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神聖祓魔師 二つの世界の二人のエクソシスト  作者: ウィンフリート
平行世界へ
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第37節 祝勝会 よっぱらい?

アグネス様乱入です。でも鎧姿じゃないです。

貴族の令嬢っていいですね~私もドレス着てみたいですぅ~

強くて無敵で素敵で不敵なアグネス様です。

鉄格子のドアがあく音がした。皆が一斉に振り返るとアグネス様だった。


「それは浮遊の魔法で浮いているようですわ」


アグネス様は、鎧姿じゃなかった。白いロングドレスだ。慎み深い感じで、肌の露出が少ないけど、しっかりボティラインは強調されている。髪もほどかれており、金色のうねる波のように流れている。やはり高貴な血なんだろうな。神々しいよ。僕のお母さんもこんな感じだったかもしれないぞ・・・だといいな・・・いやきっとそうだ。


 「これは、アグネス様。鎧姿じゃないほうが強そうですな」オットー様がニヤニヤしてる。

 「オットー様、脱線はいけませんぬ」アグネス様が釘を刺した。

 「おっほん、で、アグネス様、いかにしてそのように思われたのですかな?」


 「うふふ、夕方まで、悪者君は魔法初級入門を一生懸命読んでらしたから。えっと、カール殿も目の前で掛けたところをご覧になられたのではないかしら?」


 「は、はい。地底湖では船そのものを水から空中へと浮かびあげてました・・・あ、あまりに荷物が重いので、浮かべてくれと頼んだのは私達です」

 なんかカールさんの動揺が伝わるよ。


 ブルーノ神父様は、無表情で、アポロニアを見据えて尋ねた。

 「しかと相違ないな?」


アポロニアは聖女のように淀みなく、自信に満ち溢れた声で答えた。

 「いかにも、嘘偽りはございません」やっぱり聖職者って違うよね・・・信頼性が高いよ。

 「うむ。ではまず打ち消すか・・・」


 ブルーノ神父様は、なにか唱えた。するとすべての荷物はガタンと落ちた。

 カールさんが目を大きく広げて驚いている。アポロニアさんがカールさんの側にやってきて耳打ちした。「魔法消去です。掛けられた魔法の効果を消してしまうんです」


 「では、検分といこう。アポロニア?」


 「はい、すでに頂いた聖水で清めてはいますが、細かくは検分できておりません。特に複雑な呪いが掛けられている兆候はないのですが・・・」

 「うむ」満足そうに神父様はうなずいた。やはり教会関係者同士なのね。


それから、砦の偉い人達は、荷物をほどいて調べ始めた。まずは、オットー様がサーコートを調べている。

「この十字架の縫い付けられたコートは、どこかの騎士団でしょうか」

「おそらくだが、地獄に送り込まれたといわれている、神聖騎士団のものかもしれぬ」

ブルーノ神父様が複雑な表情で答えた。20分ほど軽い取り調べを行い、調査を終了した。その間もレオン様は、うろうろと歩きながら、うなずくのだが、ジョッキからエールを飲んでいるだけだった。


「通例だと、このまま下げ渡しだが、一旦砦で預かり、呪いの有無を調査するとともに、騎士団関連の調査を行う。教皇庁が引渡を求めた場合、塩砦法33条の手続きにしたがい、それ相当の金貨を支払うとする。よいな?」


「はっ」返事をしつつもカールは驚いていた。最初から金貨っていうことは、かなりの値打ちものだ。しかも高貴な騎士たちのものだったということか。教皇庁が引き渡しを求めるって?神聖騎士団なんて聴いたことない。


警備兵達が何人もやってきて、引いてきた荷車に鎧を積み始めた。クレメンスとコンラートは寂しそうだ。カールはやっと傭兵団達を思いやることができた。アレクシスをはじめ皆なんか精神的に疲れたという感じだ。本当疲れたよな・・・


そこへ、オットー様がやってきて、皆に言った。

 「明けの明星亭で、一緒に飯にしよう」


 え?それって僕もかな・・・期待を込めた目で僕が見上げると、オットー様が僕の前にきて、頭を撫でて、「もちろんだ。悪者君も頑張ったからな」


 「アグネス様、あなたもいかがですか?」オットー様がお誘いしてる。

 「あら、ご一緒してもよろしいかしら」

 「もちろんです。但し、悪者君のお相手をお願いしたい」

 「うふふ、喜んで。では参りましょう。悪者君」


ぼ、ぼくはなんか緊張してしまった。

 「あら、こういう時はレディをエスコートするものですよ」アグネス様は手を僕に預けようとしている。緊張するな。


 クラウディアが、恨めしそうに見てから、アグネス様の前をして、カールに手を伸ばした。カールは気付かずぼーっとしている。アレクシスが手を取ろうとしてクラウディアに手を叩かれていた。

 「もう、すこしは悪者君を見習いなさいよ」膨れ面だ。

 僕らはまとまって明星亭に歩いていった。後ろからぼそっとアポロニアのつぶやきが聞こえた。

 「やっぱり高貴な血よね・・・」

 「むぅ・・・」クレメンスとコンラートなんでそこで相槌なのかな。


 明けの明星亭に着くと、個室に案内された。個室があるなんて知らなかったよ。まずは全員で乾杯だ。レオン様はすでに一人で乾杯しているけどね。皆にグラスが配られた。僕はリンゴのシードル、サイダーね。


 オットー様が挨拶するらしい。

 「今日は、空飛ぶザクセン人達が、悪魔の手先を倒し、砦の危機を未然に防いでくれた。しかもだ・・・捕らわれとなっていた神聖騎士団の騎士を悪魔の呪縛より解放し帰天させた。彼らの遺品も持ち帰ることができた。同じザクセン騎士として、感謝の念でいっぱいだ。ザクセンの誇り高き戦士たちに乾杯!」

