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キラキラの向こうに  作者: 矢野あいこ
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プロ野球選手との淡い恋44

一通り食べ終えて、そよの手が止まった頃、光田はそよへの贈り物を差し出した。

「これ、そよちゃんに」

「え?」

美しい黄色の包み紙でくるまれた物を目の前に、そよは光田と包みを見比べた。

「どうしても、渡したかったんだ」

驚いて受け取ったそよは、包みを持ちじっと見つめている。

「開けてみて」

我に返り、慌てて結ばれたリボンをとき、包み紙を丁寧にはがした。

白い箱を開けると、中にはプラチナの繊細なネックレスが入っていた。

トップには小さく、可憐な花があり中央には小さなキラキラの石が嵌め込まれていた。

「これ、私にですか?」

「もちろん」

驚いた様子のそよに、思わず光田は笑みをこぼす。

立ち上がり、そよの手にある箱からネックレスを取り出した。

そよの背に立った光田は、結んだ髪をよけて静かに首元にネックレスをつけた。

慣れないのか、少し時間がかかったが、首筋に触れた光田の指先は優しくてくすぐったかった。


光田はそよの手を引き、大きな鏡の前に連れて行った。

控えめで、けれど美しい小さな花が胸元で咲いていた。

後ろに立っていた光田は「やっぱり、似合う」と言いながら、そよの頭を撫でた。

そよは、後ろに立つ光田を鏡越しにさえ見ることが出来ないのに、髪を撫でられ心臓が高鳴る。

「光田さん、ありがとうございます」

すると光田は「光田さんじゃなくて、名前で呼んでほしい」と言った。

名前。

そよはそっと鏡越しに光田を見てみると、光田は少し拗ねた顔をしてそよの返事を待っている。

そよは意を決した。

「ゆ、悠也さん。ありがとうございます」

光田は満面の笑みを浮かべて「受け取ってくれて、ありがとう」と言いながら、固まるそよの頬を撫でた。

頬を撫でた手が、あごに触れる。

空を見上げるようなそよに、光田の綺麗な顔が降りてくる。


その時、優しいメロディが鳴り、光田がおもむろに顔を上げた。

「ちょっと待って」

光田は部屋の奥にある受話器を取ると、何かを話していた。

唇に触れることの無かった感触を待ってしまったことが恥ずかしくて、そよは顔を赤らめて俯いた。

受話器を置いた光田が「フロントからで、エントランスに来客があるんだ」と、渋い顔をした。

「あの、お客様でしたら、私はもう帰りますから。大丈夫ですよ」

そよの言葉に光田は慌てて首を振る。

「こっちに用は無いんだ。だから、ここで待ってて。必ず戻るから」

そう言って光田は部屋を出て行った。

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