プロ野球選手との淡い恋99
そんな親友だからこそ、内田菜々と交際中は色々心配をかけた。
別れた後はますます心配をしている。
そして、自分のような暖かい家庭を築いて欲しいと、こちらが求めてもいない世話を焼く。
昨年の決起集会はやはりクリスマスの前に行われた。田中が店を決め、いつものメンバーが集まった。
光田は外であまりお酒は飲まない。
酒が弱いと言うわけではない。
気を使っている訳でもない。
最後には何となく酔っ払いの世話係になるが、それは意外な一面を見れて面白い。
それに、田中がとにかく飲むからそれだけで一杯になるからだ。
光田は一次会が終わると、二次会に行くことはあまりない。
プロ野球の世界でベテランになりつつある自分が参加すれば、周りも気を使うだろう。
それは建前で、酔いが回ってグダグダの連中に関わるのはごめんだ。
けれどその日は、田中が嫁がきてるから合わせたいと言った。
数年前の結婚式で会って以来、顔を合わせたことはない。
けれど、合わせたいと言われて無下に断る理由もない。
半ば強引に田中が連れて行った二次会。
嫁だけではなかった。
たまたま来た、嫁の知り合いがずらりと並ぶ。
「たまたまね」と、光田は心で毒づいた。
嫁の知り合いだと言う、例の如く、爪のキレイに色づいた、髪がサラサラの美しさに抜かりない女性たちが並ぶ。
間違いなく美人揃いだ。
光田の登場に女の子たちの目がきらめき、静かに座っている彼女たちが手ぐすねを引いて待っている。
一緒に行った後輩たちは色めきたったが、肝心の光田はその場に倒れそうになった。
「早く帰りたい」
光田の願いはそれだけだった。
それから、「用事を思い出した」なんてつまらない芝居をして全力で帰った。
いや、逃げ出した。
「内田菜々レベルは無理にしろ、相当レベルが高かったぞ。あんなに可愛い子たちなのに、ユウはどんなのがタイプなんだ。言ってくれたら、紹介するぞ」
まだまだ続きそうな田中のお節介に、光田は眉をひそめた。
「田中、勘弁してくれ。紹介なんかされなくても、ちゃんと自分で見つけるから大丈夫だよ。お前の世話にはならないよ」
あの出来事以来、光田は少し警戒していることを島原は知っていたから「安心して下さい」と笑った。