 「かんぱーい!」全員で唱和し、グラスを鳴らした。秘蔵の発泡性の白ワインらしい。


 皆、嬉しそうだ。ていうか、カールさんは、お酒で緊張が解け、自分たちのしたことの意味がやっと分かったらしい。アポロニアさんに話しかけている。

 「ね、ね、アポロニア君・・・神聖騎士団って知っている?」なんか言葉使いが変だ。

 「伝説の騎士団ですよ。青い十字架を旗印とするように教皇様から認可された騎士修道会で、大攻勢を止めるために地獄に果敢に挑んでいって要塞を打ち立てたと聞いています。教皇庁関係者では知らない人はいないでしょうけど・・・もう170年は前の話ですからね」

 カールは驚いている。

 「いや、そうだったのか。なんかすごく大げさに言われていたけど、実際俺なにもしてないもん。アポロニアだけだよ・・・活躍したの。感謝している。今日、正直勝てる気がしなかったよ・・」

 聞きつけたブルーノ神父様が話に割り込んできた。

 「いや、カール、いいのだよ。アポロニアを無事に迷宮まで連れていき、連れて帰るだけで大変だろ?死霊使いなどは、武力にて対決するものではない。そういう時こそ、私達聖職者の出番なのだからな。アポロニアもよくやったと思う。悪魔の手先には、まず、ひるまず、基本からじゃ。聖水を投げるのもよい」

 「神父様、お言葉ありがとうございます。すこし、ご相談したいのですが、よろしいですか」ブルーノ神父様はうなずいた。僕も聞き耳を立てた。

「今回、聖霊にご加護を祈りだしたら、急に鎧さんたちが光って崩れたんですよ。一体どういうこが起こったのかと不思議なのですが」


「うむ、それはな・・・仮定だが・・・おそらく、あのサーコートにしろ、あのバケツヘルムといい、神聖騎士団だと思われる証拠がある。そして、もしもそうだとしたら、彼らの鎧には、聖霊の加護が働きやすいように細工が施されているはずだ。地獄に行くために、パパ様が特別な鎧を用意されたと聞いておるぞ。 そう、あの金属は鉄ではない。 170年も長き間に、朽ちぬ鉄はないからな。


留め金に使われている真鍮の劣化具合から、やはり昔の鎧と思ったが、それに比べ、鉄らしきものがまったく錆びていない。いまは失われてしまった技法があるのだろう、聖霊や天使などの力を織り込んで鍛えられた鎧は、我らの祈りに同調しやすいと聞いたことがある。つまり、聖霊により、悪は打ち砕かれ、聖霊に導かれ、鎧を牢獄とされた騎士らの魂は、天に召されることができたと言えよう。アポロニア、そちは、今日4人の魂を救ったのだ」


アポロニアは感動しているようだ。神父様の話では、聖霊の加護を祈り始めたことで、鎧が波長を感じ、聖なる力を増幅したのだろうということだった。つまり、目には見えぬが、アポロニアの祈りが天に通じたということだ。それこそ、ブルーノ神父様が兼ねてよりシツコク主張している、自分を神の道具にするということだそうだ。皆またかという顔になってきたが、アポロニアだけは顔を輝かしてふむふむと聴いている。


皆、どんどん飲んで、どんどん食べて幸せそうだ。僕もソーセージを何本食べただろう。もうリンゴのシードルでお腹もパンパンだ。レオン様もお腹がパンパンだ。これは元からだったか。


アグネス様は、静かにお酒を飲んでいる。クラウディアがやってきて、話し込んでいるようだ。なんか僕を二人で見て盛り上がって喋っている。クラウディアがニヤニヤしながら僕にいった。

「街の噂だとね。君ね。アグネス様の弟じゃないかって言われているんだよ。おねいちゃんにまとわりつく、シスコン美少年ってね。 でも確かによく似てるね~ 今アグネス様に聞いたら、実は弟のふりをしているけど、女の子で妹なんだって。本当なの~???」


酔っぱらいは嫌いだ。言われてみると似ているのかなって気はしてくるけど。でも、よく聞くと、城塞都市にアグネス様の5才の妹がいて、僕に似ているらしい。似ているのは仕方ないとして、なんで僕が三つ編みにしてドレスを着なきゃいけないのか・・・もう、二人で盛り上がって勝手に妄想している。気を付けないと着せ替え人形にされそうだ。


 大人って、酔うと変わる人多いよね。あ、双子はどうなのかな・・・

 なんだ、黙々と自分のヘルメット磨いているよ・・・アグネス様のような、半円球のゲルマン式ヘルムだ。息を吹きかけ、きゅっきゅっと磨いては、眺めてる。ご満悦だ。


 皆、三々五々帰っていった。飲食代金は砦持ちだって。よかったぁって顔しているよ、カールさん。


僕はアグネス様を砦に送ってエスコートの義務を果たしてから、鉱山口に向かった。途中で砦中にクラウディアさんの笑い声が聴こえた。まだ飲むぞ~だって。


いつもの部屋につき、いつもの藁布団を出して寝た。明日も頑張らないと。そうそう、今夜、お土産でライ麦パンとソーセージのサンドイッチもらった。明日の朝ごはんはゲットね


いかがでしたか?


騒ぎまくったようですが、お蔭で寝れない人がいたようですよ。


次回は宿屋の納屋で寝ているアーデルハイド視点のショートショートです。


宜しくお願いします。

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