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命をかけて願うことは  作者: 小狼
ウィユの物語
7/8

人徳は時に島を滅ぼす①

新主人公 ウィユ  身長 160センチ

          服装 紺色のゴスロリ衣装を着た少女

          髪  黒髪でショートボブ

          年齢 16歳で成長が止まっているため不明

          容姿 東洋系の可愛い子供

キーアイテム 龍の瞳   対象の命を対価に願いを叶える。ただし対人への物理的行為はできない。

             アイから引き継いだもの 

アイの別名「リュミエール」の様な名前はなくそのままウィユと名乗る

ウィユは生の魚を食べていた。活きの良いピンク色の魚はプリプリで透明な身を宿しており、歯をいれると、とろける様に甘い。しょっぱいタレがまた良いアクセントになっていた。

漁師からそのまま食べるのがおいしいとのことで、調理してもらった。

官能的な美味しさに勝手に手が頬を撫でる。

一呼吸して続いて鳥の塩串焼きを食べた。引き締まった食感が食べ応えを感じさせ、備え付けの緑の果実を少し絞るとまた違った爽やかな味わいを楽しめた。

酒も嗜み大変良い気分になりながら店を出た。

夕焼けが紫色に輝いている。

外には杖をついた年寄りの老人が立っていた。

本日の依頼者は町長のトナー。

ウィユは右手を挙げて挨拶をした。

「こんばんは~。ウィユです。」酔いが回り、頬を赤らめ、満点の笑みでニコニコする。

「こんばんはウィユ様。トナーです。本日はご足労お掛けしました。」

トナーもにこやかに笑いながら挨拶をする。どちらかというと孫と話している様にみえる。

ハゲが紫の光を反射しミラーボールの様に反射し、周りを照らす。

「宿はあちらになります。本日はお休みになって明日お話ししましょう。」少し離れた白い建物を指した。光が反射し照らしているので非常に分かりやすい。

「わかりました。おやすみなさい。」ウィユは手を振りながら歩いて行った。最後までご機嫌でその足取りは軽やかなままである。

翌朝

「ふふふ。してやられたわ」ウィユは部屋で頭を押さえていた。

「あんなもの食べたらたくさん飲むわよ。ふつー。」

ウィユは、酒は好きだが決してたくさん飲めるわけではない。

制御できるわけでもなく、翌日はほぼ二日酔いになる。しかし辞めようとは思わない。

果実ジューズを飲み少し仮眠を取ったところで、町長のトナーが働いている建物に足を運んだ。

既に昼近くになっている。

「おはようございます。よく眠れたようで何よりです。」トナーは机で作業していた。

口調にはやや圧がかかっている。ウィユは視線を外した。

「おはようございます。トナー様。昨日は失礼いたしました。」

「いえいえ、町の味覚を味わっていただきありがとうございます。」

「そう言っていただけると助かります。」ウィユは頭をさげた。

仕事前にはもう飲まないと一度も守られたことがない誓いをもう一度たてた。

「さて、依頼をする前に率直な意見を伺いたいのだけどよろしいかな」トナーが口をひらいた。

「何なりと。」ウィユも姿勢を正し仕事モードに切り替えた。

瞼を少し閉じ、相手の全てを見通す様に鋭く見つめる。

「そんなに鋭くしなくていいのだけどね。聞きたいのはこの島、というか島々の地形についてだよ。」

ウィユがいる島の他に7つ、合計8つの島が円を描くようにそびえ立っている。島と島は2~3キロほどしか離れておらず、1番遠い島でも目視で見られるほどの距離になる。

中心には非常に大きい渦潮がある。回る力もすさまじく、大きくなれば周りの島々は飲み込まれてしまうほどだ。

今いる島は8つの島で一番発展しており、リーダー的な立場にある。

当然そこの長は島々の中で一番偉い。

「おもしろい地形だと思います。特に渦潮は昨日と比べて少し荒れているようにも思えます」

ウィユは率直に話した。

「全くもってその通り。あの渦潮は昨日と比べて荒れています。その理由は8つの島の感情によって変わるからです。」トナーの口元が緩む。

「珍しくてね。何故かは知らないが、島の人々の感情の高ぶりで渦の強弱が決まるようなのです。祭りがあると渦潮はすごく回るし、何もない日は本当に穏やかで、渦潮の上を泳いでも何ら問題ないくらいになる」

「1つの島が祭りを行うとその島近辺だけが威力を増して、一年の終わりの祭りを全島一斉に行うとすごい勢いで回るから水位も増して大変ですよ」

バケツを指で勢いよくクルクルかき回すと、遠心力で水位が上がる現象と同じなのだろう。

「確かに珍しいです。しかし世界には色々な珍しい現象はたくさんあります」実際ウィユが旅した所でも珍しい現象が度々あった。

前任者のアイから聞いた話でも似たようなことがあったらしい。

「さて、今回の依頼ですが・・・」

トナーは腕を組み、上を向きながら口を開いた。

「そろそろこの島の代替わりを行おうと思っております。」

何となく予想はついていたことであった。老齢であり、杖もついているのだ。なんらおかしいことではない。

「ご存知の通りこの島は全ての島の頂点です。責任も重大だ。私は跡継ぎを決めているわけではないのです。」

「そこで、周りの島の代表者を一人選別してその中から選挙で代表者を決めたいと思う。」選挙は最もセオリーであり、これについても予想の範囲内だった。

ただウィユは出された紅茶を一口含んだところで疑問が浮かんだ。

人というのはあまり欲に弱い。それこそマイナスの感情が渦巻く。その感情はうれしい等の感情よりも大きくおぞましい物になる。それはつまりこの島々の中心にある渦に大きな変化が現れるほどに。

