第44話「空の旅」
ワシ珍しい神なのじゃ。
「なるほどな、珍しい神様もいたもんだ。魔王は殺さないといけないものだと思っていたよ」
ワシらの話を聞いた後、アレフさんはそう語るのじゃ。
「二人を助けられたのはたまたまかもしれん。じゃが助けられるのなら助けたいのじゃ」
ワシらはそうやって旅をしてきたのじゃ。
「気持ちはわかりますよ、コン様。ですが、恐らくこの先にいる魔王たちはそう簡単に心を入れ替えたりはしないと思いますよ」
ポッポー様はあくまでもスライムの魔王やゴブリンの魔王だからだと言うのじゃ。
「例えば今私が戦っているのは、魔鳥の魔王と、オーガの魔王ですが、オーガの魔王の方はもう人を殺すのに快楽を覚えているようなのです」
確かにそうなると救えんかもしれんのじゃ。じゃが聞きたいのじゃ。
「魔鳥の魔王の方はなんとかなるのではないかのう?」
ワシは顕現したのもつい最近なら何とかなるのではないかと思ったのじゃ。
ポッポー様は悩む様子で困っておったのじゃ。
「戦いになると情けをかけられるほど余裕はありません。相手も死に物狂いで殺しにくるんですから」
グーシャの時でさえ、戦いになったのじゃ。あの時はある程度話を聞いてくれるグーシャだからこそ成り立ったのかもしれん。
「命を懸けてまで助けられるか分からない相手を助ける余裕は私にはありません。ですから……」
「それはその通りじゃ。ワシの我儘に付き合わせるわけにはいかんのじゃ。じゃがワシもワシのやり方を曲げないのじゃ。ワシのやり方で魔王と向き合うのでのう」
ポッポー様はそれを聞いて頷いたのじゃった。そしてどうせならと提案してくれたのじゃった。
「魔鳥の魔王との戦いは続いています。その戦いに参加しませんか?」
どうやら一緒に戦おうと言ってくれたのじゃ。
「私は魔鳥の魔王を殺す気で行きますが、見たら分かりますが一筋縄にはいきません。空中戦は出来ますか?」
ワシらは顔を見合せたのじゃ。恐らく、ワシだけが可能じゃろうな。
「ワシの白主と黒主は変化ができるのじゃ。鳥に変化すれば空中でワシは戦えるのう」
「それならば白主に乗ると良いでしょう。神力の塊である神は黒主より白主の方が長時間温存できます。攻撃に黒主、接近に白主を使うと良いでしょう」
何から何までアドバイスありがとうなのじゃと言うて頭を下げたワシじゃ。
ちなみにワシ気になったのじゃが、アレフさんは空中戦はできるのかのう?
「俺か? 俺は無理だ。禰宜も神力の方はそこまで強くなくて、維持が難しくて飛行船から黒主を飛ばすしか方法がない。窓から援護だな」
苦戦しとる理由がわかってきたのじゃ。神対魔王なら拮抗しても仕方ないのう。
同じだけの戦力じゃということじゃな。鳥対鳥か……。ワシも初めてじゃから今から緊張してきたのじゃ。
『皆様にお知らせします。まもなくこの魔法飛行船が飛び立ちます。ごゆっくり空の旅をご堪能ください』
船内放送が鳴り響き、少し揺れて飛行船が飛んだのじゃ! 空の旅はワシもワクワクしてきたのう!
「凄い! 地面が離れてく!」
「うわぁ! ちょっと怖いな!」
ジーナとグーシャが窓から外を見るのに対してルナは静かじゃ。楽しくないのかのう?
「高いところ、ちょっと苦手で……」
なるほどのう。高所恐怖症かのう? 仕方ないのう。外を見ずに船内を散策しようかのう?
「護衛中であることを忘れてたりしませんよね?」
ルナはワシを睨んできたのじゃ。忘れてなんかおらんわい。ネーカさんの護衛はルナの仕事じゃろ?
「ええ? か弱い女性に何を言うんですか? 盗賊が出たらどうするんですか?」
ルナなら黒主と魔素で燃やせるじゃろ? 追い払うことはできるじゃろ?
「えー? ええー?」
ワシは少し気になることがあったのじゃ。勉強のために操縦室へ、ポッポー様と行こうと思っとったのじゃ。
「ポッポー様、機関室と操縦室の二箇所、ワシを案内してくれんかのう?」
「構いませんが、巫女のルナさんがかなり不満そうですよ?」
大丈夫じゃ。ワシに秘策があるのじゃ。
「頼むのじゃ。頑張っておくれ」
ワシはルナの額に、ちゅっとキスしてあげたのじゃ。
「もー! わかりましたよ!」
すまんのう、ルナ。暫しワシのこの世界の勉強タイムじゃ。
「コン様が行くなら私も行く」
「あたしも行くぞ!」
ジーナとグーシャが付いてこようとするのをルナが止めたのじゃ。
「私を一人にして護衛任務押し付けないでください、二人とも! そもそもその二箇所は関係者以外入れませんよ!」
「コン様関係者じゃないじゃん」
「そうだそうだー!」
「神様は見られませんから、入れるんですよ」
ジーナとグーシャのブーイングにポッポー様が対応するのじゃ。
やはりというか神様はどこでも行けるらしいのう。じゃがジーナとグーシャも神じゃ。行けんのかのう?
「体を依代にしている下位の神は人にも見られます。人と同じ扱いですよ」
「それなら諦めてもらうしかないのう。ジーナとグーシャもここで待つのじゃ」
ちゃんと額にキスをしてあげて待たせるのじゃ。
「あの、ポッポー様……」
「なんですか? アレフも当然ここで待つんですよ?」
「それはわかってるんですが……その……」
ははーん、ワシわかったのじゃ。アレフさん、あれじゃろ? ワシらのやり取り見て……。
「俺も額にキスしてほしいなーって……」
パーンという音が鳴ってポッポー様怒りながらワシを連れていったのじゃ。
アレフさん、頑張るのじゃぞ? 色々とのう。
パーン!じゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




