決戦(Ⅱ)
※おまけに関して
今回のみ本編風の書き方です。
ご了承ください(ペコリ
あと本編とは全く関係のないことなので、興味のない方や本編だけで十分という方はカットしちゃってください、よろしくお願いします。
現在我が校・・・
すなわち霧島第3高校では生徒会と生徒たちの最終決戦が行われていた。
ほとんどの生徒が体育館にいっているため、校舎内にはほとんど生徒がいない状況のなか・・・
3名の生徒が廊下を歩いている。
真ん中に小柄な女性が一人。
その後ろに中心の人物よりやや背の高い女性と、その女性と同じぐらいの背の男性。
こうしてみると、妙に違和感を覚える組み合わせだ。
中心に歩いている小柄な女性は廊下のど真ん中で急に歩くのをとめた。
それに伴って、後ろの2人の足もとまる。
「・・・なんできみたちがここにいるんだい?本部会議室で会議中じゃなかったのかな?」
中心にいる小柄な女性・・・
厳島は目を細めて、ちょうど自分たちの真正面から堂々やってきた、賤ヶ岳を先頭とする幹部たちにいった。
「そういう警備部最高責任者殿は再び山崎に部下をとられて1人寂しく警備会議室にこもっていると思ってたんだが、どうやら「まだ」お仲間がいたようだな。」
1人の幹部がやたら「まだ」という言葉を強調して、皮肉全開でいった。
「警備部責任者としての権力がないのに「まだ」従う部下がいるなんてな、ハハハ。」
さらに違う幹部が先ほどの幹部と同じように「まだ」にアクセントをおいてしゃべる。
幹部たちは厳島を小馬鹿にするように高笑いをする。
その態度が気に食わなかったのか、厳島・・・
ではなく、その後ろの砕川が言い返した。
「ただえばっているだけの能無しがよくそんなことを堂々をいえたものですわね。」
砕川も砕川で皮肉っぽく笑みを浮かべて言う。
・・・実際皮肉なのだが。
「んだと、貴様!!」
「怒るということは、図星ですわね。お疲れ様ですわね。」
幹部たちと砕川がにらみ合う。
「やめときな、輝。ボクなら大丈夫だよ。」
ちなみに「輝」というのは、砕川の下の名前である。
厳島のその言葉に砕川は納得がいなかいような顔つきで後ろに下がった。
「・・・で?実際きみたちがどうしてここにいるんだい?」
「会長の命令で我々は第3会議室で今後の作戦を決めることとなった。」
賤ヶ岳は少し心配気な顔をしつつ、いった。
それから1つため息をついて続ける。
「会長はおそらく相手と一騎打ちをするつもりだ。・・・おそらくはB組中心と考えれば川口だろう。」
賤ヶ岳は砕川の言葉でのイライラがおさまらない幹部の前にこれ以上前にでないように手を出してとめる形をとりつつ言う。
「だが、我々誇りある生徒会の本部に裏切り者、もしくは反生徒会派の馬鹿どもをやすやすと入れるつもりはない。」
先ほどとは別の幹部が言う。
「C班、D班に警備を頼むのかい?」
C班・D班というのは解体された「治安維持部」のうちの一部である。
今は賤ヶ岳の配下、となっている。
「いや、C班・D班は第3会議室の守備を固めるのに使う。第3会議室が相手に落とされれば、それで終了だからな。」
「・・・でももう人もいないはずだよ?警備部は体育館、ジャスティスは放送室にいってる。」
「いるだろう?」
先ほどの砕川に皮肉をいわれた幹部が再びしゃべりだす。
「お前ら”余り者”が。」
この言葉にさすがの厳島もムッとする。
「それが人にものを頼むときの態度かい?」
「頼む?馬鹿か、あんた?誰が好き好んで自分より地位の低い奴に同じ目線で頼むんだよ?・・・これは命令だ、命令。」
この幹部は3年で監視部の最高責任者だ。
同じ最高責任者である厳島は2年生なので、結果として3年のほうが地位が上、となる。
「それにあんた、何様のつもりだ?普通、目上の人物には「ですます調」を使うだろう?」
それは遠まわしに自分に対し、敬意を払い「ですます調」でしゃべれ、といっているものだった。
「完全にあなたの頭はイカれていますわね・・・」
その言葉に先ほど厳島にとめられ、イライラがおさまっていた砕川は・・・
再び怒りをあらわにして、完全に相手を馬鹿にするような口調でいった。
その言葉に早く対応したのは言われた幹部ではなかった。
「輝!!」
厳島は砕川に対し、一喝した。
砕川はその言葉にうつむく。
それから厳島はその幹部に頭を下げて、いった。
「我が警備部の部下・それにボク自身も失礼を申し上げ申し訳ありません。・・・敬語の件、考えさせていただきます。」
その言葉は「まだ敬語は使うか考え中」ということだった。
