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第三章 第六話 ざまぁフラグの町へ

 ルドルフ伯爵の亡骸を持って帰り、俺たちは山の中に彼の遺体を埋めた。


「これでよし。クレアさんたちはこれからどうするのですか?」


「エルフの集落がもう一つありますので、避難した同胞たちと合流したら、そちらに向かうかと思っております」


「そうですか。では今から向かいましょう。合流するまでは俺たちが護衛に入ります」


「よろしくお願いします」


 エルフの避難を頼んでいたミレニアたちと合流しようとすると、馬車がこちらにやって来る。


「アスラン様。そろそろだと思い、馳せ参じました」


 怖いくらいにタイミングがバッチリだったな。


「ミレニア、ちょうどよかった。クレアさんたちを連れて行ったエルフたちに合わせる。馬車に乗せてくれ」


「畏まりました」


 馬車の扉を開けると、クレアさんたちは馬車の中に入った。


 広い馬車であったが、セリアが乗ると席は埋まってしまう。


 俺は助手席の方に乗るとするか。


 馬車の扉を閉めて助手席に座ると、ミレニアは手綱を上下に動かして馬に合図を送る。


 合図を受け取った馬は歩き出し、次第にスピードを早めて目的地に向かった。


 体感で三十分ほど経っただろうか。小屋の前に辿り着くと、ミレニアは手綱を引いて馬を止める。


「着きました。ここに女性エルフたちを避難させています」


「分かった」


 助手席から降りると、馬車の扉を開ける。


「着きました。ここに避難していたエルフたちがいます」


 クレアさんに声をかけると、彼女達は馬車から降りる。


「ありがとうございます。アスラン様」


 クレアさんたちは馬車から降りて小屋の扉を開けた。


 その瞬間にカリンが弓を構えていたが、俺たちだと気付くと弓を下ろした。


「クレア様! ご無事でしたか」


「アスラン様のご活躍により、囚われた同胞を救出して参りました」


 エルフたちは互いの無事を喜び、抱き合っていた。


「アスラン」


「カリン、別行動中に彼女たちを守ってくれてありがとうな」


 俺はカリンの髪に手を置くと、彼女の頭を撫でる。


「お兄様、セリアも野盗を倒したのですから、頭を撫でてください」


 カリンの頭を撫でていると、やきもちを妬いたようで、セリアも頭を突き出した。


 仕方がないやつだな。


 俺はセリアの頭を撫でてやると、彼女は気持ち良さそうに目を細める。


 しばらく撫でてやったあと、俺はクレアさんたちを見た。


「これから、クレアさんたちは別のエルフの集落に向かうのですよね」


「はい。アスラン様には本当にお世話になりました。何度礼を言っても言い足りないくらいです。本当にありがとうございました」


 クレアさんが頭を下げると、それに倣って他のエルフたちも頭を下げた。


「俺は当然のことをしたまでですよ」


「アスラン様からのこの御恩は決して忘れません。もし、エルフの力が必要になったそのときは、私たちが力になります」


「ありがとうございます。その時が来たら、クレアさんたちの力を借りますね。では、俺たちはこの辺で失礼します」


 軽く頭を下げて別れを告げると、俺たちは馬車の中に乗り込んだ。


 馬車に乗り、カリンとセリアも席に座ると、馬車が動き出す。


 窓からの風景を見ながら、俺はルドルフ伯爵が使っていた剣型のミミックを思い出す。


 もしかしたら、次はあの男と接触をするかもしれないな。もし俺の予想が当たっていれば、次の町では気をつけなければならない。


 次に起きるであろうイベントのことを考えながら、俺は次の町にたどり着くのを待った。







 クレアさんたちと別れた翌日、俺たちは次の町にたどり着いた。


 荷馬車を預かってくれるところで馬車を預け、俺たちは宿屋を探す。


 えーと、確か原作では町の中央から右側にある道を歩いた先にあるって書かれてあったな。


「とりあえず、町の中央に向かってみるか」


 俺たちは中央に向かって歩く。


「ぐー」


「お兄様、お腹が鳴っていますよ」


「いや、俺じゃ……」


「お兄様、お腹が鳴っていますよ」


 否定しようとすると、セリアが同じ言葉を繰り返した。


 なるほど、今のお腹の音はセリアので間違いない。だけど彼女はお腹が鳴ってしまったことに対して恥ずかしさを覚えたのだろう。


 だから、俺のお腹が鳴ったことにして、昼食を食べに行こうと言っているのだ。


 ここは可愛い義妹のために、お兄ちゃんが人肌脱ぐとするか。


「いやーお腹が空いて鳴ってしまったよ。どこか美味しそうな店に行って昼食にしないか?」


「そうですか。私はまだお腹が空いてはいないのですが、お兄様が空腹で倒れたら大変です。すぐに飲食店を探しましょう」


「あらあら。お兄様も大変ですね」


 俺たちのやり取りを見て、カリンが微笑む。


 さてと、昼食となるとやつが現れるよな。王都で行われる御前試合のざまぁフラグのきっかけとなったあいつが。


 これまでの経験からして、おそらくフラグ成立の鍵は食事だと思う。


 きっと小汚い店であろうと、出店で買っても現れるはずだ。なら、少しでも楽しいひと時を過ごせるような店がいい。


「お兄様、早く行きましょう。倒れてしまうかもしれないですよ」


 そんなにお腹が空いていたんだな。セリアが俺の腕を引っ張り始めた。

フラグのことは一旦置いといて、店を探すか。


 俺たちは街中を歩き、雰囲気のいい店に入る。


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」


「四名です」


「四名様ですね。では。お席まで案内します」


 給仕に案内され、俺たちは中央の席に案内された。


 席に座ると、メニュー表を先にセリアに渡し、先に注文を決めてもらう。


「うーん、こっちとこっちで悩みますね」


「セリアちゃん。わたくしがこっちを頼みます。お互いシェアしましょう」


「さすがカリンさんです。その案に大賛成です」


「ワタシは日替わりにします」


 どうやらメニューが決まったようだな。俺は適当に肉料理を頼むか。


 メニュー表をざっと見て、美味しそうな名前の肉料理を頼むことにした。


 呼び鈴を鳴らして給仕を呼ぶ。


「お待たせしました。ご注文は魔剣ですか?」


 そのパターンは予想の斜め上を行き過ぎだろう!


 注文を取りに来た給仕に、俺は驚かされた。昼食の際に現れると思っていたが、まさか魔剣売りの少年が給仕として現れるとは思ってもいなかった。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。


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