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4月2日 その⑤

地図のところが、雑。

 

 俺達は、廊下に出る。この学校で行ったことがあるのはこのクラスだけだ。


「この棟は、A棟と呼んでいます。隣の棟がB棟ですね。A棟とB棟を繋ぐ、上から見ると正方形のスペースがありますが、そこは直角にカーブするためのデッドスペースとなっております」

「デッドスペースなら、説明する必要なくね?」


「A棟の1階は、下駄箱しかないですし2階は私達の教室と空き教室が4つです。ここにいても話すことはないので、3階に行きましょう!」

 マスコット先生の案内で、俺達は階段を登り3階にへと向かう。トイレは各階にあるようだ。


挿絵(By みてみん)


「それでは、3階。ここにあるのは、実験室です!物化生地、それぞれの実験室があります!」

 俺達が、3階に到着するとマスコット先生は説明を始めた。


 階段を上がった目の前にあるのが「化学実験室」だった。


「化学実験室では、名前の通り化学で使用するものが大量に置かれています。溶液などはもちろん、個体の金や銀・ビーカーやフラスコなんてものもこちらに完備してあります」

 俺達は、化学実験室に入る。


「皆さん、好きなように実験を行ってください!でも、怪我はないように気をつけてくださいねぇ!」

 先生は、なにかの溶液が入った瓶を取り出す。そこには、H₂SO₄と書かれていた。


 ───硫酸だ。


「例えば、この硫酸。人にかければ大怪我をしますね。危ないのでやめましょう。怪我をしてる皆なんか見たくないですから!」

 デスゲームの運営側が何を言っているんだ。それに「もしかかってしまったら」ではなく「人にかければ」と言ったところからも人にかけることが当たり前かのような言い方をしている。


「まぁ、自由に使っていいですので。それでは、隣の物理実験室に行きましょう」

 俺達は、隣の教室───物理実験室に移動する。


「ここは、物理実験室です。ここも名前通り、物理の実験ができます。定滑車は天井についていますので。首吊りにでも使ってください」

「首吊りって...」

「マジかよ、自殺も推奨するのかこのデスゲーム主催者は...」


 頭がイカれているというか、死に鈍感すぎるというか。どんな死に方を死ねど、「死んだ」という事実には変わりがないから「死に方」には興味がないと言わんばかりの思考をしている。


 ───マスコット先生やGMは何を望んでいるのか。

 ───「真の天才」を作ると言っていたが、その「真の天才」を作るためにデスゲームが必要なのか。


「うーん、わからない...死に方はどうでもいいのにデスゲーム?」

 このマスコット先生の発言がブラフという可能性もある。考えれば考えるほどに謎が増えていく。


「台車や磁石、音や光の実験もこの物理実験室で行うことができますので。まぁ、暇なときにでも遊びに来る程度でいいと思います。慣性の法則の実験でだるま落としなんかもありますし?」


 ”スパコーン”


「危なっ!」


 今、だるま落としの胴の部分が、木槌によって吹き飛ばされて俺の右耳の横を通り過ぎていった。

「誰にも当たらない程度の場所を狙ったので。私のだるま落としに狂いはなかったと」


「栄、大丈夫か?」

「あぁ、ギリギリセーフだったよ」


「それでは、次は隣の地学実験室に行きましょう!」

 先生の、危ない行動はなかったこととされ生徒の文句も聞き入れてもらうことはなかった。

 そして、そのまま隣の地学実験室に移動する。


「そして、こちらが地学実験室ですね。化石も岩も雲発生機も用意できています」

 教室の壁一面に、鉱石が並べられていた。


「え、これダイヤモンドじゃない?」

「こっちはトパーズだ!」

 女子達が、壁を眺めて騒いでいた。


「はい、とりあえず誕生石や有名な部類は集めてあります。ダイヤモンドにアメジスト。ガーネットにトパーズ。ラブラドライトにルビー・サファイア。ファイアレッド───」

「それは、ポケ◯ンのゲームですよ!」

「あら、いけない。そうでしたね。エメラルドや真珠などもありますよ」


「すごいな...」

「あぁ、宝石をこんなに集められる財力があるんだろ?」

「まぁ、寮も凄かったし納得せざるを得ないんだけど...」


「それでは、隣の生物実験室に行きますよ!」

「えー、もうちょっと宝石見てたーい!」


「ぐぬぬ、しょうがないですね...」

 女子からの猛反発で、もう少し宝石を見ていくことになった。


「な、なんか凄いね...」

 宝石を見に行こうとしたが、女子に押し負けた純介が戻ってきた。

「あぁ、キラキラした物が好きってカラスみたいだな」


「あ、あはは、そうだね」

「どうしたんだい?君たち?そんなところでシットダウンして」


「君は───」

 声をかけてくれたのは、杉田雷斗だった。


「僕の名前は杉田雷斗さ、そんなところで座っていないで僕みたいにシャイニングしているジュエル達を見に行かないかい?」

「そう言う、雷斗は見に行かなくていいのかよ?」


「僕が行ったら、僕が眩しすぎてジュエル達が見えなくなってしまうだろう?太陽が輝けるのは、他に輝かしいものが近くにないからさ。僕が宝石に近付いてしまえば、宝石の輝かしさは失われてしまう。そうは思わないかい?」

「そ...そうだな...」


「そろそろ生物実験室に行きますよ!」

 随分とナルシストな杉田雷斗に絡まれつつも、俺達は生物実験室に向かった。



挿絵(By みてみん)

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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