・・・そのことにはふれず、ただ謝られた幹部は満足気な顔をして、フンと鼻であしらった。
その態度に砕川は拳にグッと力をいれ、ただただ納得がいかないという目でその光景から目をそむけている。
「・・・お前ら、先に第3会議室にいってろ。」
賤ヶ岳は深くため息をついて、言う。
「承知しました。ま、”余り者”を相手にするより次の作戦を考えたほうが時間の有効利用ですしね。」
「だな、では賤ヶ岳さん、先に会議室に行っています。」
そういって、彼らは会議室の方向へと歩いていった。
「・・・やれやれ、相変わらずだな、お前も。」
幹部たちがいったことを確認すると賤ヶ岳はため息交じりに苦笑していった。
「自分でも呆れちゃうよ・・・常にその場しのぎの対応しかできてないんだから・・・」
厳島も苦笑して言う。
「・・・安心したよ、俺にもさっきみたいな堅苦しい敬語を使われたんじゃこっちまで自然と力が入っちまう。」
賤ヶ岳は呆れ顔で言い続ける。
「・・・それで?警備の件は会長も同意してるのかい?」
「いや、俺たち幹部の総意だ。・・・もちろん俺も含めてな。」
「・・・総意・・・ねぇ・・・」
厳島は少し困り顔をする。
ついに会長と幹部たちの考え方も変わり始めた・・・
そういうことである。
「まだ続ける気かい?・・・いい加減やめないと取り返しがつかなくなるよ?」
「ここまで来ちまった以上はもう退くに退けない。必ず勝つ!!」
賤ヶ岳が力強く言う。
「お前も生徒会の一員なら、苦しいのはわかるが命令には従ってもらう。」
「・・・わかった、こっちも込みで考えておくよ・・・」
それから賤ヶ岳は第3会議室へ、厳島たちは本部会議室へ・・・
真逆の目標地を目指して、歩き始めた。
体育館。
「生徒会、いい加減諦めろ~!」
「諦めろ~!!」
とりあえず拡声器を皆にまわして、1人ずついろいろといっているが・・・
正直僕たちの意思表示としてはよくわかる形だが・・・
陽動作戦として使えるのかな?
と若干不安になってきた。
というのも、ここに唯一いる体育館管理係の生徒が携帯を使って電話をしていたのは見えたものの・・・
相手の援軍がどうにもこうにもこない。
・・・もしかしてこれが陽動だとバレてしまったのだろうか・・・
「どうした?」
そんな様子をみて、将軍が「どうせわかっているだろうに」わざわざ質問してきた。
「え~とな・・・」
「つまりこれが陽動作戦として使えるか心配、というわけか。」
・・・まだ何も言ってないんですけど~?
なにこの台詞をくれない天才。
怖すぎるわ・・・
「なかなか相手の援軍がこないところをみると心配になるのはわかる。・・・がそろそろ来るはずだ。」
話はどんどん進む。
まだ僕は何にもしゃべってないのに・・・
そう思った矢先のことである。
体育館の扉が開いて、首に菊の紋章をつけた生徒たちが何十人も竹刀やバットなど武器をもって入ってくる。
「・・・意外と多くの人数を送ってきたな・・・」
将軍は小声で一言いった。
・・・そうなんだ、「意外」だったんだ・・・
僕的にはこれぐらいかな、と思ってたんだけど・・・
そんなことを思っていると彼ら生徒会は僕たち全校生徒を囲む形をとって一斉にこちらに武器を向けた。
・・・しかし、相手はたかだか30名~40名ぐらい。
それに比べてこちらは全校生徒、約600人といったところだ。
明らかに人数差がある。
囲む態勢をとったものの、隣との間はかなりあいてしまっている、というのが現状でもある。
一番前にはおそらく2年副会長・・・
川口がいうには「山崎」という名前の生徒が立ってこういった。
「お前らに勝ち目はない。諦めてもらおう。」
「それはどこをみていっているんだ?この状況をみて、まだそんな台詞がいえるなら相当おめでたいんだな。」
B組の生徒が言う。
「我ら生徒会にミスなどありえない。それに貴様らの行っている行為は我が校の治安を乱す行いだ、早急にこの集まりを解散させることをオススメする。」
とりあえず「燎原ノ舞」はうまくいったみたいだ。
他のところはどうだろうか・・・
上手くいっているだろうか。
放送室の目の前にはすでに首に菊の紋章をつけた生徒たちがうろうろとしていた。
それから1人の生徒が放送室内に入るためのドアの取っ手をまわそうとするものの・・・
中から鍵がかかってしまっているため、入ることはできない。
「ダメです、紀龍さん。中に入れそうにありません。」
「・・・あまり無駄撃ちは避けたいところだが仕方がない・・・か。」
そういうと、8名が一斉に飛沫製のガス銃を出す。
