第49話「テンカの希望」
男はどうしようもないのじゃ。
ワシも回復し、飛行船の旅を続けておったのじゃ。ワシらは楽しく話し合い、ズィー街へ着くのを待っておったのじゃ。
テンカは酒を貰って飲みながら、ワシらに愚痴っておったのう。
「本当に男ってのはどうしようもないよ! この世界の男は駄目なやつばっかりさ! あたしも悪いけど圧倒的にあいつが悪い! そう思わないかい?」
「わかります! 男は酷い人ばかりです!」
何故かネーカが打ち解け話に付き合い酒をぐびぐび飲みあっとるのじゃ。
「コン様はそんなことしませんよね?」
ルナが笑ってこちらを見ておる。目が笑ってないのじゃ。
「当然じゃ。一応言うておくがのう、男にも良い奴と悪いやつがおる。女もそうじゃろ?」
「でも圧倒的に男の方が悪いやつが多い!」
酒を飲みながらテンカは叫ぶのじゃ。お主本当に改心しとるのかのう?
「男は信じられないけど、コン様は信じられる」
ジーナがワシに向かって笑うのじゃ。
「同感かな。あたしもジーナと同じ意見!」
グーシャがワシに撫でられにくるのじゃ。
「まぁあたしも助けられた側の人間……いや、もう神か。だから気持ちはわかるよ」
本当に良かったのう。悪の道に落ちとったらどうなったことかのう。
「少しよろしいですか?」
ふと後ろからポッポー様の声がしたのじゃ。ギザギザの長い朱色の髪を撫でながら、ワシらに声をかけたのじゃ。
「アレフ、返し忘れたものを返しなさい」
アレフさんが頭に着けとったヘアバンドのようなアクセサリーをネーカさんに返したのじゃ。
「ありがとうございます。壊れてないようで安心しました」
それを鞄にしまうネーカさんじゃ。
「あれ? 着けないのか?」
アレフさんがそんな事を言うのじゃ。そういうとこじゃぞ! アレフさん。女子たちの痛い視線を浴びながら困惑するアレフさんじゃった。
「テンカさん、これからどうするんですか?」
ポッポー様が尋ねる。テンカの道は決まっておるのじゃ。
「コン様と旅をして、いつか一人で世界を回ろうと思うの」
あれ? ワシと旅するのはよい。じゃがいつか離れるのかのう?
「あなたが死ぬと私の元へ神力が還元されるようになっているはずです。あなたは私の力の管理下の元の神です。くれぐれも邪神にならぬようにしてくださいね」
確かにポッポー様が神力を入れたわけじゃからなぁ。じゃが、それではポッポー様が死んだらどうなるのかのう?
「私が死んだらですか? そんなことにはならないと思いますが、アレフの元とテンカさんの元へと力が行くでしょうね」
ポッポー様の話は終わり、警護に戻る彼女じゃ。ワシはテンカの前に座り、聞いたのじゃ。
「お主、ワシとずっと旅はせんのかのう?」
するとテンカは少しだけ困ったような顔をして笑ったのじゃ。
「確かにずっと旅するのもいいかもしれない。でもコン様の目的は魔王を助けることでしょ?」
「確かにその通りじゃ。それが不満なのかのう?」
「違うの、不満ではないわ。ただ私の目的は違うの。世界の女性を助けたいの」
テンカは語るのじゃ。それは虐げられたからこそ思うことじゃ。女性に寄り添い女性の心の助けになる、そんな旅をしたいという彼女。
今は女の子の魔王にしか会ってないのじゃが、当然男の魔王もおるじゃろう。
それを助ける気になるかはわからないというのがテンカの思いだそうじゃ。
だからといって今すぐ離れるわけではないのじゃ。遠い未来でいつか自分の旅をしてみたいなという気持ちがあるだけと言うテンカじゃ。
ワシもそこまでは縛れんしのう。彼女の希望は出来る限り叶えたいのじゃ。
「罪を償って納得いった時、旅路を別れるならワシは止めん。それまではよろしく頼むぞい!」
「ああ! 全力でサポートするから、こちらこそよろしく頼むよ!」
こうしてワシのハーレム(?)にテンカが加わったのじゃ!
ルナがじっとこちらを見とるのう。ええい! 別によいじゃろ! ため息をつくルナをよそ目にワシはジーナのスライムに寝っ転がったのじゃった。
『まもなくズィー街に到着します。飛行船を降りる準備をしてお待ちください』
何日か経ち目的地に到着するのじゃ。船内アナウンスが響き渡り、ワシらは荷物をまとめたのじゃ。
そして揺れてゆっくり着地したのじゃった。
飛行船を降りるとポッポー様とアレフさんが先に降りておったのじゃ。
別れじゃな。二人はこの二つの街を守っておるのじゃ。
「色々ありましたが私も収穫がありました。皆さんの旅路の幸運を祈っています」
「すごい瞬間を見させてもらったぜ! 俺には不可能だがポッポー様なら或いは……とにかくこれからも頑張れよ!」
「二人共ありがとうなのじゃ! お主らがおらんかったらどうなっておったことか。勉強もさせてもらって楽しかったのじゃ。これから二人はどうするのじゃ?」
ワシは最後にポッポー様の今後を聞いたのじゃ。
「私はこれから山に入りオーガの魔王の対処に回ります。説得は不可能でしょうけど、なんとかいい方向に出来ればと思います」
「ワシにできることはあるかのう?」
ワシの心配を聞いたポッポー様は優しく笑い、厳しく言ったのじゃ。
「足手まといです。甘い考えを言う者に、あの魔王は救えません。何よりその程度の神力では山を登って魔物と戦うだけで精一杯でしょう」
確かに鳥の魔物と神力の、あの大量の大戦をできるポッポー様の足を引っ張るかもしれん。じゃが……。
「見てなかったのかもしれませんが、山にはドラゴンもいます。私は一体ずつ程度のドラゴンなら余裕で相手できますが、あなた方ではまだ難しいでしょう」
ドラゴンじゃと!? しかもポッポー様は相手できるのか……なら何故テンカの相手は苦戦したのじゃろうな。
「魔物と魔王は全然違います。魔物は単純ですが、魔王はあの手この手の知恵がありますから。まぁ、私もドラゴンを一人で殺せるまではいきません。追い払えるだけですよ」
なるほどのう。ワシも気をつけねばな。
「それではこれで別れと行きましょう。いつかガルダ様のように、もしこの地に帰ってこられたらまた会えるかもしれません。楽しみにしていますよ」
ワシらはポッポー様とアレフさんと別れたのじゃ。
「さよならバイバイなのじゃ!」
テンカにも希望があるのじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




