作戦
今回も長めとなってしまいました・・・
今回は1話でまとめる要素もなく、短めにしたかったのですが・・・
申し訳ありません。
おまけは今回は「雑談」化しました。
ただこれは相変わらず本編とは関係ないので、興味のない方々はとばすことをオススメします。
ちなみに今回は旧海軍艦艇についての雑談的なものが多いです。
※今回から絆同盟、十六夜視点に戻ります。
ここは1年B組の教室。
ここにはB組の36名がいるが、まるで時がとまったかのように静かだった。
先ほど学年主任の説得が成功して、次の作戦を練っていただ。
この学校の生徒全体が味方につき、さらに学校自体も味方についているというのが現状。
ならば、もはや「勝ち」ととれるのは時間の問題、とまでいえてしまうのかもしれない。
しかし、B組の生徒たちはそれでも表情を緩めはしなかった。
生徒会の権力は学校が味方したので消えても、生徒会内部での権力は健在。
すなわち、生徒会そのものは戦意喪失などしていない。
そして、彼ら生徒会が勝つためにならどんな手段すら厭わないということも彼らは理解していた。
だからこそ、油断できないのだ。
「・・・次はどうする?」
僕はこの空気のなか、とりあえず一言出した。
ま、みんなが考えていることなどはこの空気を察すればすぐにわかることだ。
だけど・・・この静けさはかえって言いにくい。
「とりあえず学校も全校生徒も味方についてくれた。ここは一気に押すべきだと思う。」
「たしかにな。あっちがまた下手に攻めてこないうちに、こっちから攻めて・・・」
B組生徒たちのなかから、声がチラホラ。
もちろん攻めるというのは、「暴力」での解決法などではない。
非暴力で物事を訴え、相手に勝ち目がないということをわからせ、降伏してもらう。
それはすでに全員が把握していることである。
それに対して将軍が質問をした。
「攻めるってどの程度攻めるつもりだ?」
将軍の質問に皆は少しとまどった。
いや、答えは決まっている。
全総力をかけての、大規模な転戦。
相手に反撃のチャンスを与える隙を作らないように一気に攻めあげる。
そして一気に畳み掛ける。
これがもっとも手っ取り早く、もっとも有効な作戦だ。
僕もそう考えていた。
だが、将軍が「わざわざ」質問してくることである。
何か問題点があるに決まっている。
「そりゃぁ、徹底的に。」
皆を代表して、桶狭間が応えた。
だが、予想通りこれは否定されることとなる。
「はぁ、そんなことをしても相手は「白旗」なんてあげない。」
「なんでそう思うんだっぺ?」
関ヶ原が将軍に質問すると、今度は川口が答えた。
「前に言っただろ。生徒会ってのは「誇り高い」組織だ。故に敗北なんて許されない。自らが負けを認める「白旗」、すなわち「降参」なんてのは論外的行為だろう。」
だが実際、どちらかが白旗をあげてもらわないとことが進まないのである。
「連中はどんなに攻められても、徹底抗戦するつもりだろう。攻められれば攻められるほど、生徒会の「プライド」の被害が大きくなる。となれば、その被害を相手に返すという感情が生まれ、結果どんなに攻めても、相手の交戦意識を高めるだけだ。」
やはりさすがもと1年生徒会副会長だ。
我が校の生徒会のことをよく理解している。
皆から「はぁ・・・」とため息がでると、さらに将軍が追い討ちをかける。
「それに徹底的に、ってことは大規模な作戦になる。味方の人数が増えれば、指揮する人物も増やさなければならない。」
今のところ、全校生徒はB組に続く、と表明してくれている。
となれば、おそらくB組の皆が引っ張っていくことになるだろうが・・・
