・インストールしたプログラムを適用するには
・インストールしたプログラムを適用するには
数にして十人かそこらはいた。それが断続的に表れたのだが、その後は『物の数ではない』という言葉が相応しい。
パンドラに襲い掛かれば食われ、ウィルトに至っては手を組んで黙祷を捧げたかと思えば、まとめて消失する。ゾンビの一団はあっさりと全滅した。
「神のご加護とターンアンデッドは関係ありません」
などとウィルトから無、慈悲この上ない説明を頂戴する。この世界にも宗教はあるらしいが、どうせ碌でもないから調べていない。
そういうのは第三種接近遭遇でもしてから考えればいい。
「しかし、皆が強すぎるのかゾンビが弱すぎるのか」
「両方でしょう。生きている人間のほうがゾンビより遥かに強い」
「いやほら、突然変異をして他の化け物になるとか、体の限界振り切ってるとか」
「それもうゾンビじゃないだろ」
言われてみればそうかも。
うん、それもうゾンビじゃないな。
ゾンビって名前の別のクリーチャーだな。
サル捕まえてってヒトって言うようなもんだな。
「……あれ、今回は手がかりないの?」
「特に何も落とさなかったな」
そういう訳で、先に敵が出てきたほうを調べることにした。結果から言うと左右対称になっていて、数枚の報告書と辞書らしき書籍があっただけだ。
日を追う毎に単語が発音の表記に変わって読みにくくなり、また内容が単調かつ分かり易くなっていく。内容を整理して、妄想から文章に起こすと次のようになる。
――各発電所に対する新発電装置の送電規格の互換性に関する問題について。各発電所の段階的な機能停止に伴い、クリスタルの出力低下と復旧への不透明性を回避するために増設された地下水力発電所ですが、クリスタルへの電力と魔力の供給は、成功しました。しかしながらクリスタルから各発電施設への供給に際して発生した不具合については未だに改善できていません。不具合について判明していることは、クリスタルからエネルギーを供給された発電施設は、そのエネルギーで自動的に水の魔法を発動させて水源へと給水する仕組みに異常が発生したことです。この地下水力発電所は将来への備えとして、他の水源への給水をここに集約させることで総エネルギーの維持を本旨としたものです。水力発電所は稼働し連動もできましたが、水の魔法だけがいつまでも発動しません。こちらの設定に異常は見られないので、恐らくエルフの魔法の設定が発電所の座標を参照できていないせいだと考えらます。状況の改善のためにはやはり一度クリスタルを停止させて魔法の設定について専門の部署、あるいは人物に点検、相談をするべきと判断します。予定より維持できるエネルギーは減少しますが、安全のためには一考のほど、よろしくお願いいたします。
「ものは言いようだけどよー、これ完全に後発が互換性の課題しくじっただけだろ」
「しかも最後には白旗を上げていますね」
「こっちには『業務委託先を募集中につき、応募があり次第選考を行い決定があれば至急通達を行います』とあるぞ」
これ、もしかして再起動しなかっただけとかじゃないだろうな。
些細な見落としで大事故が起こることって、たまに耳にするけど、ヒヤリハットはなかったのか。そして結局問題は解決できず、行き場もない連中は、ここで死んだのか。
「せめて夜逃げの一つも考えなかったのかよ……」
「当時の神無側でそんなことをすれば、三日と保たずに良くて浮浪者ですよ」
そんなにか。やっぱり異世界の治安って外国基準で考えたほうがいいな。ミトラスが俺を一人にしたがらない理由がなんとなく分かった。
帰ったらお礼にスキンシップをとろう。
「さあ、この冒険もそろそろ大詰めだぜ。この先の水力発電所とやらを、拝ませてもらおうじゃねえか」
「解決方法もなんとなく見当が付きましたしね」
「俺、今回驚き役しかやってないなあ」
狙いは悪くないと思ったけど、やっぱり付け焼刃ってのは上手くいかないものだな。
そんな感想を抱きつつ、俺たちは残された正面の通路を進み、そしてより深くへと下りていった。
誤字脱字を修正しました。