それを理解していない人には見えない。何か裏があるのではないか。疑問が脳裏に浮かびトナーの顔をみた。

いつの間にか上を向いていたトナーの顔がこちらを向いてにこりと笑っていた。

「おっしゃりたい疑問は解ります。島のことについてですよね。そこで依頼になるのです」

ウィユは首をかしげた。

「私の命と引き換えに私のこれまでの仕事内容についてこの目で各代表者へ見てもらい、さらにその仕事を見た各代表者の感情を各島々の人に見せてほしいのです。」

「なるほど。今回の目的は仕事内容というよりは島の人たちに代表者達がどんな人間かを知ってもらうことに重点を置いているのですね」ウィユはクッキーを摘まんで勢いよくそれを砕いた。

「そういうことです。」

「ただ、一つ疑問は、仕事内容自体は映像では駄目なのでしょうか。昔と違い可視化することは容易です。なにも命を捨てるほどではないように思えるのですが」

「正論ですね。ただ、今回のキーは各代表者の感情を見てもらうことなのです。言い方が悪かったかも知れませんね。感情を見るではなく感情を具体的に感じてもらうが正しいかも知れません」

「代表者は伊達に代表者なので、感情のコントロール、とくに表情を隠せる人がほとんどです。どんなに熱く弁論してもあくまで笑顔でいることは容易いのですよ」

トナーは苦笑いをしながら紅茶を飲んだ。

話しを聞いたウィユは目の前にある顔でさえ本当の顔なのかが気になりはじめた。

「話しがズレ掛かっているので一度戻します。それで、まずは可能ですか」

トナーはウィユに自分のクッキーを差し出した。ウィユがクッキーを気に入った様に見えたらしい。

「結論を言うと可能です。ただ、島々の人に感情を感じさせる事はあまりオススメしませんね。感情を感じさせるというのはあなたが言葉を言い直したように、普段感じない感情を無理矢理感じさせることになります。つまり情緒不安定になる可能性があります。すると渦がそれこそ大変なことになります」

今度は差し出されたクッキーを1枚口に加え、溶かすように啜る。

「ごもっともです。もちろん各島には今回の件については通知し、もしもの時に備え防波堤を強化してもらうつもりです。それに私は次の町長を決めるにあたって、みんなが本当に信頼できる人間を町長にしたいと考えています」

「ところで教えていただきたいのですが」ウィユは更にクッキーを1枚口に入れた。

「何なりと」

「この島の代表者は現7つの島の代表者から選定されるのですか」

「基本はそうです。もちろん例外もございます」

「では、この島の代表者に選べたら今いる島の代表者としての仕事はどうなりますか」

「基本は引退して、別の代表者になります」

「ではその島の代表者はどのように決まるのですが」

「その島の独自の方法で決めます。話し合いもありますが大体は選挙になりますね。」

ウィユは紅茶を一口含んだ。

「その時の渦はどうなりますか」

「その島人の感情が高まりますので、渦がその島へ偏ります」

「例外と言われましたが、例外とは」

「代表が辞退されたり、代表が別の者を指名したりするケースもあります」

「トナー様もこの別の島の代表だったのですか」

「はい。ただ、私の時は仕事内容がひどかったのか各島の代表者が辞退されました」

「辞退とは。」

「ちょっとお待ちいただきたい。さすがにひと呼吸置かせて下さい。」

トナーは残りの紅茶を飲んだ。

ウィユの悪い癖は一度エンジンが入ると、相手が誰であろうと雨のごとく質問することだ。

「失礼しました」ウィユはクッキーを食べようとしたが皿の上には1枚もなかった。

トナーは追加で皿に盛り付けた。

「ありがとうございます。」少し酸味があるクッキーだ。

「最後の質問です。この島から代表者を出せばいいのでは。」

「まったくもっておっしゃるとおりです。ただここが8つの島々であり、昔から7つの島々の中から選定されるという伝統があるという理由があります。」

「ここは新しい物を取り入れて発展していますが、島によっては伝統を重んじる島もあります。」

昔ながらの考えがある島が複数あるということなのだろう。

理解は出来るが納得は難しい。

「ありがとうございました。」ウィユはお辞儀をする。

「8日後に開催する予定です。後日打ち合わせを致しましょう。それまでは是非観光して下さい。」

「わかりました。」ウィユはクッキーを口に全て入れて、部屋を出た。

一度ホテルに戻る途中、

「あ、辞退の意味を聞くのを忘れた・・・・」後日聞くことにして、ウィユはそのまま一度戻った。

この島々を行き来するのはとても容易である。

大きな橋が架かっているためそれを渡る。歩いて行く方法、早く渡るなら馬で、緊急なら大きな鳥の背に乗って渡る。

ホテルで一休みしたウィユは、観光がてら各島の代表者に会うことにした。

各島を歩くのが億劫なので鳥の乗鳥をお願いしたのだが

ホテルに聞くと

「せっかくなので馬でどうぞとのトナー様からの伝言です」と断られた。

「あのハゲ・・・」この僅かな時間で話しを通しているなんて抜け目ない。

ウィユは渋々乗り場に行った。

ウィユは前主人公アイと違い、感情豊かで良くも悪くも性格は普通の女の子

今回は少し話しが長かったので二部構成にしています。

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