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娘が指導者の教育をし始めてから、三ヶ月。伸ばしに伸ばし、城中、国中の書物を何度もめくり、危険を冒して人間の国にも情報を求め、それでも何も得られなかったことに、我は絶望という思いを初めて知った。
娘を元の世界へ還す術は、ついぞ見つからなかった。
……何てことであろう!取り返しもつかぬ。若い娘の人生を狂わせ、帰属すべき世界を失わせてしまった。どれほど絶望するだろう。元の世界に還ること、それだけを望みにあの娘は長き日々を耐えてきたというのに。我の絶望など、比べるまでもなく。きっと、嘆くだろう。この世界を。……ああ!
散乱した本の山に埋もれる我の姿は、おそらく滑稽なほど情けないことだろう。王である自信を、我はこの時完全に失った。