「開かないなら・・・壊すしかない。」
「いいんですか?そんなことしちゃって・・・」
「どうせこの高校は卯月家から大量の金をもらってるんだ。こんな被害、へっちゃらだろう。」
紀龍はそういうと、モデルガンの安全装置を外す。
それをみて、皆も安全装置を外し、トリガーに手をかける。
「撃て!」
それから一斉に射撃が開始された。
ものすごい音が響く。
それは外でも、中でも・・・
「な・なんだっぺ!?今の音・・・」
「さぁな・・・多分生徒会の連中が暴れてるんだろ?」
桶狭間は意外と冷静だった。
・・・桶狭間らしくない光景である。
「大丈夫なのか!?」
「あのドアは結構太かったしな。結構頑丈そうだから大丈夫だろ。」
「そうか・・・」
関ヶ原は安心した様子を見せる。
「さて、トークを続けるぞ。」
「あぁ。」
そんな中、外ではひたすらに弾を撃っている。
「くそ!頑丈だな、この扉・・・」
「紀龍さん、これじゃぁ弾の消費がかさばるだけです!!」
生徒の言葉に紀龍は戸惑う。
それから少し考えて、再び口を開いた。
「お前らは少しでもこの扉にダメージを与えておけ。塵も積もれば山となる、だ。」
「紀龍さんはどちらへ?」
「俺は飛沫さんからもっと強力なのを借りてくる。」
「了解しました。」
その言葉で、再び残った生徒はただ扉にダメージを与える作業を行い・・・
紀龍は走って一旦PC室へと戻っていった。
そして3階南棟の廊下では・・・
「次、右な。」
「あぁ。」
2人の生徒が走っていき、その後ろをただただバットをもった多くの生徒たちが追いかける。
「チクショウ、これじゃぁ追いつけない!」
「おい、先に相手の行く道に先回りをしろ。あいつらを誘導するぞ。」
それから追いかけていたほうの生徒たちは2手に別れた。
「チッ、挟み撃ち作戦か・・・」
「道は1つじゃない。曲がる道を片方ふさがれても、もう片方がある。」
「あぁ、それを繰り返せばどうにかなる・・・か。」
実は時津風・川中の逃げ回っている道は常に分かれ道のある通路を利用していた。
これは挟み撃ちを避けるためだ。
ただそれは単に分かれ道があるとき、の話で・・・
通常の廊下は一本道だ。
なので2人は相手が2手に別れた様子を見て、先に前からこられないように・・・
急いで次の分かれ道へと行くため、スピードをあげるのだった。
そんな様子のなか、再び体育館。
ここではすでに交渉が決裂していた。
「・・・何があってもやめる気はないんだな?」
「この勝負が終わるまでは・・・やめる気なんてないわ。」
咲良が力強く言う。
その言葉に皆が「おぉ!!」と同意の様子を見せる。
・・・どうでもいいことなのだが・・・
こいつのしゃべった後の「おぉ!!」とかそういった皆の言葉が他の人がいったのより若干大きい気がするんだ・・・
・・・それだけ人気、ということか(特に男子に)
しかしこれでまた人気が上がるんだろうな、この女・・・
なんか、こいつだと怖いな・・・
人気が高くなると何を言い出すかわかったもんじゃない。
「ならば・・・こちらもそれ相応の対応をとらせてもらおう。」
するとまわりを囲んでいる生徒たちの態勢がかわった。
というか、態勢を取り直した。
今までは現状キープのためにこちらに武器の先端が向いていたように思えたが・・・
この言葉で一気に攻撃的な意味で武器の先端がこちらに向きなおした。
「・・・将軍、このときはどうするんだ?」
正直生徒会がここまでしてくるとは個人的には予想外で考えてもいなかった。
だが将軍のことだ。
考えてあるんだよな。
このあと暴力なしで穏便に進める作戦を。
とりあえず何が何でも暴力行為にだけはつなげてはいかない。
「・・・まさか、ここまで連中の意思が強いなんて・・・」
・・・え?
将軍は正直かなり驚いているようだった。
「十六夜・・・悪いが考えてなかった。」
「・・・は?」
お・おい!!
そんなのありかよッ!?
すでにここまで来た以上、連中はどう見ても本気だぞ!
「この人数差だ。連中もビビッて攻撃的な姿勢は見せないと思ってた。」
たしかに普通の人間ならそうだろう。
僕もそう思っていた。
約の計算だが・・・
600VS40
・・・どう見ても40に勝ち目はない。
誰もがそう考えていた。
むしろそう考えるのが当たり前で、誰もまさかここまで生徒会が無茶をするとは考えていなかった。
それは将軍に関しても例外ではなかった。
「・・・治安を乱す者は許さん!厳重に処分する!!」
だが彼らはいまだに自らの権限を進行していたのだ・・・!
