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◯9冊目 宮部みゆき著「ブレイブストーリー」を読んだよ!

今回はリアル読書。角川文庫 宮部みゆき先生の「ブレイブストーリー」を雑食読書。

それではイタダキマス 4_(* ̄▽ ̄*)_ψ


お久しぶりの雑食読書です。

色々読んでいるのですが、今回取り上げるのはある意味「なろう」への宣戦布告かもしれない(笑)

いや、転生モノとが厳密に違うし、現実と異世界ファンタジーを行き来する事によりリアルを感じるという意味では、やはり流石宮部みゆき先生といった所ですが、今回取り上げるのはファンタジー小説「ブレイブストーリー」です。


まずは恒例のあらすじから。



>>> あらすじ引用 Amazon.co.jp

小学五年生の亘は、成績はそこそこで、テレビゲームが好きな男の子。大きな団地に住み、ともに新設校に通う親友のカッちゃんがいる。街では、建設途中のビルに幽霊が出るという噂が広がっていた。そんなある日、帰宅した亘に、父は「この家を出てゆく」という意外な言葉をぶつける。不意に持ち上がった両親の離婚話。これまでの平穏な毎日を取り戻すべく、亘はビルの扉から、広大な異世界―幻界へと旅立った!

>>>




今作は、長編アニメ映画化された事でも有名ですね。

文庫版では上・中・下巻という大作仕様です。僕は映画は未見なのですがよくぞ、このボリュームを映像化したものだ、と思います。小説を映像化する可否はとりあえず置いておくとしてもね。


宮部みゆき先生は僕、「クロスファイア」や「レベル7」「ステップファザー・ステップ」で入った口なのですが、読み応えあり。でもストーリーテラーとして秀逸な大家である宮部先生、今回も怒涛の読み応えでした。


現実への絶望。願いを叶える為の冒険。

ファンタジーの世界でなら僕らはヒーローになれるかもしれない。これって、誰しも思う「夢」だと思うのです。

でもね、宮部先生は残酷なまでにリアルでした。そこはさすがミステリやサスペンスで名を馳せる大家ですよ。シンプルなヒロイックファンタジーな訳がない。上巻で記されるのは、主人公亘のこれでもかというくらいの「ちっぽけな現実」とその「ひび割れていく過程」なんですから、切なくなる。


さらに切ないのがですね、彼は最初から選ばれしニンゲンではないという事です。

本作における異世界を「幻界(ビジョン)」と呼びますが。偶然にも入り込んだ彼でしだが、そそくさと追い返されてしまいます。


さらに「旅人」と認定されてからも、ライバル・ミツルの方が優勢で。亘君は常に追いかける立ち位置。幻界ビジョンでの亘君の冒険は苛烈を極める。まるでファンタジーRPGのような世界観。でも。モンスターを倒せばお金も経験値も手に入るわけではないリアルがそこにはあって。


ファンタジーになったからといって、ヒーローになれる訳でもない。


これは今作の視点の一つかもしれないけど。

最初から強い人はいない。

でも魂は、想いは、優しさは、勇気は何より世界を動かす。


「幻界」で亘君は様々な出会いを得る。

ミツル君は幻界を生きる人々を否定する。

その結果はーーーーここでは語るまい。なろうの作家の皆様及び、読者様にはある意味王道なので、察する事ができるかもしれない。でも察してなお、多分この壮大な物語を楽しんで頂けるんじゃないかと思うので。


ファンタジー世界の王道。それは友が友を想う心であり、勇者が自身の「影」と向き合う勇気であり。僕らが僕らと向き合う鏡であり。


この物語を、大人の身勝手さが生んだ子ども達への一方的な受難ととるか。全ての子どもだった勇気を失った勇者達へのエールととるか。


それは読み手の勇気が示すリアルの向こう側の物語なんでしょうね。


今回も素敵な雑食読書、ご馳走様でした。


ブレイブストーリー

宮部みゆき著

角川文庫

上巻 (ISBN 978-4-04-361111-9)

中巻 (ISBN 978-4-04-361112-6)

下巻 (ISBN 978-4-04-361113-3)


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