「至るところで「転戦」の反旗を翻しても、この高校は広いし、全校生徒まで指示もまわらないだろう。全校生徒を36人で指示していくのは無理がある。」
たしかにいわれてみればそうだ。
徹底的にといえば、皆が立ち上がるはずだ。
いたるところで多くの問題がおこる。
それを36人で解決・指示していくのは不可能すぎる。
まわりきるわけがない。
「しかも、味方が増えるってのはいいことだけじゃない。」
「・・・え?」
皆が首をかしげた。
「人数が増えればそれだけ考え方も増える。俺たち36人は「非暴力」で解決を図ろうとしているが、全校生徒のなかにはしびれをきらして、「暴力」にはしる者もでてくる可能性も否定できなくはない。」
全校生徒が立ち上がったとはいっても・・・
全校生徒全員がB組のやり方に賛成しているとは限らないということか。
非暴力なんて生徒会相手には無駄なだけ。
あっちも暴力で解決しようとするのであれば正当防衛だ。
なんていった、過激派が出てくる可能性はたしかにある。
「じゃ・じゃぁ、どうすりゃいいんだよ!」
桶狭間が将軍に言った。
これだけの問題がある。
味方が増えても、絶対的に有利になるとは限らないと言うことを思い知らされる。
「・・・生徒会のなかにも一応まともなのがいるんじゃないのか?」
将軍は川口のほうを向いて言う。
それに対して川口は首をかしげた。
「・・・というと?」
「このまま、この争いを続ければ生徒会の威厳なんてのを保てなくなるのぐらい目に見えている。」
先ほども考えたとおり、もし過激派がでてきてしまえば・・・
暴力で解決するようになる。
となれば、今の生徒会には学校もついていないし、ゴリ押ししてしまえば勝ててしまう。
「生徒会の権限」なんてものでは、もうとまらなくなってしまう。
・・・となれば、生徒会側にも、全校側にも大きな被害がでると同時に・・・
そんな何でもありな方向へと進めば、威厳や権力なんてものは単なる言葉でしかなくなってしまう。
「生徒会とて、いくら徹底抗戦しようと考えていても威厳や権力が傷つくのであれば考えがかわる、なんて連中もいるだろう?」
つまり、プライドを捨ててまで威厳や権力を守り抜く考えの生徒会・・・
「それにこのまま続ければいつかは過激派がでてくる。そうなれば被害は両方にとっても甚大になるだろう、そういった被害を回避したがっている奴・・・もっといえば争いを望まない考えの生徒会だって1人や2人はいるだろう?」
もう十分だと思っている生徒会・・・
もう勝ち目などないと思っている生徒会・・・
そんな、今の生徒会全体を「左翼」とすれば、右翼側にたつ生徒会の人物などいるのだろうか。
「・・・」
川口は少し考えてた。
それから少しして、口を開いた。
「1人だけ心当たりがある。」
「・・・誰だ?」
皆が彼に注目をした。
「生徒会警備部の最高責任者、厳島さんだ。」
だが、それをきいた瞬間に皆は顔を真っ青にした。
「・・・警備部・・・」
警備部といえば、今までに絆同盟を何度も攻めてきた、生徒会の攻撃部のうちの1つでもあった。
皆から見れば、脅威の部のベスト3には確実に当てはまる。
「本来警備部ってのは「警備」そのものを担当であり、攻撃・進撃・攻めるための部ではない、というのが厳島さんの意見だ。」
「じゃぁ、なんで俺たちは警備部に攻撃されたんだ?」
桶狭間は目を丸くしていった。
この高校は現在は帝国主義で、上からの命令は絶対。
すなわち最高責任者が言うことは従わなければならない。
それが鉄則でもあった。
