プロ野球選手との淡い恋30
光田は復帰戦以後、あまりにたくさんの友人、知り合いから電話やLINEが来て空き時間はその対応に追われた。
あまりの連絡の多さに、だんだん事務的な対応になり、終いにはスタンプを返すだけになった。
ショートメールはほとんど見ていなかった。
そよから連絡が来るかもと待っていた初めの頃は、一日何度も確認した。
けれど、来ていないことが分かると気持ちが落ちる。
3週間も経ったころから、だんだん見なくなった。
見なくなったは間違いかもしれない。
そよが自分に関心がなかった事実を目の当たりにするのが怖くて逃げた。
そもそも、知っている人たちは電話やLINEで連絡をくれるし、番号は登録済みだ。
知らない番号からのショートメールは、怪しいものがほとんどだから見なくても困ることはほとんどない。
そんな言い訳をして自分に言い聞かせた。
稲村と会食後、家に戻るなり光田は携帯電話を手に取った。
そよがあのメモを捨てて永遠に連絡がないなら、もう、諦めよう。
稲村がいうように、未練たらしすぎる。
放置されていたショートメールのアイコンを恐る恐るクリックした。
まるで、合格発表を見る学生の気分だ。
沢山の謎メールが届いている。
開けなくても、表記の文面をみればだいたい分かるから、いらないものは削除していく。
暫くして光田は「あ!」と思わず声を上げた。
指先が震えた。
危うく削除しそうになったメールを、光田は開いてみた。
「復帰戦でのホームラン、おめでとうございます。とても感動しました。これからも応援しています 佐野」
そよがメールをくれていた。
光田は時計を見た。
10時だった。
まだ、起きているかもしれない。
光田はショートメールの番号に祈るような気持ちで電話をかけた。
1コール、2コール、3コール、4コール。
遅かったかな。
寝ているのかな。
それとも、自分と分かって出ないのか。
「もしもし」
光田の耳に、ずっと聞きたかったあの声が響いた。




