7 保護者
何にせよ、これからこの星で何が起きるか判らないということだ。こちらはこちらで調査を進めることにする。そして、調査が済むまでの間という訳でも無いが、先ずベガには保護者を付ける必要があるらしい。
「僕がやります。いや、やらせてください」
反射的に、そして心から出てきた言葉だった。
折角出会った友達になれそうな子なのに、直ぐにお別れなんて嫌だ。もっと親しくなりたい。もっと仲良くなりたい。一緒にテレビを見たい。ご飯を食べたい。楽しく過ごしたい。そう心の底から思っているから。
「うむ、既に引き取り先は決まっているんだよ」
「え……」
しかし現実は厳しい。ここで報告をしたというのはつまり、最後のお別れをさせようとしていると、そういうことなのだろうか。
運命は、非情だ。
僕の思いを汲み取ったのか、ベガはこちらを見ると、肩にぽんと手を置いてくれた。あったかくて、優しかった。
「そんな、二度と会えなくなる訳でもないだろう? だから、安心してくれよ。何だか、お前が悲しむ顔を見ていたくない」
ベガの顔を見てみて、気が付いた。この子もまた、悲しんでいるのだと。
この短い期間だけで、僕らの間には僅かながらに絆が出来上がっていたのだ。その理由は分からない。でも、昔から会っていたかのような、そんな感覚がそこに有った。
『やっと会えた』
ベガが言ったこの言葉には、どんな意味があるかは分からない。
でも、僕としては、前世の思いによるものだと思っている。
実際そうでなければ普通、直ぐにここまで仲良くなることは出来ない。
これまた変なオカルト染みたというか、宗教染みているような気がするけれど。
「おやおや……ベガ君。すまない、こちらまで来てくれるかな」
「あ、ああ」
ベガは理事長の前まで行くと、何かを耳打ちされていた。
ヒカリは穏やかな笑みを放っていた。一体何だというんだ。
その、何かを告げられると、ベガは途端に表情がぱあっと明るくなっていく。
「……本当か!?」
理事長もヒカリも、笑顔で頷いた。
一体何だろう……。僕は部外者だから、聞くことはできない。そういうことなのだろうか。
何も間違ってはいないのだろうけど、どこか寂しい。
会えなくなるわけではないとはいえ、離れてしまうことには変わり無いのだから。
なんで。どうして。
僕じゃ役不足なのかな。
「ルイ……顔を上げてくれ」
僕は悲しい顔を隠すように、目線だけをベガに合わせた。
――本当に、真剣な眼差しだ……。
「今からオイラが言うこと、良く聞いていて欲しい」
受け入れ難い現実を突きつけられることを、ここで覚悟すべきなのだろうか。
……大人にならなくちゃいけないのかな。
僕も、しかと受け止めることにする。
「ベガ、僕、覚悟決めたよ」
「そっか……。じゃあ、言うぞ」
僕はこの後の言葉で、感情の高ぶりを感じた。
「――保護者は、お前の父さんだ」