「おそらく今は厳島さんじゃなく、山崎副会長が警備部を動かしてるんじゃないかなと思う。」
山崎という男は2年生徒会副会長だ。
厳島も、2年生であるがため・・・
権力的には、山崎のほうが上、となる。
(山崎さんも前は話がわかる素晴らしい人だったのに・・・)
川口は心のなかで嘆いた。
もともと山崎と川口は、同じ副会長ということもあり仲が良かった。
3年副会長である賤ヶ岳と山崎、川口の3人で、生徒会最高責任者すなわち会長である天王山を支えていた。
川口は山崎と仲が良かったこともあり、彼のことをよく把握していた。
前は心が広く、帝国主義にも反対していた男だった。
だがこの一件では帝国主義派の先頭を行く者の1人として数えられる者となった。
「なんで警備部最高責任者じゃなく、2年副会長が動かしてるんだ?」
時津風が今度は川口に質問した。
時津風も現在の生徒会のメンツは名前だけぐらいならわかるらしい。
それも、川口と仲が良いからであるがためである。
「普段から厳島さんは現在の権力を持ちすぎた生徒会を否定してたんですよ。つまり・・・」
「まわりから煙たがられてた・・・と。」
川中が腕を組み、静かに言った。
「えぇ、それで今回の一件では厳島さんが指揮しても有利は進まないので、臨時で山崎さんが指揮をとっているんだと思います。」
「・・・じゃぁ、今は完全に厳島さんっていう生徒会の人は1人なの?」
今度は咲良か・・・
みんな川口にここぞとばかりに質問するな・・・
ここは僕も質問したほうがいいのだろうか。
・・・困ったな、いい質問がうかばない・・・
「いえ、完全には1人ではないです。女子に2人、厳島さんに今の状況でも従い続けている方がいます。・・・たしか名前は砕川さんと凛動さんって名前だった気がします。」
実際、副会長である川口は警備部との関わりはほとんどなかった。
だから、いまいち名前を覚えていないのも不思議ではない。
「あの2人は山崎さんが今までずっと山崎警備部全体の指揮下に入るようにいってもききませんでしたからね。」
その彼の言い様から、2人は相当厳島のことを信頼しているらしい。
「でもたった3人じゃこの戦いの終戦を決めるなんて無理です。」
「・・・」
再び皆が黙り込む。
(俺も・・・生徒会にいた頃は厳島さんの意見は理解できなかったんですし・・・)
川口も生徒会にいたころは生徒会の絶対正義を信じていた。
だからこそ、厳島の言葉を理解できなかった。
それが今では痛いほどに理解できてしまうのだから・・・
なんとも皮肉なことだ。
川口はそんなことを思い、苦笑した。
そして過去の川口のように、生徒会が絶対正義であるということを信じきっている生徒が現在の生徒会のほとんどを占めている。
あれの目を覚まさせるのは、たった3人じゃ不可能なのである。
「・・・やはり会長説得しかないか。」
生徒会最高責任者である天王山会長を説得し、負けを認めれもらえれば・・・
すぐに終わることだ。
それこそ、ホントに一番の最短ルートである。
しかし天王山は今までに多くの権限をかけてきた張本人でもある。
つまり、徹底抗戦派の最高責任者ともいえるべき人物だ。
「会長さえ説得できれば、他の連中は説得しなくてすみそうだしな。それがいい方法かもな。」
と桶狭間は言うが・・・
実際そんなに簡単なことではない。
徹底抗戦派の人物がそう簡単に負けを認めるとも思えない。
「お前な、簡単にいってくれるがそれはかなり難しいことだと思うぜ?」
時津風が言う。
すると、またまた皆が黙り込む。
「・・・」
なら・・・どうすればいい?
どうすれば生徒会は負けを認める?
