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王国戦争 その①

 

 ──『死に損ないの6人』。

 ドラコル王国に現存するレベル85超えの実力者の総称で、その全員が王国戦争に参加したとされる。


 第34代『剣聖』マルクス・シュライデン。

『死に損ないの6人』の筆頭でありドラコル王国を代表する最強である彼は、勇者に協力する形で王国戦争に参加して『魔帝』の用意した歴代『剣聖』と対等以上に渡り合った。

 魔法の才能に恵まれなかった彼は、持ち合わせた剣の才能と猛者へ向ける情熱でレベル99にまで達していた。


 第12代『魔帝』グエス・シャガール。

 第13代『魔帝』園田茉裕。

 勇者の裏切者である彼女はグエスを殺した後、『神速』に協力する形で王国戦争に参加した。

 数々の勇者と渡り合いその戦場を荒らした後に、『焦恋魔』村田智恵の手で葬られ、『魔帝』の称号は有耶無耶となる。


『神速』カエサル・カントール。

 一代にして財を築き、ドラコル王国までもを手に入れようとした強欲者。

 綺麗事を並べて王国戦争を正当なものにしようとしたが、その実態は『羅刹女』に唆されて自らが地位や財産を手に入れるために戦っていたが、美緒と誠の弓使いを前に敗北した。


『無敗列伝』アルグレイブ・トゥーロード。

 無運ながらも実力だけを頼りに数々の地獄を乗り越えてきた戦士。

 勇者の獲得を理由に、王国戦争の参加という凶行に出た『総主教』アポロ・クラバス・ホーキンスと相討ちになり命を散らした。これにより、『総主教』の地位を代々受け継いできていたホーキンス家の跡取りが不在となり、次なる『総主教』の地位を決める争いがドラコル教の中で勃発し、そこに漬け込んだニーブル帝国も乱入したことで大戦争が起こることとなった。


『古龍の王』鼬ヶ丘百鬼夜行。

 プラム姫を誘拐した先代『古龍の王』と戦い無傷で勝利したうえで、先代を地下牢に幽閉した。

 そして、自らが『古龍の王』の地位に立ち王国戦争を続行し勇者一行に立ち向かう判断をするものの、敗北。

 出自不明の彼は、第13代『魔帝』と同じ異世界転移してきた勇者の裏切者だとされているが、王国に彼を召喚した記録は残っていない。


 彼が死亡した際、もう既に龍種は全滅していたため『古龍の王』の地位は撤廃された。

 そのため、地下に幽閉されていた『古龍の王』は、その二つ名を理由に『王の古龍』と呼ばれることとなった。


 ──そして、最後の1人が『羅刹女』。

 長らく正体不明とされていたが、その存在だけは噂されていた。

 満を持してその姿を現したのは、王国戦争にて『古龍の王』鼬ヶ丘百鬼夜行が殺された後だった。

 その正体は、当時ドラコル王国の王女であり、『古龍の王』に誘拐されていたプラム姫。


 プラム姫はドラコル王国の王都を滅ぼした後に設置する新政府が正当性を示せるように誘拐されたわけではなく、自分の意思で付いて行ったのだ。

 いや、この説明さえも不正解だ。正確に言えば、誘拐を偽って『古龍の王』と合流して王国戦争に参加していたのだ。


 王城に住むプラム姫が、どう外部と接触していたかは不明ではないが、王国の資料を見ると王国戦争の後に当時大臣だったマスカットという男が処刑されているのがわかる。マスカット大臣の関与があったと考えていいだろう。


 そんな、『羅刹女』は反乱軍の最終兵器、隠し種として百鬼夜行が死亡するまで檻の中に入っていた。

 百鬼夜行が討伐された後、正体を明かしたプラム姫は疲労が限界に達している勇者一行と戦う事を選択したのだ。


『羅刹女』は神をも味方につけたと噂されていたが、彼女がどうして王国戦争を策謀したのかの理由は明らかになっていない。

 彼女は王位継承権がなかったので「女王になりたかった」という考察が有力なものとされている。


『羅刹女』の宣戦布告を持って、終焉に向かおうとしていた王国戦争は再度華麗に燃え盛る。

 勇者一行に挑もうとする影は、後3つ残っていた──。


 ***


「サカエさん、ご友人に助けられたからと言ってハッピーエンドになるなんて思っていたら大間違いですよ」

 プラム姫がいつもと同じ笑顔を浮かべながらそんなことを口にするので、俺は驚いてしまった。


 これは何かの冗談ではないのか、そう訴えたくなるほどに信じられない発言が地面に着地したプラム姫の口から飛び出た。実際、自分の耳を疑った。だから俺は、声をかける。


「プラム姫、何を言ってるんですか?冗談はよしてください。帰るまでが遠足ですよ」

「帰るまでが遠足──ですか。随分と的を得ている言葉ですね。はい、帰るまでが遠足ですよ。アナタ達だって、こんな敵地の真ん中で安堵していい理由にはならない」


 その言葉と同時、プラム姫の懐から2本の扇が出てくる。そして、その扇を振るい縦に──


「──んなっ……」

 俺達の立つ地面を斬り、この部屋の入口への道を断絶させる。

 彼女の持つ扇は、剣以上の鋭さと殺傷力があることを理解するには容易な一撃だった。


 彼女こそ、王国戦争を掲げて王国に謀反を企てる『死に損ないの6人』の3人目──『羅刹女』。


「ここまで来てくださりありがとうございます。皆様、死んでください」


 ──勇者一行と『羅刹女』プラムとの戦いが、無慈悲にも始まろうとしていた。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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