発表します!でけでけでけでけでけ...」

 マスコット先生の口によって、情報④の真偽は───


「情報④精神病院に通っていたことがあるはリアル!」


 俺のタブレットには赤色の「◯」が浮かび上がった。やはり、画面の右端ではマスコット先生の被り物がカービィのように生首から手足が生えた状態で乱舞している。これは、毎回なのだろうか。


「───やった...」

 隣で、嬉しそうな声が聞こえる。俺がそちらの方を───智恵の方を見ると、目があった。智恵は、ニコリと笑う。可愛い。まるで、天使のような笑みであった。


 ───そして、情報④はリアルであった。本当であった。


 だが、本当だからと言って森宮皇斗の昔話が、事実かどうかは限らない。しかし、大事なのはそこじゃない。

 大事なのは、俺がまず1ポイント獲得できたことが大きいのだ。


「生徒会かどうかはわからなかったピョン...」

 宇佐見蒼は何に入れたのだろうか。と、思ったがきっと彼は「情報⑤」に入れたのだろう。情報④は真偽が公表されていて、「生徒会に所属している」に入れた人たちも正解不正解はわかるはずだ。


「そうだな、先程は多数派に投票したからタブレットにうざったらしい×が浮かび上がったが、今回は情報④に入れていないから、ムカつくマスコットの変顔しか映っていない」

「森愛香さん。どこに、投票したかだなんて言わないでくださいよ?」

「何故だ?別にいいだろう?」

「よくないですよ。誰が入れたかバレたらわざわざ少数と、同数を開示していない理由になってないじゃないですか」


「───そうか...しょうがない。妾が悪かった。一応、謝罪しておく!申し訳なかった」

 森愛香は、懐から金色の扇子を取り出し自らを仰ぎながら謝罪する。「一応」の謝罪だからか、謝罪の意は感じられないし、謝罪の「し」の字も感じられない。


「───全く、森愛香さんはしょうがない子ですね...」

 マスコット先生は小さくため息をつく。

「ですが、いつまでその余裕を保っていられるでしょうか?その傲慢な顔が、涙で埋もれるのを楽しみにしていますね」


 マスコット先生は、そう言って笑った。


「ですが、森宮皇斗君の次は宇佐見蒼君。まだ、森愛香さんのターンではございません」

「ボクの番だピョン!身ぐるみ剥がされちゃうの、恥ずかしいピョーン」

 宇佐見蒼は、そう言うと、自らを抱く。


 男だが、女のようにキレイな宇佐見蒼。いつもは語尾に「ピョン」と付けているがその本性(メイク)は、いつ剥がれるのだろうか。


「では、宇佐見蒼の情報①───」

 マスコット先生が、そう言うと本戦参加者・傍観者含めて静まり返る。皆、集中しているのだ。


 どんな噂が流れてくるのか、どんな過去が知れるのか。衝撃に身を備える者、衝撃を楽しみにしている者、自分は無関係だとスマホを見ている者。


 傍観者をチラリと見る。俺の方を見ているのは、稜や健吾・純介であった。智恵は、紬や梨央・美緒に見られている。


 ───と、俺を睨むような鋭い視線を向けていた人が2人いる。それは、歌穂と裕翔であった。


 歌穂の視線が鋭いのは、付き合っているという誤解に巻き込まれているからだろうか。誤解の原因は、そっちのせいなのだが。

 そして、裕翔には殴り合いで勝利しポイントを奪い取ったという事実がある。故に、恨まれているだろう。

 と───、


「───両親はウサギだ」


「「「は?」」」

 教室全体に響く、教室全体の驚きの声。素っ頓狂な声が広がる。絶対に(ブラフ)


「───な、な、な...なんでそれをぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 突如として、大声を上げるのは宇佐見蒼。1拍ずれて大きな声をだした。


「バ、バ、バレたピョン?どうしてピョン?わからないピョン!」

 本人は至って迫真の演技なのだが、これは確実に嘘だとわかっている。両親がウサギな訳がない。


「どうしてピョン?パッピーとマッミーがウサギだなんて...誰にも言ってないはずだピョン!」

「しつこいぞ、バカウサギ。静かにしろ」


「───って、演技ってバレてたピョン?」

 宇佐見蒼は、「テヘペロ」をする。


「愚問だな...」

「流石に私でもこれは嘘ってわかるよ...」


「いやぁ、楽しいピョンねぇ。取り乱したフリをするのは。ね?津田信夫きゅん!」

「そ、そうやな!え、演技は楽しいな!ガハハハハ」

 津田信夫は、嘘をついている。その証拠に、目が泳いでいた。きっと、津田信夫は嘘が下手───いや、きっとではなく実際に嘘が下手だ。


「では、次に行きましょう。情報②───」


 ふざけた情報で始まった宇佐見蒼の情報公開。続いてやってくる情報②は、これまた驚くべきものであった。









「───彼女を殺した」

『スクールダウト』

情報の公開される順番 津田信夫・森宮皇斗・宇佐見蒼・森愛香・池本栄・村田智恵

現在 宇佐見蒼 情報②の開示

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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