「・・・会長の説得、俺に任せてもらえませんか?」
「・・・え?」
しばらくしてから、川口は静かにいった。
皆は川口のほうを向いた。
予想外な言葉がでてきたからである。
まさか、この成功確率が非常に低いように思えるものに対して「任せてくれないか?」といってきたのだから。
「会長のことは一応ある程度は理解しているつもりですし、会長を説得すればすべてが終わるのであれば自分のできる最善を尽くしたいと思うので。」
皆はただただポカーンとしている。
「・・・お前、できるのか?」
「・・・はい、相当頑張れば。」
川口は自信なさ気にも、少し笑みをこぼしていった。
「もし・・・前に賤ヶ岳さんが言っていた言葉がホントならいけるかも、と思いまして。」
「・・・どんな言葉だ?」
「・・・」
その質問に若干川口は戸惑ったように見えた。
「「会長は3年になってから別人になった」という言葉です。」
「・・・は?」
皆は目を丸くする。
その言葉の意味を理解できていたのはおそらく将軍ぐらいであろう。
「簡単にいえば、3年で会長というポジションについて大きな権力をもってから人がかわったということは、権力を持つ前はもしかしたら・・・と思いまして。」
大体川口の言いたいことは理解した。
恐ろしいのは、人を「別人」とまわりから評価されるまで変えてしまう権力の力である・・・
・・・しかし、かといって権力を持つ前が必ずしも厳島のような否定派だということは確信付いてはいえない。
絶対の確率ではない。
それに賤ヶ岳のいった言葉がホントかどうかも確認できていない。
その地点でもすでに成功確率はとてつもなく低いものだった。
「・・・成功の確率は?」
将軍が静かに川口に向かって、質問した。
その言葉で、皆の視線が再び川口の方向へと向かう。
「50:50・・・といったところでしょうか。」
五分五分・・・
成功か失敗か・・・
1対1の確率ということか。
「いや、100にできるだけしてもらいたい。」
将軍からの厳しい注文に、川口は困り顔をする。
川口自体も皆もこの作戦には賛成だろう。
むしろ川口はこれを進んでやるといったのだ、もしかしたら会長説得をやりたがっているのかもしれない。
だが、成功させられる自信は確実にはないようだ。
かといって、時間も残り少ない。
「「Try your best」、これでOKだろ?」
すると今度は英語が中学時代から苦手で苦手でしょうがない男・・・
まさに英語の苦手のプロともいっても良い男が、英語を使っていった。
「五月雨・・・」
川口は五月雨のほうをみて、五月雨は優しく微笑んだ。
おそらく川口の気持ちを察してだろう。
「全力を出せばいい、それだけの話だろう?」
「・・・あぁ、そうだな。」
川口は顔をあげたが、皆は顔を上げない。
川口の不安気な様子をみて、心配になったのだろうか。
「川口が説得するんだ、心配はない、そうだろ?」
五月雨は皆に向けていった。
そもそもこの同盟は人を信じることから初めた同盟だ。
今更・・・といわれれば今更でもある。
「そうだな。そんなの誰がみてもわかるよ。」
僕はその言葉にそう応えた。
「それに文句がある奴は俺に言って来い。熱く3時間は川口の信頼性について語ってやる。」
五月雨は軽く笑みを浮かべていった。
たった2ヶ月だけど、こうしていろんな問題がおきながらも川口はいい奴だ、信頼できる・・・
というのは、すでに証明されたことであり、そして全員が把握している。
皆もその五月雨の対応を見て、頷いた。
それは賛同の意味で、である。
「だが勝負をつけるには今日しかないっぺ・・・」
学校が味方についてくれたことで、退学は免れることができたかもしれない。
しかし、先ほども説明したようにいつ過激派がでてくるかはわからない。
今日は金曜日で、週末である。
もし今日を逃せば、ここまで攻めてきたのに、生徒会の連中に土日でまた回復されてしまう。
とならば、またある程度の時間がかかるのは当たり前だ。
そうなれば過激派が出現する可能性が高まってくる。
やはり勝負をつけるのは、かなり生徒会を追い詰めている今日しかないのだ。
「川口のことはたしかに信頼してるっぺ、けどもし仮に会長説得に失敗したら・・・」
「失敗のことより、成功のことを考えましょう。」
今度は中島が笑みを浮かべて応えた。
「いつもそうだったじゃないですか、どんなに危機的状況でも前だけを見てきた、そうでしょう?それにホントに仮に失敗してしまったら、それはそのとき考えればいいじゃないですか。」
「成功を信じないものに、成功はやってこない、なんてことをよく言うしな。」
・・・五月雨、それはどこの誰が言った言葉だ?
