第68節 ペーターと悪魔の剣 その2
いや~、怒涛の連投なんて思ってたんですけど、
起きたらお昼でした・・・洗濯3回目実施ちゅう
ごミサは、2回目が10時からですからね・・・
間に合うわけがない
家族寮に戻るまでには、ペーターさんは意識を回復していたけど、奥さんが怖いので、眠ったふりをしていた。しかし、気付かれているよ。
階段をカールさんがロープを引いてあがると、バイエルンの団員が部屋の前で待っていた。
奥さんが気付いて、ペーターさんを揺さぶって合図した。
ペーターさんは、首を起こして団員達を見た。気まずいようだが、意を決して口を開いた。
「・・・皆、すまん。俺が悪かった・・・」
「いや、ペーター、俺らが悪かった。また、うまくやり直そうじゃないか」
「できればそうしてほしい・・・」
「俺らは仲間じゃないか・・・」
ペーターさんはこらえきれず、顔の上に腕を置いて、嗚咽している。
なんだか、マッチョなおじさんたちが、ガシッっと肩を抱き合って、団子のように固まってペーターさんを囲んでいるよ・・・なんだか、見てはいけないものを見てしまったかもしれない。
ふと、団員の一人が、カールに向き直って、言った。
「カール、ありがとう。恩にきる」
「まぁ、明星亭の女将さんに言われたら来ないといけなくなるからな・・・俺こそ、女将さんに恩返しするためだから、気にしないでくれ
それに、お前らの仲を裂いたのは、悪魔の仕業だから気にするな」
「カール、お前は本当にいいやつだな・・・」
カールさんも上手いよね。悪魔のせいにすれば、すべてうまくいくじゃない?
「ふふふ、お前らしいな・・・」
「おれはいつもこうだ。さて、まだ回復していないから、すこし寝た方がいい、もういいか」
団員さん達は囲みを解いて、道を開けた。カールさんは、長椅子というか、木のベンチのような椅子の肘掛を持って、方向転換し、奥さんが開けてくれた扉から中に入っていった。。
団員さんは、途中でまた迷宮に行こうとペーターさんに声を掛け、三々五々帰っていた。皆、ほっとした顔をしていた。奥さんは彼らに目礼をして中に入った。
僕も、長椅子の後について、中に入った。さっきはいなかったちびっ子が二人、部屋にいた。ベッドのような気の箱の中で、藁の上に座っている。子供たちは、ペーターさんが帰ってきたので嬉しそうだが、カールさんを見て、近寄るのを止めた。
「ほれ、お前たち、カールさんに挨拶しようね」
「こんにちは、カールさん」
「こんちは、クア―ルしゃん」
小さい子のほうは、まだ舌が短いようだ。
「やぁ、戦士の子、強くなれよ」カールさん、カッコいいかも。
「うん」今度は二人の声が唱和した。いいね。
・・・上のおにいちゃんが、僕より2歳ぐらいは小さい子のようだけど、もう、戦士になるという自覚があるんだね。僕は何の子だろう・・・向こうの世界の城塞都市で、悪魔の子とか言われたけど・・・
「じゃ、ペーターの奥さん、俺、帰ります・・・大丈夫かな?」
「はい、ありがとうございました。あの・・・」
「なにかな?」
「・・・あの剣の代金の銀貨ですけど、半分でも受け取っていただけますか?」
カールはくるりと踵を返し、背中で語った。
「奥さん、そいつは、この子らのために使わないと・・・俺はいらない。じゃあ」
奥さんは、予想外の答えに驚いていたが、言い難そうに
「あと・・・」
「なにかな?」
「申し訳ないのですが、椅子下していただけませんでしょうか」
カールさんは、ズコって感じで動いた。僕はすぐさま、打消しの呪文を唱えて、ゆっくり下した。ペーターさんは、驚いて、目を丸くして言った。
「あんた凄いな・・・そんなに小さいのに・・・」
「ちょっと、お前さん、失礼だよ。使徒様って呼ばないと・・・」
「そうだった。すまん、使徒様」
僕はニッコリ笑って、カールさんの後について、明け放しになっていたドアから出ていった。階段を下りると、まだバイエルンの人たちが玄関にいて話をしていた。
「カール、すまん。ペーターが拾った剣のことについて教えてもらえないか」
「おれも詳しいことはわからないが、あたりかまわず周囲の生きているものすべてを殺しつくす、殺人鬼にするために、悪魔が造り、ワザと拾わせるらしい」
「げ、拾わなくてよかった・・・」
「仲たがいになった理由はしらないが、その通りだな。触っているだけで、生気を吸い取り続けるらしいし、手から取れなくなるらしい。実際、ペーターの手からはがせなくて、教皇庁の若い神父様が、この使徒様の魔法の支援を受けて外してたよ・・・殆ど悪魔祓いだったぜ。
それで、礼拝堂の魔封じの箱とやらに入れてた。絶対開けるなってことだ」
「すげぇな、使徒様。あれ、その剣って、どうなるんだい?」
「教皇庁が没収した。でも、褒美として少ないけどお金が出るらしい。
よくはわからないが、帝国銀貨200枚らしい」
「なんだ、そんなものなのか・・・危険を冒すほどでもないよな・・・」
「まぁな・・・そういえば、バイエルンでなんかすごいものをドロップしたらしいじゃないか?」
「いや、あのアミュレットも大したことなかったよ。いま鑑定してもらっているけど、道具屋が全く同じアミュレットを持っていやがってさ・・・沢山出回っているらしい。これも悪魔の罠かもな・・・分配でもめてな・・・剣のせいではないんだ・・・今考えれば馬鹿だったよ」
