第1話 契約
サモナースクール。
そこは地球上に眠るありとあらゆる物に命を与え、
そして、生物を操り、
召喚師としての素質を確かめるための学校。
この学校は現在からは考えられないほどの遠い未来の話である。
ある時、ある日本の学者が、物に命を吹き込む実験に成功し、
日本の環境・経済・貿易など、さまざまな役割を果たすことができた。
この便利な力を独り占めするわけにはいかない。
みなに伝えて、日本を変えるのだという試みで、
この召喚を日本中の人々が使えるようにするために、
すべての学校がサモナースクールとなった。
その中にもやはり現代と同じように、優等生もいれば劣等生もいる。
では今回はその劣等生の話である…
「ではこれから試験を開始する!番号1!赤沢ツバキ!」
藤岡先生の大声と共に、体育館で召喚獣実技試験が始まった。
…かに思われたが、
「せんせー、赤沢くん今日休んでますー」
生徒の一人がそう言うと、
「んなぁぁんだとぉぉぉ?サボリかぁ!…ふん、まぁいい。
落ちこぼれは落ちこぼれていればいいのだ。
では、番号2!井川鏡!」
「うーす。」
と、番号1の赤沢を飛ばして、井川のテストが始まった。
「では、井川。お前の召喚獣を見せてみろ。」
「はい。」
そういうと、体育館の中は静まり返った。
「天より出でし、鏡の精霊ミルザム。その輝きの元に、全てを跳ね返せ…!」
そう言うと、天井の方から、大きな鏡を持った天使が現れた。
「ふむ。それが、お前の召喚獣か。ではこちらもいくぞ!」
そんな過酷な試験が行われている間、番号1は家でゴロゴロしていた。
「ん〜暇だなぁ〜」
ツバキが呟くと、
「あんたは学校に行きなさい!」
と母にしかられた。
「いいじゃん。俺は落ちこぼれなんだから。」
「よくありません!あんたは努力してる風に思えないけどね!」
そう言われたツバキは反論した。
「なんだと!?俺はどんなに頑張ったって召喚獣が呼べないんだよ!
いくら頑張ったって無理なんだ!」
そう怒鳴り返すと、母は黙り込んだ。
「ふ…ふん!そんなもの…俺には関係ないんだ…!」
そう少し涙ぐみながら言って、家を出た。
「YOU WIN!」
格闘ゲームでお金をだいぶ使ってしまったツバキは、ゲームセンターを出ることにした。
外では、道路を車を元にして作られた、召喚獣に乗った人々がいる。
売店では、召喚獣のエサなども売られるようになった。
「俺は一生、昔の人間のままなのかな…」
考えたら、泣けてきて、悔しくて走り出した。
とにかく走った。泣いてもわからない場所に。誰もいない場所に。
結局、たどり着いたのはこの川だった。
家からはそこそこ距離がある。人は誰も住んでない。
ツバキはいつも、召喚が出来ないことで苛められて、学校では我慢して、
誰も知らないここで泣いて、家に帰る。そんな毎日を送っていた。
「って…何考えてんだ俺…」
そんなこと考えてたら、泣けてくるのに…
「ちくしょ…ちくしょー!!!!」
泣きながら叫んでた。声が枯れるくらいに。
…もう帰ろうと思った矢先だった。
「いてっ」
川原でこけてしまった。右手をついてしまったので、
右手の手のひらから血が出ていた。
「あーだるいな…血か。なんだかひさしぶりだな〜血出たの。」
彼は人生でほとんど血を出したことはない。
この回想はまた後に入るので、事実だけを頭の片隅に置いていてほしい。
「…血。なんだろう…?この不思議な感じ…」
血…だ…
!
「誰だ…?」
誰かが何かを言った。…血?
やっと…血を…流した…
気がつくとその血は地面にたれ落ちていた。
俺と…契約…しろ…
「なんだと?契約?」
俺は…召喚獣…お前は…契約する…ことで…
「お前を呼べるのか…?」
ツバキはなにがなんだかわからなかったが、尋ねてみた。
ああ…そうだ…契約…しろ…!
なんだか知らないがこれはチャンスだ。
これで俺は召喚獣を呼べる…
もう…落ちこぼれなんて言われないんだ…!
「俺の全てを捧げよう!降りて来い!」
我が名を…呼べ…
我が名は…
ウ…ル…フ…!
「来い!ウルフゥ!!」
稲妻のような物が見えた。
ツバキの右手に刺さった。
「んぐ…ぐわぁぁぁあああああああっ!!!」
叫びながら、倒れた。
川原は赤い光に包まれた…
光が消えた。
僕の右手の甲には、
狼の紋章が刻まれていた。
彼が手に入れた力はどんな力なのか…
そして、彼は召喚師になれたのだろうか…
続く。