少なくても、僕は聞いたことのない言葉なのだが・・・
「ものすごい行き当たりばったりだったんだな、お前ら・・・」
クラスメイトのなかから声がきこえる。
「そうよ、それが絆同盟ってもんよ!!」
桶狭間がガッツポーズを決めるが・・・
そこは格好つけるところじゃない気がするんだよなぁ・・・
「大丈夫、今までどおりやれば成功しますよ、絶対に。」
中島は微笑んでいった。
よろしい、ならば具体的に説明してもらおう。
・・・なんてことは思わない。
だって、中島の言うとおり、この同盟はいつだって行き当たりばったりで進めてきたのだから。
そしてここまで進んできたのだ。
今までどおりやれば、きっと成功するだろう。
「それに常に次がどんな結果になるか、がわかっていたら人生なんて面白くないわ。七転八苦、そんな感じだから面白いの。仮に失敗したら失敗したときに、また悩むかもしれないけど、悩んで悩んで、それで解決策をだせば私はいいと思う。」
・・・直訳。
人生は行き当たりばったりだからいいんだ!!
・・・ということらしい。
ちなみに、「十転八苦」なんて言葉は存在しない。
「七転八倒」と「四苦八苦」が混ざったと思われる。
「ま、今回だけ特別に変えるっつ~義理もねぇだろ。」
と、苦笑しつつ言う時津風。
「そうだね、失敗したことを考えるより成功したときを考える、きっと神様も応援するならそんな暗い方向のことを考える人より明るい方向性を考えている人を応援すると思うよ。」
なんて僕も意見を出す。
・・・神様、もしこれが僕の勝手な解釈ならホントにすみません・・・
「・・・そうだっぺね。その通りだっぺ。」
関ヶ原も納得してくれたようだ。
「・・・お前も大変だな、皆からこんなに大きな信頼を背負っちまって。」
川中は川口に笑顔でいった。
そういえば生徒会を抜けた川口をこの同盟に誘ったのは川中だった。
いくら抜けたとはいえ、もと生徒会の人物だ。
そういう意味で、川中は川口のことを心配していたのかもしれない。
しかし現在はこうして皆から大きな信頼を得ている。
だからこんなにも笑顔なのかもしれない。
「ハハハ・・・そうですね。」
と川口は苦笑を返した。
「じゃ、これはとりあえずOKだな。」
「あぁ。」
「任せたぜ、川口。」
「皆の想いに応えられるように頑張るよ。」
川口は苦笑しつつ、少し困り顔で言った。
とりあえず具体的な次の作戦の足場は決まったようだ。
だが、問題は多々ある。
「おそらく会長は生徒会本部会議室だろうが・・・」
あそこは文字通り、生徒会の「本部」である。
そこで多くのことを決定し、指示を出したり多くのことをしていく生徒会にとって最も重要な場所だ。
そこの警備があまいわけがない。
「・・・そう簡単にあそこにはいけないよな。」
問題はどうやって警備が頑丈なあの場所へ行くか・・・だ。
「守りが堅いなら、その守りを攻めに回らせればいいんだ。」
将軍の言葉に、皆がわかったようでわからないような表情を見せる。
それに対して咲良が反応した。
「陽動作戦・・・!」
「その通りだ。」
陽動作戦・・・
たしか咲良と喧嘩しちゃった日の昼に咲良が僕が購買部に行きやすいように行動してくれた奴だよな。
「つまり、俺たちが行動を起こし、守っている奴らが強制的にそこから離れるようにすればいいんだ。」
俺たち行動する連中は簡単にいえばおとり。
生徒会の連中がそっちに食いついている間に、警備の弱くなった本部に川口を向かわせればいい。
・・・ということか。
その将軍の発案に皆が「なるほど」とばかりに頷く。
「そこで、必要なのが全校生徒の協力だ。」
「え?」
皆が困り顔をした。
たしかに陽動作戦を行うには、できるだけ事が大きいほうがいい。
そのほうが多くの連中が向かってくるからだ。
だが・・・
「でもさっき将軍は「指揮がまわりきらない」って・・・」
「あぁ、だから行動を一部に限定する必要がある。」
行動を一部に限定・・・?
「今までに全校生徒が唯一まとまっていることができた場所といえば?」
そうか!
わかった!!
