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第四章 第四話 御前試合開始

 しばらく控え室で待っていると、御前試合の関係者と思われる男が部屋の中に入ってきた。


「選手の皆様、長らくお待たせしました。開会式の準備が出来ましたので、こちらの方に来てください」


 ようやく開会式か。結構待たされたな。それにしても開会式とかが一番退屈だよな。


 偉い人は長話をしたがる。しかも長いくせに内容は薄い。学生だったころから苦手だ。


 参加たちが次々と廊下に出て行く。本当なら開会式とかは出たくはないが、対戦相手もそこでしか知れないはずだ。面倒臭いが参加せざるを得ない。


 俺は列に並んで会場へと向かった。


 建物の中を通り、闘技場に出る。するとリングの周りにある観客席から歓声が上がった。


 結構いるな。こんなにたくさんの人から注目されるなんて初めてだぞ。


「アスラン! 頑張ってください!」


「お兄様、ファイトです!」


「アスラン様! お嬢様にかっこいいところを見せてください」


 今、カリンたちの声が聞こえてきたな。どこかにいるのか?


 観客席を一通り見渡すと、俺が入ってきた方とは逆のゲート側に三人の姿を見つけた。


 カリンたちはあそこの席にいるのか。ちゃっかり見やすい場所を確保したんだな。


「それでは選手入場も終わりましたので、これより開会式を始めます。では王様よりご挨拶があります」


 司会進行役の男が開会宣言を言うと、王様が俺たちの前に姿を見せる。


 あー、これから長い話を聞かされるんだろうな。


「諸君、此度は御前試合に参加してくれて感謝する。頑張って勝ち進み、優勝を狙ってくれ以上」


 王様は一言だけ言うと、踵を返して戻っていった。


 嬉しいけど、期待を裏切られたようなこの気持ちは何だ!


「えー、ではこれより対戦相手の発表に移りたいと思います。この箱の中にアルファベットの書かれた玉があります。同じ番号同士の人が最初の対戦相手です。では順番に並んでください」


 司会者の前に並ぶように言われ、俺は列に並ぶ。


 俺は後方を見るとキーファだけは列に並んでいなかった。


 そう言えば、あいつはあんな性格だったな。どんな時も最後を選んで結果だけを知ればいい的な思考だった。


 次々と参加者は箱の中から玉を取り出し、対戦相手が決まっていく。


 おいおい、マジかよ。このままではキーファと一回戦で戦うことにならないか?


「はい、対戦相手が決まりました。では次の方どうぞ」


 俺の前の男が箱の中に腕を突っ込み、玉を取り出す。


「Gだ」


「はい。まだGの対戦相手は決まっていないですね」


 くじを引いた男が離れると、とうとう俺の番になる。


 ついに俺の番か。俺の後ろは後一人、つまり俺は前にいた男と同じ者を取り出さなければ、キーファと当たる可能性が高くなる。


 普通に考えるのなら、俺がキーファと戦うのは決勝になってからだ。


 だけど、原作とは違うことが起きている以上は、確定ではない。


 頼む、キーファと戦うのであれば決勝で戦わせてくれ!


 心の中で神頼みをしながら俺は箱の穴の中に腕を突っ込む。


 そして手に触れた玉を掴むと取り出した。


 ひっくり返して見るも、文字は書かれていない。つまり、手で隠れている部分にアルファベットが書かれてある。


 俺はゴクリと唾を飲み込み、球体を回して反転させる。


「え、Aだ」


「はいAですね。アスラン選手はまだ相手が決まっていませんので、次の選手次第で対戦相手が決まります」


 まだキーファと戦う可能性が残ってしまったか。こうなったら次の男に託すしかない。


 俺は固唾を飲んで結果を見守った。


 男が箱の中に手を突っ込み、玉を取り出す。


「Aよ」


 男の言葉に俺は安堵する。


 良かった。初戦からキーファと当たらなくって。


「はい、それではゲスラ選手はアスラン選手と対戦になります。これで全ての対戦カードが出揃いましたね」


 どうやら俺の初戦の相手はゲスラとか言う男のようだな。


 膨れ上がった筋肉から見て、おそらく格闘家だろう。


 接近戦は危険だな。近付かれる前に倒さないと。


 そんなことを考えていると、ゲスラが俺のところにやってくる。


「あなたが今回の対戦相手ね!」


 対戦相手である俺に挨拶に来たのだろうか? そんなことを考えていると、男は突如顔を赤らめる。


 どうしたんだ? そんなに日差しがキツイという訳ではないから熱中症ってことはないよな?


「なかなかいい男じゃないの! 興奮してくるわ」


 ゲスラの言葉を聞いた瞬間、背筋に悪寒が走る。


 こいつは間違いない。ホモだ!


 そしておそらくこの男は俺の身体を狙っている。


 絶対に接近されては、色々な意味で危ない。


「いい勝負をしましょう。あなたの技であたしを感じさせて」


 ゲスラは俺に手を差し伸べる。


 他の対戦相手も違いに選手らしく握手を交わしている。


 ここで俺だけしないのも逆に目立ってしまうよな。


 俺は恐る恐る彼の手を握る。


 手汗を掻いているようで、やつの手に触れた瞬間に湿り気を感じた。


 普段ならとくに何も感じないのだが、この時に限っては不快に思ってしまった。


「それじゃ、あなたとの勝負、楽しみにしているわ。じゃあね」


 ゲスラはウインクをすると俺から離れていく。


「それでは第一回戦を行う選手以外は一度控え室に戻ってください」


 控え室に戻るように促され、俺はリングから降りると控え室に向かった。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。


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