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狐依コンの異世界大冒険  作者: 狐依コン
グーシャとの出会い編

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第19話「ゴブリンの魔王」

ゴブリンの魔王グーシャ登場回じゃ。



 朝起きてから朝食を摂り、ギルドに向かったのじゃ。資金も貯めねばならん。

 人助けのために何か依頼がないか役員さんに尋ねたのじゃ。


 すると役員さんは魔草刈りをお願いしてきたのじゃ。ジーナがスライム使いじゃからきっと可能ということじゃった。

 街の中に川があり小さな橋があるのじゃ。その周辺に魔草が生えてしまっとるらしかったのじゃ。


 ワシは魔草とは何かルナに尋ねたのじゃ。それは悪い心を持った人間が触れた草が魔草になってしまうらしい。

 刈らねばどんどん悪い心の持ち主を増やしてしまうらしいのじゃ。


 ワシは思ったのじゃ。河川敷にゴブリンの魔王がおるとな。そうして向かっておると、「ドロボー!」と叫ぶお姉さんが後ろから駆けてきたのじゃ。

 どこじゃ? と思っておると、屋根の上を走る人影のようなものが見えたのじゃ。


 ルナがお姉さんを止めて、何を盗まれたのか聞いたのじゃ。

「大量のパンさ。あたしゃパン屋だからね。よく盗まれるんだ」

 これで決定的になったのじゃ。


 問題の河川敷に行くと黒い草がボウボウと生い茂っておったのじゃった。その草が人を寄せつけず、砦のような状態になっておったのじゃ。

「ジーナ、頼むのじゃ」

「わかった!」


 ジーナのスライムは黒い草を見る見るうちに食していったのじゃ。

 辺り一帯の黒い草を食べ尽くすと、ワシはルナとジーナに橋の下に建てられた小屋を指さしたのじゃ。


「魔草によって隠れておったようじゃが、あの中におるのが、ゴブリンの魔王じゃろうのう」

 ワシらは見つからぬよう忍び足で小屋に近寄ったのじゃ。


「ワシがまず中を見てくるのじゃ」

「危険じゃないですか?」

 ルナが心配そうな目でワシを見てくるのじゃ。

「ジーナを相手した時もそうじゃったろ」

「でも……」


「大丈夫じゃ、危なくなったらすぐ退くわい」

「わかりました。気をつけてくださいね」

 ルナとジーナに見守られ、ワシは小屋の中にすり抜けて入っていったのじゃ。


 そこには一人の少女と四匹のゴブリンがおった。フードマントを被ったゴブリンからパンを受け取った少女はパンを食べておったのじゃ。

「何をしとるのじゃお主ら」


「!? 誰だ!」

 ゴブリンが構えたのじゃ。このままでは分が悪いと思ったワシは、すうっと壁をすり抜けて退いたのじゃ。

 ルナとジーナのところまで退いたワシは彼女が出てくるのを待ったのじゃ。


 扉を開けて出てきたのはゴブリン四匹のみ。女の子は出てこんのじゃ。

「仕方ないのう。まずはゴブリンが相手じゃ」

 緑色の人型の魔物、ゴブリン。ワシは鞘を手にして刀を構えたのじゃ。


 小柄な人型の魔物とはいえ、力は人以上。油断出来んのじゃ。ジーナはスライムを沢山出して、応戦したのじゃ。

 ワシの元には二匹回ってきたのじゃ。一閃で一匹の首を落としたのじゃが、もう一匹に対応できんかったのじゃ。


 ゴブリンの持っていたナイフで切りつけられると思った瞬間、弾いたのじゃ。

 光の膜がワシの周りを覆っておった。ルナの魔法じゃ。

 ワシはもう一匹の首を切るとジーナの方を見たのじゃ。


 ジーナは数で応戦しておったのじゃ。じゃがゴブリンは狡猾でなかなか囲まれてくれんのじゃ。

 上手く立ち回ってスライムを潰していくゴブリンに、ジーナは疲れておるように見えたのじゃ。


 これはいかんと思ったワシはジーナの助けに回ったのじゃ。そうして残り二匹のゴブリンを倒したワシらは、再び小屋に向かって行き、中に入ったのじゃ。

「く……くそっ! こんな事ならもっと集めとくべきだった!」

「待て! 落ち着くのじゃ。ワシらは話をしたくて来ただけなのじゃ」


 ワシらは彼女に小さな小屋から出てくれぬか聞いたのじゃ。

 小屋から出た彼女は警戒を解かなかったのじゃ。

「何が目的だ?」

「まず名を聞かせて欲しいのじゃ。ワシは狐依コン。神様じゃ」


「壁をすり抜けたのはそのせいか、なるほどな。あたしの名前はグーシャ」

 ゴブリンの魔王はグーシャと名乗ったのじゃ。ルナとジーナも名乗る。

「スライムの魔王だと? なんで魔王が神様の味方してる?」


「私は助けてもらった。あなたも救われるべき」

 ジーナの言葉に鼻で笑うグーシャ。

「救う? 何を今更……。私が助けてと祈った時、助けてくれなかったくせに!」

 ワシはあまりの事に言葉を失ったのじゃ。理解した言葉は残酷じゃった。

 グーシャは神に助けを乞い、裏切られたそうなのじゃ。


 そりゃそうじゃ。彼女は魔王になってしもうてから日が経っておる。魔王になる理由があったはずなのじゃ。

「確かにワシは間に合わなかったのじゃ。じゃが、お主を助けたいと思っておる。どうか話を聞かせて欲しいのじゃ」


 グーシャは歪んだ笑みで笑いながら彼女の話を始めたのじゃった。

悲しい話が次出るのじゃ。


ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!

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