この場にいる全員の予想を遥かに上回る誇り・自尊心を生徒会はもっていたのだ・・・
「たとえ全滅してでも、1人でも多くの相手にダメージを負わせろ!!」
「おぉ!!」
生徒会の連中の目つきがかわった・・・
そう、それは全滅は目に見えている。
下手をすれば生徒会側の人間はただでは済まされないかもしれない。
しかし、それでも自らの正義を信じ進んでくる。
「・・・相手の意思の強さを見誤ったか・・・」
将軍は目を細めて言った・・・
放送室周辺ではいまだに重たく大きな音がひたすらに響いている。
常人なら耳がおかしくなってしまいそうだ。
それだけの音が絶えずでているのだ。
「これだけ撃ってもまだ壊れないなんて・・・どこまで頑丈なんだ・・・?」
生徒たちの下には、弾の撃ちつくして中身がなくなったマガジンが大量に落ちている。
そのときだった・・・
1人の生徒が諦め半分でテキトーに撃った的外れの方向にいった弾が、鉄でできたドアの連結部分の一部を破壊した。
「!!」
「・・・ここを撃てば!!」
連結部分は3箇所だった。
すでに1箇所、一部が壊れている。
生徒たちは今度はドア本体ではなく、連結部分を撃ちはじめた。
・・・すでにドアは前の綺麗な形は見る影もなく・・・
穴だらけのボロボロなドアをなっていた。
そんなことをいっている間に、すべての連結部分が壊された。
ドア本体はマイクの音量が外にもれることのないように防音扉として厚く頑丈に作られていたが・・・
さすがに連結部分までは頑丈にしていなかったようだった。
1人の生徒が連結部分の外れたドアを蹴飛ばした。
すると、そのドアは放送室内部の方向へと倒れた。
「なっ!?」
「おいおい、ドアが壊されるなんて聞いてねぇぞ!!」
中で話していた2人は驚きを隠せない様子だった。
それと同時に、関ヶ原はただただ焦り・・・
桶狭間は覚悟を決めた様子だった。
放送室は1本道なため、隠れる場所もない。
しかも相手は飛び道具を使っている。
この距離ではバットや竹刀で対抗するには距離がありすぎるし、距離を詰める前に終了、となる。
・・・完全に2人は的状態だった。
やがて関ヶ原も覚悟を決めたようで、静かに瞳を閉じた。
「・・・残念だな、関ヶ原。」
「だっぺな・・・お前だけでも降伏しろ、なんて言うなよ?」
「・・・わかった。」
今更降伏しても、連中は潰しにかかってくる連中・・・
それぐらいのことは今までの行いでわかっていたし・・・
桶狭間は絆同盟のリーダーだ。
そもそも降伏するなんてこと、まったく考えていない。
・・・この状況においても。
関ヶ原は関ヶ原で、降伏などということは考えていない。
やられたらやられたでそこまでという考えのようだ。
それに自分が仮に降伏したら、真っ先に桶狭間が狙われる。
それはそれで納得がいなかいし、気に食わない。
仲間がやられるなら、自分も同じ道へ行く。
絆同盟の団結の強さをここでも示す覚悟もあった。
やがてゆっくりジャスティス配下の生徒たちが一斉に2人に向けて銃口を向けた・・・
一方時津風、川中のグループは・・・
どうにか分かれ道についたところだった。
左右を確認すると、左から先ほど2手に分かれたうちに一方がやってきている。
後ろからはもう一方が迫ってきている。
そうなると必然的に選択肢は1つに限られる。
「右行くぞ!」
「あぁ。」
やがて後ろのほうで、2手に別れていた相手が合流して1つにまとまった。
次の分かれ道までは100mちょい。
階段を上がるか、下るか・・・
そんなことを考えていると、その目指すべき目の前の階段から何十名・・・
それは後ろで追いかけてきている生徒たちとなんらかわらない人数の生徒数だった。
それぐらい多くの生徒たちが階段から出てきて、目の前をふさいだ。
彼らは一斉に竹刀を逃げてくる時津風、川中の方向へと向けた。
「挟み撃ち・・・!」
「・・・サンドイッチかよ・・・最悪だな。」
後ろからは先ほどまで追いかけてきた連中。
そして前にはついさっき新たにでてきた連中。
・・・もう逃げる場所もない。
完全に退路を断たれた。
追いかけてきた連中は時津風、川中を挟み撃ちに出来たことを確認するとゆっくりと歩き出す。
そして目の前の連中もゆっくりと2人の方向に歩いてきて、徐々に追い詰めていく。
「・・・どんだけ人数がいるんだよ・・・」
これは確実に生徒会ではない。
だが一般生徒が反帝国主義派を狙う理由もない。
「こうなったら粘るしかないようだな。」
川中が言う。
「粘るっつったって武器なしじゃ不可能・・・か。」
時津風は竹刀を強く握った。
だがそれは今までのように相手の武器をはじけとばすのではなく・・・
あくまで時間を稼ぐため、相手の攻撃をかわすために・・・である。
(・・・この人数差で粘れるのか・・・)
だがこういった問題に直面する。
今は彼ら2人の考えでは「喧嘩」をしているため、武道は使えない。
したがって、相手の武器をはじきとばしたりと積極的な自らの攻め行動はできない。
ひたすらに守りに入るしかないのだ。
こうして最後の最終決戦が始まってすぐに各グループすでにピンチの状態となった。
そんななか、ついに最終作戦の本命・・・
「終焉」が動き出す。
「決戦(Ⅱ)」 完
おまけ クリスマスは誰が為に
24日の夜。
それはクリスマスイヴの夜をさす。
本来この時期は毎年恒例で僕は2ch三昧の予定だった。
ところがある女性が24日に一緒にどこか見に行かないか?
