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【転生】辺境伯家の長男 《千客万来》スキルに今日も振り回される  作者: jadeit
学園編

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第78話 逃亡者レオン再び

「よし、誰もいないな……」


 俺は壁に背中を張りつけ、そっと角から顔だけを出して前方を偵察する。学園祭が終わり、平穏な日常が戻ってきた……はずだった。


 ここ数日、俺はある人物から逃げ回っていた。まあ学園祭で『目をつけられた』時点で、こうなる予感はしていたけど……。


「は~……とにかく早く帰ろ」


 寮の建物が見えた瞬間、思わず安堵の息が漏れた。その時――。


「待ってたっすよ、レオン様」

「ゴメンなさい、レオン。捕まってしまいました」

「――っ!」


 反射的に身構える。視線の先に立っていたのは、にこやかに手を振るルーク先輩とその隣で微笑むマリアさん。


「くっ……! マリアさんを人質にするなんて卑怯ですよ、ルーク先輩!」


 一瞬の沈黙。


「え? いや、マリアさんは進んで協力を――」

「オー、レオン! 私を助けるために、ルーク先輩の話を聞いてください!」


 ルーク先輩の言葉を遮るようにマリアさんが両手を伸ばして助けを求めてくる。


「おのれルーク先輩……! いいでしょう、話を聞きましょう」


 俺は力強く拳を握り、ルーク先輩を見ながら宣言する。


「ですが、マリアさんを傷つけることは僕が許しません」

「何故か自分が悪者になってますが、話を聞いてもらえるならお願いするっす」


 こうして俺、ルーク先輩、マリアさんの三人は、カフェテリアへと移動することになったのだった。


「それで……お話ってなんですか?」


 向かいに座るルーク先輩に尋ねると、姿勢を正して口を開く。


「はいっす。うちの商会で、コスプレのお店を出したいんっす」

――うん。やっぱりそれか。


 学園祭であれだけ盛り上がったのだ。商人が放っておくはずがない。


「えっと……別に僕に許可を取る必要はないですよ?」


 俺がそう言うと、ルーク先輩は首を横に振った。


「料金システムを考えたのは、レオン様だと聞いたっす」

「ハイ。レオンは天才デス」


 マリアさんが誇らしげに頷く。


「えへへへ。そうかな」

「さすがレオン様っす。それで、そのシステムを使わせてほしいっす」

「ん? 別に使っていいですよ」

「本当っすか! ありがとうございます! じゃあ、これを……」


 そう言って、ルーク先輩は分厚い紙の束を取り出した。紙の束というより鈍器にしか見えない。


「……え?」

「しっかり読んで、ここと、ここ、それからここにもサインを……」

「なんですか、それ」

「もちろん契約書っすよ」

「契約書……? えっと、面倒なんで勝手に使っていいですよ」


 その瞬間、ルーク先輩の表情が一変した。


「何言ってるっすか! 契約はきっちりしないとダメっす!」

「あ、はい! ごめんなさい!」


 ものすごく怒られた。その後、俺は分厚い契約書を最初から最後まで読み、分からないところを質問し、確認され、ようやくサインを終えた。


「……はいっす。問題なさそうっすね。お疲れさまでした、レオン様」

「つ、疲れた……」


 机に突っ伏す俺に、ルーク先輩はさらに続ける。


「それで、もう一つ相談があるっす」

「まだあるんですか……」

「えっとですね、まずは王都にコスプレの店を出そうと思ってるっす」

「へ~、いいじゃないですか」

「人と衣装の指名、ツーショットでのスケッチと、描かれた絵の販売はやる予定っすけど……」


 ルーク先輩は困った顔で続ける。


「同じだとつまらないので、他に何か良い案はないっすか?」

「ん~……じゃあ、喫茶店も併設して、ケーキとか出したらどうですか?」

「ケーキっすか。でも、お客さんが男性だと甘いものは……」


 どうやらルーク先輩は勘違いをしているようだ。俺はマリアさんの方を見る。


「コスプレするのは、女性だけじゃないですよね?」

「ハイ。男性もしますよ。それに女の子同士でツーショットも楽しいデス」


 その瞬間、ルーク先輩の目が輝いた。


「……なるほど。それなら女性客も狙えるっすね」

「オー! じゃあレオンも一緒にコスプレしませんか?」


 この流れはまずいと直感した俺は、聖女様に生贄を捧げることにした。


「そ、それよりも……もっといい人材がいるよ」


 俺はルーク先輩に頼んで生贄に選んだ人たちを呼んできてもらうことにした。


* * * * * * *


「それでレオン。話とはなんだ?」


 そう言ったのは俺の前に座るリヒト様。


「また悪だくみか、レオン」

「そんなこと言って。カインくん、何だかんだで協力してるよね」

「うるさいぞ、ユウキ」


 横並びに座るカインくんとユウキくんは、いつも通り仲がいい。


「私、先生なのに、なぜ呼ばれたのでしょうか……?」


 リュミナ先生は困惑気味だ。


「レオン様。指定された人たちを呼んできたっす」

「うむ、ご苦労!」


 俺は一度咳払いをする。


「さて。皆さんに集まってもらったのは、他でもありません」


 全員の視線が俺に集中する。こうして俺は王都で出すコスプレの店の説明を始めるのだった。

――あれ? なぜか俺が黒幕みたいな感じになってる? ……これも、《千客万来》さんのせいか?

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