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4月9日 その⑩

 

 おふざけた宇佐見蒼の情報①の後、ちゃんと疑念を持たれるであろう「彼女を殺した」という情報が出る。


「───彼女を...殺した?」

 宇佐見蒼の可愛らしい顔なら、彼女が昔にいたからと言って何もおかしくはない。


 今、顕になっているドス黒い正確など、猫を被ればいくらでもごまかせる。もっとも、ウサギのフリをしているのだが。


「な...なんで...なんでそれを知ってるピョン?」

 宇佐見蒼の表情が変わる。焦燥。驚愕。憤怒。複雑な感情が混ざりあった、複雑な声色。


「───バレてるピョン?そんな...そんな!」

 宇佐見蒼の手が小刻みに震える。呼吸が浅く、多くなっている。


「どうしてピョン?彼女を...彼女を殺したって...どうして...」

 宇佐見蒼の焦り。これは、本当なのだろうか。


 津田信夫は、情報①が出された途端、青褪め喚き否定をした。宇佐見蒼はどうだろうか。


「この情報は、真実...なのか?」

「なんで...なんでピョン?そんな...誰にもバレてないはずなのに...」

「せ、せや!宇佐見蒼は彼女を殺したんや!」

「ち、ち、ち、違うピョン!ボクは、ボクは殺してないピョン!」


 宇佐見蒼は涙目になる。そして、ウルウルとした目をぶりっ子ポーズをしながら津田信夫に向ける。

 その瞳には、どこか余裕と嘲笑が感じられた。


 ───と言うことは、この情報は嘘で宇佐見蒼の迫真の演技と言う事か?


「ボクは...ボクは悪くないピョン!」

 宇佐見蒼はブルブルと首を振る。そして、同情してもらうかのように傍観者の方を見た。


「ボクに人が殺せるかのように見えるピョン?こんなにか弱いボクは人なんか殺せないピョン!」

「───では、ここで情報③を」


 珍しく、沈黙していないのにマスコット先生が「情報③」の開示を切り出す。


「情報③───」

 皆、情報を聞き取ろうと沈黙する。傍観者に向けて話しかけていた宇佐見蒼も、自分事だからかしっかり耳を傾けている。


「───デスゲームならば、人を殺してもいいと思っている」


「───ッ!」

「ほら、きっと彼女も殺したんや!」


「な、な、な...なんでそれを知ってるピョン?」

 どこか、既視感のある宇佐見蒼の反応。


「───バレてるピョン?そんな...そんな!」

「ぁ」


 俺は、気付く。これは、繰り返しだ。


 ───宇佐見蒼は、全く同じ反応をしている。だから───


「「お前は次に、{どうしてピョン?デスゲームならば...デスゲームならば人を殺してもいいなんて...どうして...}と言う!」」


 俺の声は、森宮皇斗と被る。森宮皇斗も、俺と同じ予想をしたのだ。そして───


「どうしてピョン?デスゲームならば...デスゲームならば人を殺してもいいなんて...どうして...」


 正解(コレクト)


 予想が当たった。宇佐見蒼は、全く同じ反応を繰り返している。これが、宇佐見蒼の作戦。


 津田信夫の時のように、1つだけわかりやすく驚いてしまえばそれが「真実」だと言うことは明白。ならば、真実でも嘘でもなりふり構わず驚いていれば、どれが「真実」かは判別が付かない。


 津田信夫と森宮皇斗の情報を見て、知られたくない過去や思想・自らの置かれている立場などが真偽塗れた状態でバラ撒かれることがわかっていた。


 森宮皇斗のように、悠然と何を来ても驚かないという方法も良かった。だが、微弱な変化が出る可能性はあった。知らず識らずの内に、癖が出ている可能性もあったのだ。


「───って、どうしてボクの次に言おうとした言葉がバレたピョン?」

「お前の言う言葉は、全て同じだった。情報①であり得ないほどに驚いていたから突っかかったのだ」


「───バレたピョンか...」

「───議論の余地は無いな。何度も何度も同じ反応を見せられるだけ癪だ」

 森愛香はそう呟く。


「でも、キャラは通さないといけないピョン...とっとと同じ反応をして終わらせようピョン...」

「なんだ、そのこだわりは?」

 森愛香が、隣に座る宇佐見蒼のことを不審そうな目で見る。


「んじゃ、マスコット先生。情報④を頼むピョン!」

「わかりました!情報④───」


 どんな情報が来ようと、宇佐見蒼は絶対に同じ反応しかしないだろう。きっと、彼の中でそう決めたのだ。


「───これまで、いじめられていた」


「な、な、な...なんでそれを知ってるピョン?」

 やはり、さっきと全く同じ反応。情報は、宇佐見蒼の過去に関連することだった。


 宇佐見蒼の性格でいじめられることは───どうだろうか。


 語尾にピョンを付けているし、ぶりっ子をしている。可愛がってもらおうとしている性格だ。

 クラスの一軍の傍らにいてもおかしくない気もするし、いじめられていてもおかしくない気もする。


「───バレてるピョン?そんな...そんな!」

 宇佐見蒼の顔が、やはりみるみる青褪めていく。そして、片手で頭を抱えてもう片手で机を抑える。


「どうしてピョン?いじめ...いじめられていただなんて...どうして...」

 ここの言葉は毎度改変されているが、構文としては同じだ。この程度の差異なら、読み取ることくらい簡単だ。


 宇佐見蒼の情報

 ①両親はウサギだ

 ②彼女を殺した

 ③デスゲームならば、人を殺してもいいと思っている

 ④これまで、いじめられていた

 ⑤???

『スクールダウト』

情報の公開される順番 津田信夫・森宮皇斗・宇佐見蒼・森愛香・池本栄・村田智恵

現在 宇佐見蒼 情報④の開示

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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