「ま、仲間うちのことは、俺は関係ないから、これ以上聴かないが・・・教皇庁の若い神父様によると、第2の大攻勢の可能性があるらしい・・・その仲たがいも、悪魔のせいかもな・・・お互い気を付けようぜ」
「そうなのか・・・金を稼いでも、悪魔に殺されたら元も子もないな・・・」
「そうだよ、それより天に徳を積んだ方がいいぜ」バイエルンのメンバーが口をはさんだ。
そういえば、この二人って、スタンピードの時にいた人達だったな。僕は、バイエルンの星傭兵団の人との交流がないから、わからないけど・・・カールさんは、結構付き合いがあるようだね。あ、皆鉱山口に向かっている。もうひと狩りするらしい。カールさん達は、鎧の進捗を見に行くようだ。
まだ、夜まで時間があるので、カールさんに誘われるまま、砦の鍛冶やヘルマンさんのところに向かった。近いな、やっぱりこの街は狭いよ。すぐに砦についた。まぁ、街自体も200メートルぐらいしかないもの。
レオナルドさん達、帝国出張組は、一生けん命、鎖帷子を直している。ちまちましてて大変そうだ。しかも、すぐ横に、双子がびっちりついている。またなんか磨きながらチラチラっと見ているから、すごいプレッシャーじゃないのかな・・・
ヘルマンさんの所では、クラウディアさんとヘルマンさんが立ち話をしていた。クラウディアさんの手には、紐で纏めて縛られた、弓矢の矢が沢山握られている。
矢のうちのいくつかは折れている。僕は傍によって、二人の話に耳をそばだてた。
「同じ矢じりだったら、いくついるんだい?」
「ヘルマンのおじちゃん、100個だといくらで作ってくれる?」
「なんだ、クラウディアいつも数個しか頼まねえのに、値段はどうでもいいんだが、問題は原料なんだよ・・・可愛いクラウディアちゃんのためだからな、金額なんてどうでもいいんだよ。なにしろ、俺の妹の娘のためなら、いくらでもいいぜ」
「さすが、おじちゃん。大好きぃ~」
クラウディアさんは、ヘルマンさんの腕にしがみついた。ヘルマンさんのいかつい顔が溶けそうになっている。
「しかし、おめえ、ますますジェニーに似てきたな・・・あいつも生きていればなぁ・・・」
ヘルマンさんは、今度は泣きそうな顔だ。
「そんな顔しちゃだめよ。じゃ、鋼鉄を探してくればいいのね・・・」
「そうだな・・・しかし、なんでそんな、100本って数なんだよ?」
「・・・うん、また、大攻勢があるかもなんだって・・・」
「なに、本当か?」
「うん、教皇庁の偉いイケメンの神父様がいってたよ」
「ああ、あの堅物みたいなやつか・・・」
「えええ、笑顔が可愛いんだよ」
「でも、聖職者だぞ・・・」
「そうよね・・・なんかさ、アポロニアの元彼らしいよ」
「・・・なんだ、それ。聖職者なのかよ・・・」
「いあ、神学院に入る前だから、ちびっ子の時だよ。先祖が一緒にイタリアから逃げてきたらしいから、特別な感じなんでしょ?それに、皆同じ街に住んでるって。イタリア人街っていうの?」
「ふーん。まぁ、いいけど・・・材料がないんだよ」
「わかったわ。この矢じりさぁ、死体に刺さったじゃない?再利用しようと思うんだけど、なんか気分が悪いのよ。私のお気に入りの、この素敵な矢筒に入れたくないのよね・・・だから、20本は急いでほしいんだけど・・・」
「しょうがねぇな・・・矢じりを溶かして、作りなおしてやるよ」
「やったー、ありがとぉ~、ヘルマンおじちゃん」
そういうと、クラウディアさんは、ヘルマンさんの首に飛びつき、頬にキスをした。ヘルマンさん、また顔が溶けそうになっているよ。
なんかわからないけど、話に折り合いがついたようだ。しかし、ヘルマンさんの姪だったとは、気づかなかったよ。
クラウディアさんが持っていた矢は、歩く死体から抜いて集めてもらった矢らしい。まぁ、女子としては、普通の死体から抜いても気にしないのだろうけど、歩く死体だからね・・・気持ち悪いんだろうね。なんか病気になりそうと言っていたからね。
最後にクラウディアさんは、変なこといってた・・・
「ま、使徒様が、沢山鋼鉄剣をドロップしてくれるでしょう?それに双子のヘルム溶かしてもいいじゃん・・・」
なんじゃそりゃ・・・なんか勘違いしているな・・・今回の悪魔の剣のことだろう・・・
「おいおい、クラウディア、あのヘルムは、ワシが造ったんだぞ・・・」
「だって、新しいのもらうんでしょう?ふるいのいらなくない?」
「いや、あの上にグレートヘルムを被れるように、調整しているんだ」
「ふーん、そうなんだぁ・・・残念」
しかし、新たなクラウディアさんの一面を見た気がする。女の人は謎だらけだよ。僕は、クラウディアさんに見つからないように、そっと裏をまわって、レオナルドさんの作業しているところにいった。
「あ、使徒様、発見」うわ、見つかった・・・
クラウディアさんが、顔を輝かして近づいてきた。観念するしかないね・・・
いかがでしたか・・・ヘルマンさんは、実は好きなキャラです。
向こうの世界の農村に、ヘルマン神父様って出してたんですけど、
さすがに、こちらの世界との同一人物にはできなくて・・・
農村の教区司祭の物語とか書いてみたいですね・・・ファンタジーでなく。
まぁ、ドイツ語圏では、よくある名前ですよね。
超有名な人では、ヘルマン・ヘッセでしょう。
ナチスのゲーリングもヘルマンでしたね・・・怖い
あと、ヘルマン・プライというテノール歌手もいましたよね。
CDでしか聴いたことないですけど。




