表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キラキラの向こうに  作者: 矢野あいこ
PR
87/156

プロ野球選手との淡い恋87

「今日は仕事が早く終わります。その後、お邪魔してもいいですか?」


そよからのメールを確認するなり、光田はすぐ返信する。

「もちろんです。いつでもお待ちしてます」

「ご飯を作ってみようと思うのですが、よいでしょうか?」

光田は思わず固まる。

夕飯?

そよの手作り夕飯が食べられる?

「ぜひお願いします」

光田は拝むような気持ちで返信する。

「期待しないでくださいね」

かわいい返信に「かしこまりました」のスタンプを送る。

なんだろ、これ。

どこからともなく溢れてくれる幸せな気持ち。


無意識にニヤついてしまうが、トレーナーの戸波の視線に気づいて小さく咳払いをして、携帯をカバンに放り込んだ。

すっかり、トレーニングの休憩だったのを忘れてしまった。

光田はもう一度、まるで探るように戸波を見た。

戸波はまるで何も見なかった様子で、パソコンになにかを打ち込んでいた。

何人かのプロ選手を手掛ける戸波は、いつも時間が開くとパソコンに向かう。

ニヤけたことに気づいていないようだと、光田は胸を撫で下ろした。

「よし、やるか」

照れ臭さを隠すように声をあげた。


戸波も柴村も、光田に新しい彼女が出来たことは気づいていた。


何だか楽しそうだし、休憩になると携帯を真っ先に確認しに行く。

菜々と交際していた頃の何かに切羽詰まるような、苛立ちはどこにもない。

気持ちがゆったりしていることが伝わる。

病院から退院した辺りから、どうも様子が違うと思っていたから、相手は病院の看護師さんじゃないかと推測していた。

どちらにしても、光田のモチベーションは格段に上がっている。

戸波たちにとっても喜ばしいことだった。


はやる気持ちを抑えて自主練を終えた。

もうすぐ訪れるクリスマスを前に街は賑やかだ。

冷たい風の中を家に戻る途中、光田は花屋で小さな花束を買い家に向かった。


マンションに戻るなりキーをかざして、すぐ自室に戻ることは出来たが、光田はインターホンを鳴らした。

そよも画面で光田の姿を確認する。

「俺です」

「お帰りなさい」

キーが解除された。

エレベーターに乗りながら、そよの「お帰りなさい」が頭の中で何度も繰り返される。

その度に、光田は溢れる笑顔を抑えことが必死だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