的なノリの言葉をだしてきたわけで・・・
断ると・・・ま、大変そうだし・・・
あいつはあいつでモジモジとしていて、一向に話が進みそうになさそうだったので、僕から誘ったという形式になった。
そう思うとはめられた気分にもなるわけだが・・・
約束しちまったら仕方がない。
そんなわけで今は綺麗なイルミネーションのなかを・・・
眺める、な~んて楽しいことはしてられない!
なぜならば、約束の時間に僕は遅刻しているからだ!!
「ヤバイ、殺されるだろ!まずいだろ、これ!!」
なんてことも言いつつ、とりあえず走りまくる。
信号に突っかかったので、時計を確認してみれば午後7時4分。
すでに4分オーバー。
信号がやっと青になり、さらに走り続けて、やっと集合場所が見えてきた。
そこの通りは多くの人があっちへいったりこっちへいったり・・・
大きな箱を持っている人もいれば、恋人同士で手を組んで歩いていたり、お父さんとお母さんにつれられて笑顔でいる子供がいたり・・・
そんな中、約束の場所のベンチに、なんだか浮かない顔で座っている女性が1人。
あぁ・・・せっかくのクリスマスだというのに、なぜあんなに浮かない顔をしているのだろう・・・
あそこだけ、なんだか世界から切り離された別空間のような雰囲気をかもし出している。
「ご・ごめん、遅れた!!」
僕はそんな女性の前にどうにかついて、頭を下げた。
すると、その女性は、まるで風のごとくすさまじく早い勢いでベンチから立ち上がって・・・
「死ね!!」
・・・第一声はこれ。
・・・クリスマスに・・・この言葉でございましょうか?
はて、なんのことやら・・・
大体でございますね・・・
そんな暴言、言っちゃいけないと僕は思うんですよ?
しかもこの明るいムードのなかで、なぜゆえこのような暴言をですね(ry
「・・・とりあえず人に指をさすな。あと暴言禁止。」
フッ、華麗に決まったぜ!
見たか、この冷静な判断。
「るっさい!!遅れてきておいて、なにその態度!?ありえない!!」
・・・さっき謝ったじゃん・・・
「ごめん」って・・・
「しかも自分から誘っておいて!!」
・・・ですよね~。
でもさ・・・
さっき謝ったし、言い過ぎじゃない?
僕の心は「今日はクリスマスっていう楽しい日だ、わーい!」みたいなノリで油断してたから傷つきやすいんだぞ、今・・・
「ごめんって言ってるじゃん・・・なぜ僕はクリスマスでもお前に怒鳴られなきゃならんのだ・・・」
初っ端から萎えまくり。
は?
イルミネーション?
チクショウ、明るすぎて目がチカチカするんだよ!!
もっと電気は大事に使え!!
・・・って思えてしまうぐらい、萎えまくり。
「たしかに遅れてきたのは悪いと思うけど・・・4分でそこまで言われるんじゃ僕としては納得がいかないよ。」
なんてことをいうと、その女性は今度は急に悲しそうな顔をして、ホントに小声・・・
おそらくは独り言だろう。
こんな声、本来ならまわりの声や音にかき消されてしまう。
だが今と言う状況だからこそ、たまたま聞こえた・・・
それぐらいのレベルの小さな声で、そっとつぶやくように彼女は言った。
「・・・だって・・・星矢がこないからすっぽかされたかも・・・って心配になったんだもん・・・」
・・・聞こえちまったら仕方がない!
・・・しかしなぁ・・・
僕はそんなひどい人間に見えますか?
自分から誘っておいて(本意じゃないけどね)、すっぽかすって最低以外の何物でもないでしょ・・・
僕ってそんな人間に見えているのでしょうか?
政府的ノリで答えるのであれば「非常に遺憾」でございますですねぇ。
「あのなぁ・・・僕がそんなにひどい人間に見える?」
「・・・」
彼女はおそらくは僕の答えに期待していなかったのだろう・・・
何しろ、独り言っぽかったから。
すると彼女はこちらのほうをジッと見て、先ほどより少し大きめの声で言った。
「見えないけど・・・心配になったんだもん・・・」
・・・こいつ、実は心配性?
しかしながら、約束の時間に相手がこない、というのは心配になるよな。
・・・相手の立場にたつとわかるものである。
やっぱり僕は悪いことをしてしまった。
・・・たとえそれなりの理由があっても。
「・・・ごめんな、咲良。」
卯月 咲良、普段は強気であっても・・・
実は結構ナイーブらしい、うつむいている彼女の頭を軽くなでていった。
「・・・」
「・・・」
しかしながら・・・
やっちまったぜ、おい!!
この明るいムードにこの気まずいムード!
