第70話「エス街で修行」
足を鍛えるぞい。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!
ぐったりするルナをスライムの上で休ませながらエス街に着いたのじゃった。
まずはトルネイドさんに聞いた足技の達人の事をギルドで聞いてみようかのう。
とりあえず一旦依頼の成功報酬などを受け取った後、ルナに頼んで役員さんに聞いてもらうのじゃ。
「足技の達人ですか? 恐らくニーサイさんですね。紹介致しましょうか?」
「よろしくお願いします」
ワシらは待っておると、役員さんが紹介状と街の地図を持って説明に入ったのじゃ。
「こちらの筋肉パークに行って黒髪の女性を探してください。多分木にいると思いますので」
情報多すぎて混乱してきたわい。女性なのにも驚いたのじゃが、木にいるってなんじゃ?
ワシらは筋肉パークと呼ばれる場所へと向かったのじゃ。
そこには多くの男が鍛えるために筋トレをしたりしており、暑苦しいのじゃ。
ワシらは木の生えたあたりまで来て女性を探すのじゃ。
すると奥に木にぶら下がる髪の長い女性を見つけたのじゃ。
それもよく見ると足の指で木を掴み、膝を曲げ屈伸をしとるのじゃ。なんという筋力じゃ!
「あら? 私に何か用かしら?」
どうやらワシらに気付いたようで木から降りてきて、手を差し出してくるのじゃ。
「紹介状持ってるなら志願者ね。この筋肉パークを取り仕切っているニーサイよ。よろしくね」
「あの……足技の達人という話を聞いたんですけど」
ルナが尋ねると首を横に振るのじゃ。それはどうやら半分正解で半分間違いのようじゃ。
「私は特に足を鍛えてるってだけで、勿論拳や柔術の達人でもあるわよ」
「足技を習いたくてきたんです。技を見せてもらうことはできますか?」
「いいけど、あなた達全然筋肉ついてないじゃない。まずは筋トレからよ?」
「いえ、あの、私たちが習いたいのではなくて……」
ルナはニーサイさんにワシのことを話すのじゃ。
ニーサイさんは神が見えるわけではないから、困っておったのじゃ。じゃがワシは体の動きをよく観察させて貰えれば習うことができるからのう。
ルナがその説明をするとニーサイさんは少し悩んだあと、修行の様子を見せてくれると言ったのじゃ。
ワシらがついて行くと木に蹴るポーズをするニーサイさんじゃ。真似るように言われたので、傍の木を蹴りの相手として蹴り真似をするのじゃ。
ローキック、ハイキック、回し蹴り、膝蹴り、飛び蹴りなど型を教わるのじゃ。
ワシは真似ていったのじゃがこの程度ならワシにもできるのじゃ。何か新しい技を覚えたいと思った時じゃった。
ニーサイさんが笑ったのじゃ。
「基礎はここまででいいかしら? 次は技を見せようかしら」
ニーサイさんが一人の男を呼び、練習相手にするのじゃ。ニーサイさんは蹴りの連撃で男を翻弄するのじゃ。
男の攻撃をステップで躱し、男の股間を蹴りあげたのじゃ。
勢いよく宙に飛んだ男じゃ。ニーサイさんはジャンプして空中で三撃の蹴りを男にお見舞いしたのじゃ!
最後の一撃で男を勢いよく吹き飛ばしたニーサイさんはこちらを見て言うのじゃ。
「参考になったかしら?」
ワシは練習したのじゃが、どうしても空中蹴りができんのじゃ。コツを教わりたいのじゃ。
「まず形だけでなく、腹……つまり丹田に力を込めているのは出来てるのかしら?」
それは意識しておるわい。じゃがどうしても空中で上手く動けんのじゃ。
「なら空中での感覚の掴み方を知る必要があるわね。こちらに来て」
ニーサイさんの案内について行くと、大きなトランポリンがあるのじゃ。
「これで空中の感覚を掴んでみて」
ワシはトランポリンで跳ねて空中で体勢を整える練習をするのじゃ。人と違うワシの体は正確に真っ直ぐ跳ねるのじゃ。
じゃからバランスが取りやすく足技を繰り出す練習にピッタリじゃった。
暫く跳ぶ感覚に慣れたワシは、改めて空中蹴りの練習をしてみたのじゃ。すると空中に跳んでからブンブンと蹴りを繰り出せたのじゃ!
そうしてワシはニーサイさんに教わり、足技を習得したのじゃった。
最後にニーサイさんが必殺技を見せてくれるそうじゃ。ニーサイさんは木に向かって後ろ回し蹴りをするのじゃ。
その時ワシはなにか力の波動が伝わっとるのを感じたのじゃ。
それは恐らく魔素じゃった。そして踵に集中した力のまま木を蹴ったニーサイさんは、後ろに下がったのじゃ。木は折れて倒れていくのじゃ!
「こうして木を折れるなら合格ね」
ワシは後ろ回し蹴りより別の技を考え試すのじゃ。少し木から離れ助走したワシは木に膝蹴りをかますのじゃ。
「狐依ニーキック!」
ワシは太ももに神力を溜めた後、直撃する瞬間に膝に神力を爆発させたのじゃ。
木は思いっきり折れたあと回転しながらぶっ飛んでいくのじゃ! あまりの事に驚いたニーサイさんじゃったが、流石神様だと拍手してくれたのじゃ。
ワシはルナに無理を言い、ニーサイさんに見えるようにしてもらい礼を言ったのじゃった。
「ありがとうなのじゃ! さよならバイバイなのじゃ!」
ニーサイさんと別れた後、力を使い果たしスライムに寝転ぶルナを連れて宿に向かったのじゃった。
新技じゃ!




