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4月2日 その④

 

 マスコット先生が教室に入ってきたので、全員自らの席に座る。


「お、今日は遅刻している人がいませんね。いいことです」

 そんなことを言いながら、一人マスコット先生は頷いている。


「今日も、ガイダンスですので。───って、明日・明後日は土日ですので休日ですね。今月は()()もないですし...」

「アレって、なんですか?」

 すかさず質問したのは、中村康太だった。


「校則に記載されておりますのでご自身の目で確認してください」

「あ、はい」

 マスコット先生は、そう言った。


「それとですね、生徒会が無事に決まりました。皆さん、拍手!」

 マスコット先生が、教卓の前で一人手を叩いている。俺を含める生徒の皆は手など叩いていない。


「うーん...皆さんノリが悪いですねぇ...」

 誰も拍手をしなかったことに、マスコット先生は頭を擦る。


「と、まぁ。生徒会のメンバーは決まりましたので、本日の17時に生徒会室集合にしましょう」

 集合場所を言ってしまえば、集合前に潜んでいたり盗聴器などを仕込んでしまえば生徒会メンバーがわかるのではないか。こんなモロに言ってしまっていいのだろうか。


「生徒会室の場所も含め、今日の学校ツアーで色々な教室を周りますので」

 マスコット先生は、伝えることを伝え終わったのか、大きく伸びをした。


「教室ツアーは、全員でまとめていきますので、置いてけぼりにならないように気をつけてくださいね」

 先生は、教卓の裏にある椅子に座る。


「あ!言い忘れていた!」

 先生は、座った途端に立ち上がった。先程まで、全て話し終えたような感じをしていたのに。


「先生、ミスが多いな...」

「そうだね、大変なのかな?」

 ハチャメチャな先生に、俺と健吾は小声でこんな会話をしていた。


「伝えていませんでしたね。この学校でのお金のことを」

「お金?」

「はい。この学校では、校則にも書かれている通りコインという単位のお金を使います」

 先生は、説明を始める。


「皆さん、スマホは持ってきていますか?」

「あ」

 俺は、スマホを持ってきていなかった。家に置いてきていたのだ。不用意に持っていって怒られたくなかったし。


「健吾、ある?」

「オレは持ってるよ」

 健吾が、スマホを取り出す。


「え、せんせー。スマホって持ってきていいんですかー?」

 佐倉美沙が、手を挙げて先生に質問する。


「はい、携帯電話───スマートフォンの持ち込みは許可しています。近年、学業でスマホを使っていることも増えていますし」

「やったー、イソスタ見放題じゃーん」


「それで、帝国大学附属高校のアプリを開いてください。あ、ない人は班の誰かにでも見せてもらってくださいね!」

「健吾、見せて」

「あぁ、いいよ」


 俺は、健吾のスマホを見る。健吾のスマホの背景は、健吾と見覚えのない女だった。顔は似ていないから、彼女とかだろうか。


「背景、彼女?」

「まぁ、そうだな。正確には、モトカノだけど」

「え、別れたの?」

「うーん、別れたっていうか...別れざるを得なかったっていうか...」

「え、どういうこと?」


「はい、安倍健吾君、池本栄君。無駄口叩かない」

「あ、すみません」

「ごめんなさい」


「怒られちゃったな」

「うん」

 健吾は、「帝国大学附属高校」のアプリを開いた。


「それで、画面右下の{ショップ}というところを押してくださいね」

 昨日今日と、夕食や朝食を注文したところだ。ちなみに、昨日の昼ごはんはアイスを食べた。


「あ、昨日説明していませんでしたが、ここで朝食や昼食・夕食と調べると日替わりで食事が楽しめますよ!」

「えー、先生!早く言ってくださいよ!」

 そう声を上げたのは、窓際の席の少年───渡邊裕翔だった。


「すみません。まぁ、天才の皆様方ならこの程度気付くかなと思いまして」

 先生が、渡邊裕翔に向かってウインクした。被り物をしているのに顔が動く。


「それで、ショップの画面を開きました?」

 十数人の生徒が頷く。


「それじゃ、画面の右上に金貨のマークがありますね?」

「「「はい」」」

「それが、皆様のコインの所持数です」

 俺の金貨の所持数は0枚だったし、健吾の金貨所持数も0枚だった。


「ちなみに、1枚1円の価値がありますので卒業したら日本円に換金しますので」

「じゃあ、無駄遣いしなければしないほど卒業した時もらえる量が増えるってことか?」


「はい、そうです」

 この「コイン」がクリア賞金という事だろうか。だが、お金を貯める方法がわからない。


「それで、このコインはどうやって貯めるんですか?」

 質問したのは、中村康太だ。


「それはですね、来週から毎週金曜日に行われるミニテストで1位を取ってもらうか、先程言った()()をクリアするか。学校への慈善活動に協力すればコインは稼げます。とにかく、色々な方法がありますよ」

「そうですか、ありがとうございます」


「はい。それで、そのコインは全てスマホで管理します。なので、スマホなんかを盗まれてしまったら、もう怖い怖い」

 マスコット先生は、自らの両頬を自らの両手で押さえた。


「と、まぁコインの説明は今はこの程度でいいでしょう。あ、コインは売店での買い物でも使用しますので」

 コインの説明が終わる。どうして、わざわざ「円」ではなく「コイン」という単位に変えているのだろうか。


「はい、それじゃあ皆さん廊下に並んでください!学校ツアーに行きますよ!」


 ───これから、デスゲームの会場を見て回るツアーが始まろうとしていた。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] コインか。 通貨価値が円と同じなのはペリカより良心的だ。 コインがどうやって貯まるのか、それも気になります。
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