歯磨きしたあとのジュース、ってぐらいあわないだろ・・・
どうするよ、この空気?
・・・って言っても、実際否は僕にあるわけだ。
・・・対エアー・ニューディール政策でも行いますか。
・・・と思った瞬間だった。
彼女はいきなり顔をあげて、一言。
「で?これからどこに行くの?」
・・・いや、さっきのは演技ではないとしても・・・
切り替え早すぎだろ、実際。
ナイーブだけど、切り替えしが早いってどうよ?
ま、長く引きずらないからよさそうだけど、こっちとしてはなんか納得できんぞ・・・
そんなことはさておき・・・
この明るい商店街を通って、歩いていくと公園の高台にでるわけだ。
そこから町を見下ろすと、グレイト!!
美しいこの町の町並みが見えるわけなんだな、これが。
商店街の気合の入ったイルミネーションを見つつ、最後は高台でしめる!!
完璧じゃね、これ?
僕天才!!
「とりあえず商店街をまっすぐ進んでいこうぜ。」
「ま、いいけど。」
しかしこの商店街は地味に上り坂。
気づけば高台にいる、というパターンだ、最終的には。
なので、高台から商店街が見えないのは実に惜しい。
そのかわりに霧島第3高校や、商店街とはちょっと違った感じの都会部分がよく見えるのだが・・・
都会部分と商店街はちょうど真逆といってもいいだろう。
高台は、都会部分を「前」と考えると、商店街は「左」部分。
だから左部分から徐々に上がっていくパターンだ。
ま、「後ろ」ではないにしろ・・・
最終的に商店街が高台から見えないのは間違いないことだ。
あれだけ長い商店街だ、きっと空高くからみれば綺麗なんだろうに・・・
少し残念である。
そんなことを思いながら商店街を歩いていく。
町は店だけでなく、木にまでイルミネーションがかかっている。
気合入りすぎだろ・・・これ。
「・・・」
「・・・」
しかし無言で歩き続けるというのはいささか気まずいだろう。
何か、話題を出そう!
「そういえばさ、昨日何してた?」
「昨日?昨日といえば天皇誕生日で祝日だったわね。」
「そうそう。」
ちなみに僕は2ch三昧だったんですけどね~。
「昨日・・・ねぇ?う~ん、中島に略語について教えてもらってたかしら。」
「・・・何してんの、お前・・・」
普通、略語なんて人に教えてもらうのだろうか・・・
「私はこの間気づいたんだ!自分が略語に弱い、ということに!!」
やっぱり弱かったんだ・・・
それなりに間違えてたもんな、冗談かと思ってたけど。
でもそんなに苦手だったなら、今更かよ・・・
もうとっくに気づいているものかと思っていたぜ。
「それで手始めに「www」について教わった!」
「笑笑笑?」
「違うわよ!!ワールドワイドウェブよ!!」
なんだ・・・
ついネットのほうかと・・・
・・・ここにきて、五月雨の影響が・・・
ま、ワールドワイドウェブもよく考えればネットだけどね。
「というか私は思うんだが、なぜ「w」を3つも重ねたし!明らかに確信犯でしょ!!」
知らんがな、そんなこと・・・
「そんなのね、「ワールドワールドワールド」でいいのよ!!こっちのほうが覚えやすいし!!」
・・・直訳「世界世界世界」。
・・・何がいいたいんだか、さっぱりだな・・・
どんだけ世界が好きなのよ、その人・・・
「意味通じないだろ・・・」
「『世界』を強調してるんだから、大体意味は通じるでしょ?「世界全体で進化」とか、「世界全体で進もう」とか、「世界全体で情報交換」とか・・・」
・・・最初の2つは同じ意味だし・・・
「進化」と「進もう」は同じだよね?
あとさ、なぜそこまで都合よく想像できるのかが僕にはわからん。
・・・さすが学年2位の実力だ!
「要するにグローバル化、っていいたいんだな。」
「グローバル・・・いい響きだ。」
よくわからんが・・・
いい響きなのか?
「そういえばグローバルで思い出したが、最近は何かとグロい事件が多いな。」
「・・・なぜそんな変な思い出し方をしたんだ・・・」
すごく嫌な思い出し方だ・・・
「殺人とか多いし、怖いよな。」
「そうね。」
・・・実際僕にとってはお前も十分怖いけどな・・・
・・・てか、これ・・・
クリスマスでしゃべる内容じゃなくね?
やっぱ明るいことについてしゃべらないと!!
ここは話を切り替えるぜ!
「なぁ、そういえば昨日、AKB48のゲームが発売されたよな。」
「そうね、あのグループは私は好きよ?」
へぇ~。
ま、歌もいいしね。
人気の理由もわかるけどね。
「明るいし、何事にも挑戦的だし、楽しそうだし。」
明るい、楽しいはもちろんだが・・・
何事にも挑戦的、というのはいいことだよな。
新しいことにどんどんチャレンジしていく、ということはいいことだと僕は思うぞ。
「見てて元気になれるわ。」
「いいことだ!」
「・・・それに比べて、あんたを見ると・・・はぁ・・・」
なんですか~、その態度・・・
「正直に言わせてもらうわよ?」
「おう。」
・・・こい!
