英雄の碑文
生きる者達よ、彼女を恨まないでくれ......
世界が始まり神々がまだ世界にいた神代。
そこに彼女は生まれた。
彼女はその知恵で人々に恵みを与えた。
神代終わり人と人が争う時代が来た時、彼女は再び目覚め第二の生を謳歌しようとしたが、時代と世界がそれを許さなかった。
絶体絶命のとき
彼女は友、子、親、国民、部下、兵士。
愛するものを守るため禁忌を生み出した。
悪意を持つ種を殺す禁忌、己の敵を消すための力。
そして彼女は全てを守った。だが、それが全て手からこぼれ落ちるのも遅くはなかった......
そしてその禁忌は島を滅ぼし、最後には彼女の人間を奪い去った。
そしてそれから幾千年と五百の夜が明けたとき、三度目の彼女が目覚めた。
彼女の手は生まれた時から穢れていた。
前世の報いと代償を支払うこととなったのだ。
再び彼女は人間を失った。
その時から三百夜、望まれし英雄によって彼女はまた人間を取り戻し眠りについた。
四番目がないように殺さず、ただ眠るだけ
もし未来に彼女が敵となったなら彼女を救えるのはたった一人だ。
彼女が目覚めそして再び人間を失い滅ぼすものとなったとき彼女はまた悲しむだろう。
だから彼女の想いを、祈りを、ここに残す。そして誰かこれを終わらせてくれ。
『人の死は文明の死。人が人として選ばれたのは彼らが文明を存続できるからだ』
『救いたかったのはただ一人、何者でもない自分自身だった』
『人が死に文明が途絶え、そして太陽が照らす世が終わる時、全ての生命が嘆きの元に朽ち果てる。
これが私の報いで、業で、罪。
救うために私は滅ぼした。
その滅びが広まれば生命はやがて
【絶滅】する』