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漢字を開くよ


 絵描きひとりひとりに癖(クセでもヘキでも可)があるように、文章書きにだって癖はある、はず。

 そんなことを思い立ち、私の文章を書く上でのこだわりなんかを書こうかなと思いました。

 一応、時代小説…って書くとやはり固い感じになるので、テレビ時代劇みたいな娯楽作品ってことで、『時代劇小説』を書いてます、と言わせていただきます。

 だいぶそちら寄りになります。


 文章講座とか偉ぶる気ないんで、こんなこと考えながら書いとるんかこいつは、くらいに思っていただけたら幸いです。


 猫舌の癖をさらけ出すぜ! どっちかってとヘキの方! ていうエッセイになります。

 ※無意識に入っちゃってるこだわりがクセ、あえて入れてるこだわりがヘキと定義いたします。


 なんでこんな需要なさげなもんを始めたかと申しますと。きっかけは、短編『1日で終わる断罪』への誤字脱字報告です。

 こちらはヒューマンドラマジャンルに置いたことで、他作品とは比ぶべくもない閲覧数、ポイント数となりました。感謝です!


 で、その中にあった単語『ひとり』が、『一人』ですよという誤字報告を受けました。

 ありがとうございます。気になりますよね、なんで変換しないのか。

 理由は、文章をやわらかくしたいから、です。


 時代小説は固いと言われる原因って、私は『作者があえて固くしてるから』だと思うのですよ。

 まるで重箱の中でおかずが仕切られているように、これは時代小説だ! という、見えない様式美があるような。

 漢字がずらずら並んでると、それだけで難しい話だ! と視覚的に判断されると思います。私は、それがイヤなんですね。


 『1日で終わる』シリーズは時代小説ではないですが、ギャグ寄りのため、漢字が並ぶとそれだけで話の雰囲気が固く見える(シリアス、重い話だと感じてしまう)と思いました。

 人数に関していうと、この作品に限らず私の作品では一人、二人はほぼ平仮名表記(ひとり、ふたり)です。さすがに三人以上は漢字ですが。


 漢字にできるのに平仮名で書くことを『漢字を開く』と言いますが、私は『三養堂』でこれを多用しまくっております。

 例えば、拙作では。


 【旗本と御家人の違いは、将軍にお目見えできる身分かできない身分か、である。

 旗本家は子供が元服する前あたりまでに、将軍への挨拶が許される。そこで利発さを気に入られたりすれば、将軍家のだれそれのお側に……などの道が拓けるのだ。

 石高は家によってピンキリだが、有事の際に家来に槍を持たせ馬で駆けつけられるだけの給金を貰うのが旗本、家来を養うほど金の余裕がないのが御家人、とも区別できる。

 ただ、次男三男らの置かれる境遇は、旗本も御家人も変わりない。……】


 このあたりは江戸幕府のシステム説明の部分なので、どうしても漢字が多くなり、やだなーと思ったところです。

 ですがここを読み飛ばしてしまうと、梅之助の家格である『御家人』がどれくらい貧乏なのか、後ほど登場する不破伴左衛門や、その仲間がグレた理由が不鮮明になります。


 この漢字多い&説明長いぞゾーンを読んでいただくために、私の取った手段は、


・分かりやすい言い回しで。(お目見えできる身分かできない身分か、利発さを気に入られたり、だれそれのお側に、など)


・馴染みのなさげな言葉は使わず、短く分かりやすく。(近侍に→だれそれのお側に、など。旗本御家人の違いは本当はもっとあるけど、長くなるからあえて書かない)


・漢字を開く(出来る→できる、誰それ→だれそれ、など)→平仮名を多く見せることで、易しい文章に見える。


 と、なります。

 視覚的に、漢字は3〜4割。開きすぎると緊張感がなくなるので、これくらい。長い文章は作らない、小段落を作って余白を生み出す、のも手です。


 漢字が嫌いなのではないです。文字数稼ぎでもないです。

 魑魅魍魎と書くより、百、二百の妖、とか書きたい。既存の単語より自分の言葉で説明したい、そんな感じです。


 ぶっちゃけ、漢字変換すりゃいいってもんじゃない、と思ってます(本音)。



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