今回は前置きがあったし、遅れてきたときのもあったから多少はこころもガードができるようになってるぜ。
「なんでクリスマスなのに、そういった方向の話題をふらないのよ!!」
「・・・はい?」
・・・一言でまとめよう。
予想外な答えです。
「クリスマスだから普通「イルミネーション綺麗だね」とか、もっといろいろあるでしょ!」
ま・・・確かに言われてみれば。
「空気読みなさいよ!!」
・・・なんか今、すご~く「お前にだけは言われたくねぇ!」って思ったんだが・・・
なんでだろう・・・?
とりあえず僕なりの答えを返そう。
「空気は読むものじゃない、吸うものだ!!」
「・・・死ねばいいのに。」
サーセン!
でも死なないぜ☆
実際こんなことで殺されたんじゃたまったもんじゃない・・・
僕の調子のりタイムは殺戮タイムへと変化してしまうじゃないか。
「暴言禁止。」
とりあえず僕は先ほどと同じ対応をとった。
え?つまらない?
知らん!
世の中には「馬鹿の一つ覚え」という単語があってだな、今まさに僕はそれを体感しているのだ!
そんなことを思っていると案の定彼女はムッとしてから、今度はこう言った。
「東京の大きなビルの屋上から命綱をつけずに飛び降りてくれませんか?」
うわ~・・・
これも一種の暴言だろ。
怖いお・・・
「言葉遣いを直してもだめ!意味に問題がある!!」
「・・・チッ。」
舌打ちすんな。
・・・今日、クリスマスですよね?
・・・泣いてもいいですか?
さて、そんなことを思っていたらついに公園入り口までやってきた。
公園に入ると、先ほどの商店街よりさらに滑らかな平地がある。
ここを上ればすぐなのだが、なぜか咲良の足がとまった。
「・・・どうした?」
「別に・・・なんでもない。」
いや、そうは見えないけどな。
顔が少しひきつっている。
「・・・僕をこの場で騙せると思うか?」
「・・・」
そういうと咲良は観念したようだ・・・
最初から素直にいえばいいのに。
「足挫いちゃったみたい・・・」
・・・そういえばさっき歩いてて、途中変な歩き方・・・
というか、ぎこちない歩き方してたな・・・
商店街で挫いたのだろうか・・・
でもそれをいったら、迷惑になっちゃう・・・
と考えたこいつは無理をして、ここまで頑張って歩いてきた・・・と。
・・・これって明らかに僕の責任じゃないか・・・
なんでぎこちない歩き方をしてたのに、気づいてあげられなかったのだろう・・・
「しょうがないなぁ・・・」
なんてことをいって、咲良の前で態勢をかがめる。
「何してんの、あんた・・・」
「おんぶだよ、おんぶ!!」
「えぇ!?」
そういうと、彼女は顔をいきなり真っ赤にして否定らしき動きをした。
「いいよ!別に下り坂なら歩けるし!!」
でも上り坂はきついんだろ?
それに下り坂はな、足に3倍の体重の重みがかかるっていうぞ?
それだけ足への負担も大きいし、痛いだろう・・・
それにここまできたら、引き返すより・・・
1年に今日と明日の2日間しかない、この町の綺麗な景色を見せてあげたいじゃないか。
「あのなぁ・・・それじゃ足に負担がかかるだろうが・・・」
「大丈夫!」
「・・・に見えないから言ってるんだろ?」
咲良は僕が本気になるとなかなか諦めない、ということを知っている。
「・・・本気でいってる?」
「ここで本気じゃなかったら、僕はいつ本気になるんだ?」
「・・・」
そう僕がいうと、彼女は静かに肩に手を乗せた。
「よっしゃぁ!」
なんてことをいって、おんぶ成功!!
・・・この光景だけは死んでも桶狭間に見られたくねぇ~・・・
「・・・ごめん・・・」
「んなこと、気にすんな。」
苦笑して、とりあえず高台まで進む。
「え?戻るんじゃないの?」
「ば~か、ここまできて誰が戻るかよ!せっかくだから景色、見ていくぞ!」
「・・・ありがとう。」
・・・そんなこんなで、高台までやってきた。
感想としては意外とこいつ、軽かった・・・
ものすごく失礼だけど、実際そう感じた。
「さて・・・」
高台につくと、そこにはベンチがあった。
景色を見れることができるたった1つのベンチだ。
そこに2人でとりあえず座った。
・・・なんかこうしてると、マジでデートっぽいな・・・
・・・デートではないぞ!!