皆もその質問に反応した。
おそらく答えは同じだろう。
「体育館!!」
体育館といえば、桶狭間が一番最初に皆の呼びかけた場所だ。
あの時は、本来なら生徒会による体育祭の種目の説明がある予定で・・・
若干きついながらも、全校生徒がぴったしとその空間に入ることができていた。
「そう、そこで全校生徒とともに「体育館管理係」に対して生徒会批判を行う。」
ちなみに体育館管理係というのは、生徒会が昼休みに随時配備しているものの1つで・・・
「警備部」の管轄に入るんじゃなかったっけか?
たしかうちの高校では体育館は昼休みなら誰でも使ってよかった。
だがその分生徒間のトラブルなんてものも多く、それを防ぐために配置させられた係だ。
ま、「部」のなかの1つの「係」ということもあり・・・
人数は2~3人だろう。
とりあえず生徒会所属の小数部分に対して、全校生徒という大人数で反発を行えば・・・
援軍としてかなりの人数がかけつけるはずだ。
「なら、俺も目立とうかな?」
と今度は桶狭間が言う。
「俺ともう1人が別働隊として、放送室をジャックするぜ。」
ジャック・・・とは・・・
またすごい言い回しを使ったものだ。
「そこで皆に対して放送を使って、いろいろと語るってのはどうだ?」
「それ、のったっぺ!!」
関ヶ原が桶狭間についていくということをを表明した。
「連中、慌てふためくぞ?」
「だが、たった2人じゃ危険じゃないか?」
将軍は彼らを心配するようにいった。
相手は生徒会で何をしてくるかわからない相手だ。
時津風や川中ならともかく、彼ら2人は運動神経はいいものの、さすがに大人数は相手にできない。
「大丈夫、放送室には内部からかけられる鍵もあるから。外からは入ってこれないようにするさ。」
桶狭間が将軍に言った。
「しかしなぁ・・・そうだ、時津風と川中もさらに別働隊として動いてくれないか?」
「どういうことだ?」
2人は首をかしげた。
「放送室、体育館とは別に動いて連中の注意をひきつけて欲しい。」
とはいっても、基本は放送室に本来なら行く予定の連中を2つに割るため、というのが妥当な言い方だろう。
2人は今までの実績から生徒会でもかなりの注意人物としてあげられているだろう。
そんな連中が本部会議室周辺をうろうろとしていたら、さすがに困るだろう。
作戦としては完璧だった。
皆も頷いていた。
だが、それに対して2人は納得がいっていないようだった。
「作戦自体には賛成だ。だが、俺たちが連中の周りにいけば、それは攻める、ってことになっちまう。」
時津風は少し深刻そうな顔でいった。
それに続いて、川中も言う。
「私たちの武術はあくまで自分の身を守るためのものであり、攻めるためとか個人的な喧嘩とかに使っちゃまずいんだ。」
2人は下を向く。
「・・・ここまできて新しく作戦をまた考えるのか?」
「結構いい作戦だと思ってたんだけどな・・・」
なんて声が再びチラホラと。
「おい!!」
2人の感情を察してか、桶狭間が注意する。
これらの言葉は、自らが作戦全体を崩そうとしてしまっている、という2人にとっては圧力的な言葉でしかなかった。
「・・・悪い、少し考えさせてくれ。」
「・・・同じく。」
2人はそう静かに言い残して、教室から出て行った。
「お前ら、もう少しあいつらの心情を思ってやれなかったのか?」
桶狭間は皆に言う。
「・・・やめとけ、桶狭間。ここにきての仲間割れはマイナスしか生まないぞ?」
川口がそんな桶狭間に対して静かにいった。
「とりあえず残った皆は体育館の陽動ということでいいな?」
