第34話「一週間」
生き返らせた代償じゃ。
街に入る時ウルフと別れたウェアは、ジーナのスライムにワシを乗せ、宿まで連れてきてくれたのじゃ。
ワシは痛みで苦しみ、何も出来んかったのじゃ。
「うぐうううああああああっ!」
何度も牙で噛まれ毒を流し込まれる痛みじゃ。腕も足も胸も腹も頭も、全身が痛むのじゃ……!
「ぐぅっ! くそうっ、ハァハァッ……! い、いつまでじゃ? いつまで耐えれば……?」
「死の痛みがそんな簡単に終わるわけないでしょ? とはいえ終わりはあるわ。耐える事ね」
街までついてきた、メデサ様から告げられるのじゃ。終わりがあるという救いはあるのじゃが、何時間も何十時間も痛みに悶え続けたのじゃ……。
それは死から脱させた罪とも言えるものじゃ。ワシはこの拷問に耐えねばならん。とにかく痛い苦しいのじゃ。
そうしてワシの看病にルナとジーナとグーシャとウェアが交代でついてくれのじゃった。
ワシは息も苦しく溺れそうな感覚を味わいながら、痛みがなくなるのを待ち耐えたのじゃった。
それは一週間続いたのじゃ。地獄じゃった。この一週間は忘れられんのう。
「おめでとう、よく耐えたわね。これでそこの元魔王さん二人は神と認められるわ。ただ見た目と呼称は変わらないから、身分証もこのままでいいわよ」
「神になるデメリットはないのかのう?」
「神にも死はあるわ。寿命はないけどね。そして身体の成長はもうしない。体はもう死んだものだったからね」
他は人間の時と同じという。ただ同じ神から、魔王と判断されることがなくなるメリットと、二人はワシの眷属となり、神じゃが下位の神として扱われるらしいのじゃ。
「なんかよくわからんのじゃが、ジーナとグーシャが助かってよかったのじゃ。メデサ様よ、ありがとうなのじゃ」
「あらあら、元々私が殺したのにねぇ。自分で言うのもなんだけどねぇ」
ジーナとグーシャはワシに抱きついてきたのじゃ。
「コン様! 私たちのせいでごめんなさい」
「あたしが弱かったから……!」
「もうよいのじゃ。命あっての物種じゃ。それより今後の話をしたいのじゃ」
メデサ様がまだいる間に聞いておきたいことが沢山あるのじゃ。
「メデサ様、お主神になってからどれくらい生きておるのじゃ?」
「さぁ? 数えるのも飽きたわ」
「他の神を知っておるな?」
「当然よ、色んな神がいるわ。そこの魔族さんのウルフマスターのように、狼を従える狼の神もいるわね」
なるほどのう。色々おるのじゃな。ならばもっと知りたいことがあるのじゃ。
「お主はあの場所で何をしとるのじゃ?」
「私くらいになると、離れていてもある程度の距離で同類、つまり神を感知できるの。勿論巫女もそうよ。私はここで新米の神や巫女を導く役割を……だいぶ昔に約束したのよ」
だからワシとルナを感知し導こうとしたんじゃな。そこへ魔王まで来たもんじゃから揉めてしまったわけじゃな。
「あなたはわかるか知らないけど、神は魔王を殺せて、魔王は神を殺せる。普通の人間にも魔王は殺せるけど、普通の人間に神は殺せない。つまり魔王は神の唯一の弱点なの」
「魔物でも殺されるんじゃないのかのう?」
ワシがそう尋ねると、メデサ様は笑って言うのじゃ。
「知恵のなくなった魔物に殺される程度なら神を名乗る資格なんてないわ」
なるほどと思ったのじゃ。そして魔王や魔物が世界の癌である理由もわかったのじゃ。
「神を殺せる魔王や魔物は世界を壊す癌なのじゃな?」
そういうこと、と頷いたメデサ様は他に聞きたい事があるか聞いたのじゃ。
「生き返らせる方法を知っとった、神にする方法を知っとったのは何故じゃ?」
「私も実は最愛の人を亡くした時試したからなのよ。その人は今、ここを私に任せて旅をしてるわ」
ふむ、なるほどのう。つまりあの地獄を知っとったわけじゃな。
「ルナ、巫女は他にもおったのかのう?」
「い、いえ! 私の他にエー町には巫女はいませんでしたよ?」
「メデサ様よ、他の町からスタートする巫女や神がおるのじゃな?」
「当たり前でしょ。ただ、私も昔旅した経験則から、ある程度どこからどう進むかはわかるわ。だから私はここにいたのだから」
メデサ様の話じゃと、まず神託から巫女が選ばれるそうなのじゃ。その後、神が降臨し共に旅する流れになるらしいのう。
メデサ様も元々はこの世界の人間ではなく、別の世界から喚ばれた者らしい。
「お主の巫女はどこにおるのじゃ?」
「とっくに死んだわよ。私の場合は禰宜ね。禰宜や巫女には寿命があるからね。ただ……私がここまで神力が強い理由は、私の禰宜が寿命で死んだ時、培ってきた全ての神力が私に上乗せされたからなのよ。
当然私自身も神力を蓄えたからというのもあるけど、長生きした分力は強いわ」
ちなみに神にした人間は禰宜ではないらしいのじゃ。禰宜にも試そうとしたそうじゃが出来なかったそうじゃ。
「神は巫女や禰宜以外の死の淵にいる人間を神にできる。でも注意してね。神も神を殺せるからね」
メデサ様との話はとても有益じゃった。
メデサ「様」になっとるのじゃぞ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