「うわぁ・・・」
彼女は目を輝かせて、目の前の光景を見た。
ここの光景は実は知る人ぞ知る、なんていった言葉が使われるぐらい知っている人が少ない。
ま、もともと山の上の公園だし、この公園も広いし・・・
何より、ここより大きな「展望場」なんて名で呼ばれている場所がこの公園にはある。
皆はそっちのほうに行っているだろう。
でも個人的にはこっちのほうが好きなんだわ・・・
静かだし、景色的にもこっちのほうが落ち着くと言うか、なんというか・・・
とりあえずこっちにきたのは、彼女が足を怪我してしまっているので、座るところが必要だったため。
人の多い展望場は、「展望場」という名前のくせにベンチとかない。
そのかわりに望遠鏡があるんだが・・・
でもこの景色は望遠鏡で見るより、フツーに見たほうが僕は好きだ。
「ほら、あそこに見えるのが霧島第3高校。」
なんて指を指す。
・・・さっき人に指をさしちゃいけないって僕、いったのに・・・
でもあれは高校、場所だからいいのかな?
「・・・こうしてみると小さいわね。」
まわりにはビルやら何やらがあるしね・・・
「あ、そうだ・・・」
そうそう、大事なことをすっかり忘れてしまうところだった。
これでは何のために集合に遅れてしまったのやら・・・
目の前の光景についうっとりしすぎていた・・・
ま、何しろ1年に2日しか見られない貴重な光景だし、仕方がないといえば仕方がないんだが・・・
僕は右手にもっていたカバンから縦10cmぐらいの正方形の箱を取り出した。
「はい、これ。」
「・・・え?」
彼女は目を丸くする。
これが遅れた理由だ。
親に今日、咲良と会う、とバレてしまって・・・(我ながら最大のミス!)
親、特に母さんが「彼女さんにはプレゼントを用意するのよ!」と強制されたのだ。
ま、たしかにクリスマスだし、そういうのもありか・・・
なんてことを考え、僕自身も納得して、店で咲良に似合うようなものを探していたら、いつの間にかこんな時間にッ!!
・・・だってさ、こいつ金持ちじゃん?
正直難しかったんだよ、買おうと思えばなんでも買えちゃうわけだしさ・・・
ま、そんなわけで遅刻の理由アイテムを目を丸くして戸惑う彼女に差し出す。
「え?って、クリスマスプレゼントだよ、略してクリプレ。」
・・・なんでも略せばいいって問題じゃないね!
「えと・・・その・・・」
「別にそんなに良いものは入ってないけどね・・・」
そんな状況に彼女はあたふた。
ま、気持ちはわかります。
僕はこいつの立場ならおそらく同じ感じになるだろう。
少し落ち着くと、彼女はまた少し悲しそうにいった。
「ごめんね・・・私、そういうの用意してこなかった・・・」
いや、用意してきてたら僕もびっくりだよ・・・
準備良すぎだろ・・・
「気が利かなくて・・・ホント、ごめん・・・」
「いやいや、気にすんなし。いきなりこんな無茶ぶりで「じゃぁ私も!」なんて感じでだされたほうが困るよ。」
そういって、とりあえず箱を彼女のほうに差し出す。
・・・いや、受け取れよ・・・
これ、強制だから。
受け取り拒否は無しの方向でお願いします。
「それにな、本来なら僕も用意はしてこなかったんだよ。親がだな、無理やりに・・・」
本来こんなこと、フツー女性にプレゼントを渡すときになんていわないだろう。
ロマンのかけらもない。
けど、目の前の女性はとりあえず「悪い」って言う気持ちをなくさないと受け取ってくれなそうだし・・・
それに事実だし。
「だから気にすんなよ。ほら、メリークリスマス。」
「・・・」
彼女はなんだか浮かない顔でクリスマスプレゼントを受け取った。
「こうなったら明日、100倍にして返す!!」
いや、それは逆に困りますから・・・
でもこいつは実際にやってきそうだから怖い。
返さなくてもいいのだが・・・
そうはいっても、目の前の女性は言い出したら聞かない女性だ・・・
・・・だからせめて、その「100倍」とだけは回避しなければ!
「・・・仮に返してくれるなら、それと同レベルにしてくれ・・・レベルアップさせると悪いから。」
「わかった、そういうなら。・・・星矢、ありがと。」
彼女はここにきて、おそらく今日一番の笑みであろう笑顔をこちらに見せた。
その後、また彼女を背負って今まで来た道を帰っていった。
翌日、彼女は律儀に我が家に車でやってきて、わざわざクリスマスプレゼントを僕にくれた。
・・・ま、今日に散々「無駄にレベルアップさせるなよ!!」と言いまくっておいたこともあり、安心して受け取れる品だった。
彼女はプレゼントを渡して、「昨日はありがとう」というとすぐに帰ってしまった。
・・・ま、咲良らしいよね。
今年のクリスマスはなんだか妙に心に残りそうなクリスマスとなった。
「クリスマスは誰が為に」 完
今回の反省。
まずおまけが長くなりすぎた・・・
やっぱ書き方をかえちゃったのがまずかったですよね・・・
いろいろと反省中です。
あともうクリスマスの期間は越えちゃいましたよね・・・
遅れちゃって申し訳ないです・・・
・・・今回もやらかしまくったなぁ・・・
と感じました。