「あぁ。」
皆がまた頷いた。
「・・・あとはあの2人がどうするか・・・か。」
ここにきて、新たな問題に当たった。
ここにきてのつっかえは正直かなりつらいものである。
すでに時間は11時ちょいである。
思った以上に学年主任の説得に時間がかかったからだ。
作戦実行は体育館の陽動にあわせて、昼休み。
すなわち13時。
まだ2時間あるが、少なくても1時間はないと全校にこの情報はまわりきらない。
下手をすれば、作戦がどうとか言う前に、作戦自体がなくなってしまう。
「・・・どうすればいい・・・」
将軍は少し焦りの表情も見せつつ、困り顔で時計を見つめつつ言った・・・
「作戦」 完
おまけ 雑談その1
参加者→十六夜、五月雨、桶狭間、川口
十「はぁ・・・」
五「お、戻ってきた。ちゃんと卯月は保健室に運んだか?」
十「あぁ。」
桶「・・・しかしまさかヒロインがログアウトしちまうとはな・・・」
十「とりあえずは卯月がいないと、まともな人がいなくなるから川口をつれてきたぜ。」
桶(・・・まともな人がいないって、自分すらまともと思ってないんだな。)
川口「よぅ、皆、上手く進めてるか?」
一同「・・・ビミョ~。」
川口「マジか。あ、そうそう。「川」がつく人は俺と姐さんがいるから、鍵カッコ前の表示は俺の場合はフツーに「川口」と表記します。」
五「大人の事情の説明、ご苦労様です。」
十「大人の事情言うな。」
五「おう、わかったぜ!じゃぁ、小説の事情と言い換えよう!」
十「・・・疲れた。」
五「萎えるなwww」
十「るっせ!誰のせいだと思ってる!」
五「O☆KE☆HA☆ZA☆MA!!」
桶「俺かよ!?」
十「さて、じゃぁ、進めていきましょうか、自己紹介コーナー!」
桶(面倒だからって、いきなりすっ飛ばしやがった・・・)
十「じゃぁ、今回は誰の自己紹介?」
川口「桶狭間なんじゃないのか?」
桶「しかし、卯月がいないのに勝手に進めたら怒るんじゃないか?」
十(・・・あいつなら・・・)
「何勝手に進めてのよ、ヒロインであるこの私の差し置いて!!」
十(とか言いそうだな・・・いつもは「どうでもいい」とか言うくせに、なんだかんだで素直じゃないよな、あいつ・・・)
五「・・・何一人で頷いてるんだよ?」
十「うん、勝手に進めるとあいつがキレるから今回は雑談ということにしよう!」
五「雑談だと!?いいのか、それで!?いいんですねー!!」
十「・・・うれしそうだな、おい。」
五「まぁ、いろいろと語れそうだからな。規制がかからないってのはいいことだ。」
川口「ふむ、じゃぁ今回は雑談ということになるんだな。」
十「悪いな、呼んでおいて雑談なんて。」
川口「いや、いいよ。」
五「さて、雑談といえば、この俺、五月雨 時雨でございます。」
十「じゃ、ネタ振りはお前に任せた!」
五「ではこのお便りをひきますね~♪」
桶(いつあんなものを用意したんだ・・・)
五「はい、では今日はこれ!え~と・・・」
「十六夜さんに質問です!前回のおまけで旧海軍に詳しいとききましたが、どの程度詳しいのですか?」
五「以上、名前「4月の桜」さんからでした。」
桶(・・・まんますぎる。)
五「・・・ま、どうでもいいよな。・・・ということで次!」
十「おい、こら!!勝手に次に進めようとするな!!」
川口「ふむ・・・十六夜は旧海軍に詳しいのか・・・」
桶「俺でもわかる船といえば、戦艦「大和」と「武蔵」ぐらいだな。」
五「うんうん、日本男児なら大和や武蔵には1回は惚れるよな~w」
桶(・・・そうなのか?)
