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ゴリラ先輩ラーメン子  作者: 彩女好き
いつもの三人編
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19/213

19日目 創生王な彼女



「この間知ったんだけど」


「何の話ですか?」


「うん。隣の部屋を使ってる人の事」


いつもの部屋に、定番となったメンバーがいる。

僕と先輩と冷蔵子さんだ。

ゴリラのような握力を持つ先輩と、氷のような瞳を持つ冷蔵子さん。

僕も何か特徴が欲しいところだ。


「隣の部屋の人ですか。何やってるんですか?」


「えっとね、夜の図書室部」


「夜……ですか」


昼はどうするんだろう。

漠然と僕は思った。


「なんで夜に限定してるんですかね」


「さあ?」


先輩はにべもない。

まあ正直、詳しく知ろうとも思わない話題だが。


「夜の、図書室部ですって?」


読んでいた本から目を離し、冷蔵子さんが話しに加わってきた。

やはり本とか図書室とか、そういう関係には興味があるのだろう。


「まさか! ……あの組織は、1度滅びたはずよ……!」


愕然とした顔をする冷蔵子さん。

それをポカーンと見つめる僕と先輩。

冷蔵子さんは、両手をわなわなと震わせて憤っているようだった。


「何か知ってるんですか?」


僕の質問に、冷蔵子さんは蒼白な顔で肯いた。


「知っているも何も……私が作った組織よ」


意外な繋がりだった。

繋がりと言うか、冷蔵子さんが創始者だった。

そして彼女は語りだした。

その忌まわしい記憶を……。


かつて冷蔵子さんは思ったらしい。

図書室マスターになろう、と。

どうしてそう思ったのかとか、図書室マスターって何? とは聞かなかった。

誰にだって、道を踏み外す時がある。


図書室マスターになるために、彼女は夜の図書室に忍び込むことにした。

何人も知らない夜の図書室。そこに至ることがマスタークラスなのだと言う。

警備装置の無い位置を割り出し、とある小窓から侵入できる事を突き止めた冷蔵子さん。

そして彼女は図書室マスターになった。


しばらくは1人夜の図書室に浸って満足していたという。

やがて彼女は、その事を自慢したくなった。

そうしてメンバーを集める内に、秘密組織『夜の図書室部』が結成されたという。

部と言ってもこの学校には部活動が無いのだから、秘密組織という称号こそが正しいのだろう。


夜の図書室部の総統に君臨した冷蔵子さん。

ある日彼女は気付いた。図書室に不法侵入ってやばくないかと。

何故最初にそれに気付かなかったのか? とは聞かなかった。

誰にだって道を踏み外す時はあるし、それに気付けないものだ。




そして、自らの手で組織を滅ぼした。




「ふ~ん。そんな事があったのね」


先輩が適当に相槌を打つ。


「でも、隣の部屋に残ってるんですよね」


僕も適当に相槌を打った。


「何故……!? 何故あの組織がまだ残っているの……!?」


苦悶の表情を浮かべる冷蔵子さん。

何故と言われても僕にも先輩にも分らない。

そして、分ろうとも思わない。


「あ、先輩。今度リンゴの漬物くださいよ」


「いくら出す? 高いぜー超高いぜー?」


自ら解決せねばならない事もある。

だから僕も先輩も、静かに冷蔵子さんを見守るのだ。

……多分。





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