4月9日 その①
───4月9日。
俺は、今日は5時半にしっかりと目覚めた。昨日は疲れていたから長く寝てしまったのだろうか。
「今日は本戦か...頑張らないと」
スマホを見ると、今日の0時0分0秒に「連絡用グループ」にマスコット先生から連絡が来ていた。
マスコット先生「明日の本戦、参加者が決定しました。予選で敗退してしまった皆さん、お疲れ様でした。そして、本戦に進出した皆さん、おめでとうございます。本戦でも是非、頑張ってください。以下の6人が本戦に進出した人です」
その下には、池本栄・森宮皇斗・森愛香・村田智恵・津田信夫・宇佐見蒼の6人の名前が書かれていた。この順番はきっと、予選で獲得したポイントの順番だろう。
「智恵も本戦に出れたんだ...」
美緒達が、俺と話す機会をくれた。本戦が、どのようなゲームかは知らないが共に共闘しようとは思えた。
「───よし、頑張ろう」
───そして、突っかかりができてしまう。
「俺と智恵の両方が出るなら...どちらかは確実に1位にはなれない...」
智恵を勝たせてやりたいが、俺は美緒や稜からポイントを託されている。
「うーん...どうしよう...」
俺は智恵と、美緒や稜を天秤にかける。どちらかがポイントを得るには、どちらかが落ちるしかない。
「───いや、考えるのはやめよう。あくまで、狙うのは1位。智恵だって、俺を踏み台に1位になることは願っていないだろうし」
俺は、そう思い朝の準備をして稜達3人と共に学校へ向かう。それは、いつもと同じ7時45分だった。
「おはよー」
今朝の教室は、特に乱闘やイザコザなどは起こっていない。今日は、極めて平和だった。
「あ、栄じゃん!本戦出場おめでとう!」
そう声をかけてくれたのは、俺の後ろの席の岩田時尚だった。
「あ、ありがとう」
「いやぁ、本戦に出るって凄いね。だって、この教室の上位6分の1になったってことでしょ?」
「まぁ...そういう事...かな?」
俺は、小さく頷く。でも、これは皆の力だったのでクラスの上位になったような気はしない。
───そして、俺はその後時尚の駄弁に散々付き合わされた。
特段、俺の利点になるような会話ではなく、俺とは一生無関係そうな、昔に海の藻屑となった艦隊の話をさせられた。
「はい、おはようございます!」
そう言って、教室に入ってきたのはマスコット先生だった。時尚も話をやめて、マスコット先生の方を見る。
教室には、しっかりと智恵の姿があった。少し、安堵しつつ俺は先生の話に耳を傾けた。
「本日は4月9日!今日は何の日かわかりますか?」
マスコット先生が皆に問う。
「第2ゲームの本戦だピョン!」
「はい、それもそうですがもう1つ大切な日です!なんと、本日4月9日は東堂真胡君の誕生日です!おめでとうございます!」
宇佐見蒼の答えを軽く受け流し、真胡が誕生日であることを伝える。
「そうだったのか...」
「皆さん、おめでとうの拍手を!」
拍手喝采。皆は、東堂真胡の誕生日を祝う。真胡は少し恥ずかしそうにしながら「ありがとうございます」とお礼を言った。
「誕生日、祝ってもらえるのか...いいかもな」
「うん、そうだね」
俺は、健吾にそう言われたから返事をする。
「そうだ、栄の誕生日はいつなんだ?」
「俺?俺は10月26日だよ。健吾は?」
「オレは10月18日。結構誕生日、近いんだな」
「そうだね」
そんな話をする。そして、俺は再度マスコット先生の会話に耳を傾けた。
「さて、話は戻して本日は4月9日。今日は、第2ゲーム『スクールダウト』の本戦です!毎週金曜日にやる小テストの代わりとして、本日は行います!故に、優勝者には5万コインが授けられます!」
マスコット先生は手を叩く。
「───そして、本戦出場者は内心心臓がバクバク言っているでしょう!ここで、本戦のルールを説明します!」
ここで始まった、本戦のルール。
「予選とはルールがガラリと変わるので、耳の穴かっぽじって聞いてくださいね!」
マスコット先生は、そう言うと何かを取り出した。
「まず、皆さんにはじゃんけんをしてもらい1番から6番の順番を勝者から順に決めて行きます!一番、じゃんけんが強い者が好きな番号を選べますね!」
じゃんけんで順番を決める。このじゃんけんで勝ったほうがいいだろう。選択肢は多いほうがいい。
「そして、1番から順にこんな物がでます!」
先生の手に持たれていた1枚の少し厚いダンボール紙。そこに書いてあったのは5つの情報だった。
1.このクラスは3年Α組である
2.出席番号1番は安土鈴華である
3.全ての人間には翼がある
4.2と3は嘘である
5.生徒会は最低2人だ
「この5つの情報。2つは本当ですが、3つは嘘の情報───ダウトです!今回の場合は、本当のことが書かれているのは1番目と4番目ですね!」
2.出席番号1番は安土鈴華である ×
解説:このクラスの出席番号1番は秋元梨花である
3.全ての人間には翼がある ×
解説:私(マスコット先生)には翼は生えていません!
5.生徒会は最低2人だ
解説:生徒会は最低3である
「───と言う感じで、5つの情報が出てきます!皆さんは、そのうち1つを選択して2つある真実を選んでください!」
「───てことは、2つの内のどちらかの真実を当てればいいってことか?」
俺は、そう確認する。
「はい、そうです!一番投票数が多かった情報は真偽が公開されます!このゲームで、嘘が『嘘ではない』とされることはないです!全て、嘘か真か正しく述べます!」
「───面白いな...このゲーム」
「このゲームは自分以外の5人の嘘を当てます!最大で5ポイント!最終的にポイントが多い人が勝利となります!頑張ってくださいね!」
先生はそう述べた。
「あ、5つの情報はこちらが用意しておきましたので!」
そして、白板にこんな紙を貼る。
第2ゲーム『スクールダウト』本戦のルール
1.生徒1人付き2つの真実と3つの嘘、合計5つの情報が提示される。
2.情報が提示された以外の5人は、5つの情報の内、真実だと思うもの1つに投票する。
3.投票したものが、真実ならば1ポイント。嘘なら0ポイント。
4.投票数が一番多かった情報のみ、真偽が発表される。発表されなかった物に関しても、真実であれば投票者にはポイントが入る。
5.このゲームにおいて棄権は許されない。もちろん、本戦辞退も禁止とする。
6.棄権or辞退をした者がいた場合、その人は死亡とする。
7.ポイントが一番多かった者が優勝者とする。
8.投票数が被った場合、ルーレットでどちらか1つのみ情報の開示とする。
「───これが、全てのルールですので!」
───こうして、第2ゲームの本戦『スクールダウト』が幕を開けた。
───希望と絶望に塗れたこのゲームを制するのは誰だ。
やっと、スクールダウトの本戦が書ける...
喜びを噛み締めて栄達を苦しめます。