川口「たしかに大和や武蔵はすごく有名だもんな。そういえば昔、現代のイージス艦と大和型、戦ったらどっちが強いか、ってのがネット上で討論になってたな。」
桶「普通に考えて現在のイージス艦だろ。」
川口「たしかに遠距離戦ではミサイルやレーダーもあるからイージス艦だが、遠距離船に今の船は特化しすぎたために近距離戦になると厳しいらしい。」
五「そーなのかー。」
川口「そもそも、今の護衛艦に積んでる対艦ミサイルじゃ大和は沈まないらしい。」
十「・・・え?」
川口「イージス艦はスピードやらレーダーやらにこだわったために、艦そのものの防御力が薄いんだ。だから今の対艦ミサイルもほとんどが爆発系で、昔のように貫通系ではないらしい。」
十「ふむふむ。」
川口「だから今の対艦ミサイルじゃ大和を沈めるのは不可能らしい。仮に貫通力のあるミサイルでも、大和の防御力は尋常ないらしく、そう簡単には沈まないらしい。」
十「ま、魚雷を1発くらってもびくともしなかった、っていう船だからね。」
五「じゃぁ、勝つためには遠距離からミサイルを撃ちまくって大破させることぐらいしかできない、ってことか?」
川口「みたいだね。ま、実際沈まなくても大砲と艦橋がやられれば戦闘艦としての意味は果たさなくなるから、近距離戦でも先に撃ったもん勝ちってことじゃないか?」
五「なるほどな。」
川口「ちなみに今の対艦ミサイルで大和を沈めることができそうなのは、ロシア軍のキーロフという軍艦が武装している、P-700というミサイルらしい。」
桶(・・・話が難しすぎる・・・)
十「でも、僕としては金剛型巡洋戦艦に萌えるんだが・・・そんな僕は日本男児として失格でしょうか?」
桶狭間(混合?)
十「スラッとした船体に、ドッシリと構えた艦橋と巨砲。特に金剛型はスピードもでたし、たまらないね。」
五「お前、もう船と結婚してこい。」
十「嫁は現在は台湾海峡の海底で静かに眠っております。」
川口「・・・ドンマイ。」
十「ま、さっきの質問に答えれば、「それなり」にわかる、ぐらいかな。」
五「それのどこが「それなり」だよwww」
桶「どう見ても詳しいじゃないか。」
十「いやいや、詳しい人はホントに詳しいからね、僕なんかじゃ足元にも及ばないよ。」
五「・・・たしか卯月は旧陸軍に詳しいんだよな?」
十「みたいだね。」
五「学年主任はそこら辺の歴史に詳しいし・・・お前ら3人が集まれば1つの太平洋戦争系のゲームが作れるんじゃないか?」
十「学年主任が絡んでくるとなると、おそらしく戦争美化ゲーになる希ガス。」
五「だけど、実際いけそうじゃね?3人もいるんだし、神主ZUNを見習え!」
十「無理いうなよ・・・」
五「サークル名は「薔薇獄乙女」でどうだ?」
十「人の話をきけ!そして、アリプロとローゼンメイデンに謝れ!!」
五「この際、東方みたいにキャラはほとんど女性でwww」
十「おいおい、東條英機が可愛い・・・だと!?」
川口「むしろ、牟田口や辻が心配だな。」
十「牟田口か・・・戦国BASARAでいう、オクラ(毛利)みたいなキャラになる予感。」
五「兵は捨て駒なり!」
十「でも可愛いから許す!!」
五「俺の牟田口がこんなに可愛いわけがない!」
十「・・・もはやいろいろとひどい・・・」
桶「だが、実際そんな過去の戦犯の人物を可愛くすることなんて可能なのか?」
五「ま、この国なら可能なんじゃね?」
桶「なんで?根拠は?」
五「だって、中国からの悪口で「日本鬼子」なんて言葉が昔はあったんだが、それを萌えキャラ化しちゃったし。」
十「恐るべし日本の萌えキャラ化能力・・・」
川口「それで中国は困って、今度は新たに「小日本」なんて言葉を作ったんだよな。」
五「でも、またまた2chの悪乗りで今度は「小日本鬼子」とかで、鬼子のロリ型キャラが大量にwww」
十「・・・つまりそれを目指せ・・・と?」
五「そういうことだ!!ライジング萌えを目指すんだ!!」
十「でた、2chの名言。」
五「いや、名言は「萌えは21世紀のガンディー」だろ。」
桶「ガンディーに謝れ!!」
五「ですよねwww」
十「そろそろ行数が大変なことに・・・」
五「よし、ここで今日の結論。「萌えは世界を救う!」、これでよし!」
十「よくねぇ~!!」
五「では今回は終了です。お疲れ様でした。」
十「強制終了・・・か・・・チクショー・・・」
完