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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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SS アーデルハイド、シャルロッテと出会う

こんばんはぁ~


今夜はショートショートです。


祝勝会が盛り上がりすぎて、明星亭の裏の納屋に住んでいる、アーデルハイドは五月蠅くて眠れないようですよ。

なんだか今夜はうるさいわね。アーデルハイドは宿屋のほうが気になっていた。なんだか騒いでいる人達がいるようだわ。

井戸からの水汲みと食器洗いが朝から待っていると思うと少しうんざりした。今夜は急な宴会がはいったみたいね。明日の食器は凄い量かもしれないなと思い、さらに気持ちが暗くなった。こんな時は早く寝るに限るわ。

 早く寝ないと思う時に限って眠れなくなるのはよくある話だから、アーデルハイドは寝つき作戦を決行した。

 まず、カウント作戦。オーソドックスな寝つき戦法だ。単にヤギが柵を超えていくのを数えるだけだが、意外とすぐに寝付ける。お母さんの話だと大攻勢の前はヤギじゃなくて、羊だったらしいけど、この付近というか、羊はいない。砦にはすこしヤギがいる。ヤギは食肉だけではなく、乳を飲用としたり、チーズをつくったりしている。比較的狭いところでも飼えるので、砦では重宝しているようだ。ヤギが1匹、ヤギが2匹、・・・だめ、眠くならない。


困ったわ。次の作戦ね。幸せシーツ作戦よ。


それはオリジナルな寝つき作戦だ。まずは、空中から、半透明なふわふわなシーツがふんわりと落ちてくる想像だ。シーツはお母さんがふわりと掛けてくれる。1枚、2枚と、次々にどんどん投げかけてくれるのだ。でも重くはない・・・


まだ、母が生きていた頃ベッドメイキングでシーツをふわりと掛けてくれた優しい思い出遊びだ。ベッドといっても藁をシーツでくるむだけだが、邪魔をしてシーツの中に入り込んで遊んだことを思い出した。今は、お母さんもいなくて、シーツもない。


 なんだかお母さんのことを思い出して、かえって悲しくなって声をあげて泣いてしまった。そのまま泣きつかれて寝てしまった。


 ふと目を覚ました。なんか扉をカリカリと擦るような音がして目を覚ましたのだ。小さな音だ。まさか魔物?いや、違うよね・・・なんか小さな鳴き声も聴こえる。


 アーデルハイドは、急いで干し草の上から飛び降りた。カリカリ音は止んだ。ゆっくりと扉に近づくと、また鳴き声だ。ニャーっていっているようだ。


 アーデルハイドは、この鳴き声には覚えがあった。子猫ちゃんね・・・扉をそっと少しだけ開けると、鼻先だけ突っ込んできて扉を広げようとした。あは、猫ちゃんだわ。

 もう少し開けると今度は手を横にして隙間に突っ込んできた。ちょいちょいっと細かく動かして扉を開けようとしている。

 うふふ、ちょっとまってよ、子猫ちゃん。アーデルハイドが隙間から覗くと、白いもふもふが外にいた。閂を外し、5センチぐらい開けると子猫が入ってきた。怒っているように大きくニャーと鳴き、体の横をアーデルハイドの体に擦りつけてくる。そういえば、作りかけの干し肉があるのを思い出して、持ってくると、にゃおにゃお喋りながら食べだした。


 「お腹が空いていたのね。子猫ちゃん?」

 子猫はニャと短く答え、アーデルハイドの膝にのり、毛繕いを始めた。ゴロゴロ喉を鳴らしている。子猫は白猫だ。アーデルハイドは幸せな気持ちになった。ふわふわな毛と小さいけど暖かい温もりに癒されたようだ。


 「明日、お母さんを探しましょうね」子猫はまたニャと短く答えた。結局夜明け前まで、子猫は膝の上で寝ていたので、アーデルハイドはよく寝れなかった。高く積まれた干し草に寄りかかっていたので、そんなにつらくはなかった。


 次の日、夜明け前から水汲みに出かけようとしたら、子猫がアーデルハイドについてくる。と、と、と、覚束ない足取りがまた可愛い。


 仕方ないので、まだ作りかけの干し肉を上げて、ドアを閉めた。ゴロゴロいって食べ始めた隙を狙ったのだ。


 水汲みが終わるとそのまま皿洗いだが、アーデルハイドは気になって納屋に戻った。


 ふふふ、カリカリやっているわね・・・外にでようと子猫は扉の向こうでカリカリ爪を立てているようだ。扉をあけると、ニャーと怒ったような声でひと叫びして、アーデルハイドのスカートに飛び乗り、爪をつかって体を登り始めた。あ、やめて、ね、ちょっと痛いよ。


 子猫はそのまま肩にのってしまった。下そうとしても爪をたてて剥がせない。仕方なく、肩に載せたまま、洗い場に向かった。その途中でも、子猫はアーデルハイドの髪のにおいや、耳のにおいを嗅いでくるのでくすぐったい。


 洗い場にいくと、女将さんが寝ぼけた顔でぼーっとしている。

 「おはようございます。昨夜の宴会すごかったみたいですね」

 「そうなのよ~。悪者君がさ、大活躍したらしいのよ~」

 殆ど井戸端会議だ。女将さんは目ざとく猫を見つけて騒いだ。

 「なに、子猫、かわい~い」少女のような反応だ。

 「昨日の夜、納屋の外で中にいれてくれって騒いだので、作りかけの干し肉あげたら、懐かれちゃって・・・あとで母猫探して届けてあげないとと思っているんです」

 「そうね・・・親のところが一番かもね・・・じゃ、頼むわね。私は仕込みを始めるわ」

 悪者君の活躍ってなにか悪いことでもしたのかな・・・あ、仕事しなきゃ。アーデルハイドは食器洗いに没頭した。その間も子猫は肩に載ったまま、首の後ろにいったりして離れようとしなかった。


その日、仕事のない時間に宿屋の回りを探したが、親猫は見つからなかった。隣近所にも聴いたが分からないという。第2門の屯所の壁にある石板に掲示してもらったが、見つからなかった。

女将さんに相談したら、まぁ、ネズミも捕ってくれるだろうから、飼ってもいいことになった。名前をつけようということになり、アーデルハイドは、白い、ふわふわで、自由気ままな感じがするので、シャルロッテと名付けた。


シャルロッテは、瞬く間にお店の招き猫になった。女子は皆ふわふわが好きなのだ。特にクラウディアとアポロニアが、用がないのに入りびたりになった。夜になると、アーデルハイドに付いて納屋までいって、シャルロッテは寝る。


クラウディアとアポロニアは、納屋までくっついてきて、入れてくれ、遊ばせてくれと懇願した。まぁ、餌持参なので、アーデルハイドも拒まず入れてあげたが、女将さんは、アーデルハイドの自由時間を心配し、納屋の高いところに小さな猫用出入り口を作ってくれた。ここから自由に出入りできるようになり、シャルロッテは一緒についてくることが少なくなったが、必ず夜には戻ってきてアーデルハイドの傍らで寝た。


シャルロッテはどんどん大きくなり、白い毛玉のようになった。アーデルハイドがお使いで街を歩くと一緒についてくるようにもなった。のっしのっしもっふもっふと歩く、シャルロッテは街の人気者になった。


アーデルハイドはもう寂しくて寝れないことや、泣いてしまうことが少なくなった。何しろ、彼女はシャルロッテのお母さんになったのだから。



お読みいただきましてありがとうございます。


猫、好きです。どこから子猫ちゃん迷いこんだのでしょうね?


伏線仕込んでます。そのうち回収しますのでご期待ください。

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