第78話「巫女の取り合い」
ゴーレム使いについてちょろっと出るのじゃ!
ワシらはベッドが六つある部屋に案内されたのじゃ。フェレ様の話を聞くと驚くべきことが分かったのじゃ。
神や巫女や禰宜は大きな国では沢山いるそうじゃが、女神の方が戦闘で死にやすく禰宜が余るのじゃ。
そして巫女の方が戦闘で死にやすく、男神が余るのじゃ。
そのためこの国でも男神と禰宜が、新たなパートナーを探してるそうじゃ。
それこそ取り合いになっとるらしいわい。契約を結べるのは一神につき一人じゃ。
ワシらそんな契約みたいなものせんかったがのう?
「神力を流すだけでも契約が結ばれる。死んだ時契約が切れるから、パートナーが死んだ相手は強力な力を得る上に、また新たなパートナーと結べるんだ」
例えばドッグ様は相当強いのかのう?
「ドッグ様か? あれは相当の手練さ。並の魔王が紛れたところで瞬殺さ。だから人気が高い。巫女が次の巫女に志願したがるのさ」
なるほどのう。ちなみにフェレ様は人気なさそうじゃのう。
「とにかく明日巫女探し手伝うわい! お主のパートナーが早く見つかるようにのう!」
そうして眠ったのじゃった。すると夜中にゴソゴソ動く者がおったのじゃ。
「……なんじゃ? グーシャ」
グーシャがワシのベッドの布団に潜り込んできたのじゃ。
「一人じゃ眠れないよ! 一緒に寝てください……」
仕方ないのう。ワシはグーシャのお腹をポンポンと叩きながら寝かしつけたのじゃった。
朝になってルナがグーシャに呆れておったのじゃ。
「まったく! ベッドがある時くらい一人で寝たらどうなんですか?」
「仕方ないじゃん! 毎晩ジーナの夢を見るんだよ!」
それを聞いてルナは黙ってしまうのじゃ。
「コン様が隣にいてくれたら悲しくて起きても安心できるんだ。ちょっとくらい大目に見てよ!」
「わかりました……それなら仕方ないですね」
グーシャは未だに整理ができとらんようじゃ。それを見たジーザスがグーシャを抱きしめるのじゃ。
「それよりフェレ様がいないよ? 先に下に行ったのかもしれないし、早くご飯を食べに行こうよ」
テンカが着替え終えて言うのじゃ。そうじゃな、フェレ様を追いかけようかのう。
「ルナ、グーシャ、仲直りするのじゃぞ」
「ごめんなさい、グーシャ」
「ううん、いいんだ。ルナ、ごめん!」
そうして下の階に行くとフェレ様がいたのじゃ。フェレ様はなにか考え事しながら椅子に座っておったのじゃ。
「どうかしたのかのう? フェレ様?」
「あ、おはよう。いや何、コン様とグーシャちゃん見てると、俺の巫女の事を思い出しちゃってね」
どうやら甘えん坊の巫女だったようじゃ。いつもくっついてくる巫女に好意を覚えとったようじゃが、戦闘で死んでしまったらしいのじゃ。
「俺を慕ってくれていたから、俺を逃がすために犠牲になってしまった。俺は結局敵から逃げて、この様さ。情けない話だが彼女のおかげで力を得て、新しい巫女と共に復讐したいんだ」
「ちなみに何に負けたのじゃ?」
「ゴーレム使いの魔族だ。囲まれてしまってね」
ま、まさか……もしかするとそうかもしれんのう。
「ワシらは狼使いの魔族の兄、ゴーレム使いの魔族を探しながら旅をしておるのじゃ。もしよかったらどこで遭遇したのか教えて欲しいのじゃ」
話を聞いてると魔法の盛んな国の外れにある森の中で出くわしたらしいのじゃ。
巫女を失って逃げたフェレ様は、ドッグ様の誘いでこの国にリニアで来たらしいのじゃ。
「別にゴーレム使いは珍しくない。探してる人とは限らないぞ? 土を使ってゴーレムを生み出してしまうから、厄介なんだがね」
それでも寄る余裕があったら会ってみたいのう。確かめなければわからないのじゃ。
「それより俺の巫女探しについてなんだが……ギルドを頼って欲しいんだ」
なるほどのう。ギルドに行けば探せるというわけじゃな? じゃがなんでお主は自分で行かんのじゃ。
「俺の姿、役員さんに見えないからさ……」
そうじゃった。じゃあルナに任せるとしようかのう?
ワシらはついでと東支部のギルドに寄るのじゃ。その間もワシはゴーレム使いについて聞いておったのじゃ。
名前はわからないのじゃが、金髪長髪、背は高いそうじゃ。成人してるようじゃが若くも見えたそうじゃ。
やはりウェアの兄のように聞こえてくるのじゃ。
遭遇したのがついこの間らしく、もしかすると会えるかもしれんのう。
さて、東支部に着いたワシらは早速巫女を調査してもらうのじゃ。
「神の憑いていない巫女を探しているのですが」
ルナが尋ねると、役員さんは怪訝な顔をしたのじゃ。じゃが説明すると理解したらしく、場所を教えてもらうのじゃ。
ワシらはフェレ様と共にその場所に行ったのじゃ。じゃが何やら騒がしいのじゃ。
ワシらが店の中に入ると、複数の神が喧嘩しておったのじゃ。
「俺が見つけた子だ! 手を出すな!」
「ふざけるな! 俺だって困ってるんだ!」
「落ち着けよ、俺の方が適任だって思うぞ?」
「馬鹿言うなよ、俺がこの子を守ってあげられるのさ」
「いい加減にしろ、俺以外は出ていけ!」
五人の神が騒いでおって、巫女の子は真ん中で震えておるのじゃ。
「さぁ、俺と契約しよう!」
「いや俺と!」
俺と俺となんて言う神達にワシは怒ったのじゃ。
「止めんか! お主ら……」
ワシが最後まで言う前に、フェレ様は前に進み、神達を押しのけて巫女の手を握ったのじゃ。
「大丈夫? 君が誰を選んでも誰も恨まない。大切なのは君の気持ちだ」
震える巫女は、少し落ち着いたようじゃった。
「あの、あなたは?」
「俺は鼬依フェレ。情けない話、俺も巫女を探してる。でも無理にとは言わないよ。何ならこの中から選ぶ必要もない」
巫女は少し考えるとフェレ様に神力を流したのじゃ。
「あ! 狡いぞ! ええ格好しいめ!」
男神たちは文句を言っていたのじゃが、少しして無駄だと諦めたようで他の巫女を探しに行ったのじゃった。
「君、名前は?」
「エレスです。よろしくお願いします、フェレ様!」
エレスはフェレ様にくっついて離れないのじゃ。何となくわかった気がするぞい。
「エレス。この方達が俺を君に導いてくれたんだ」
フェレ様がワシらを紹介すると、エレスは頭を下げて礼を言うのじゃった。
男前なフェレ様じゃった!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




