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九章 正義(ヒーロー)と悪役(ヒール)=虚無

「で?どうやって時間を遡るんだ?」


 事故前に戻れるなら、一刻も早く行きたいが・・・。

 でも、そんな簡単に過去に行けるのかい?

 都合良くタイムマシーンがあるのか?はたまた魔法のステッキでも振り回すのか?それとも水瓶座の力を借りて?以下略。

 科学的には未来には行けるけど過去には行けないじゃなかったっけ?

 んん??逆だっけ??あ~もう、どっちにしても、よう分からんわ!!


「心の中で行きたい日付、時刻を思い浮かべて念じればいいんですよ。」


 相変わらずの感情の入って無い事務的な話し方だな、こいつは。

 つ~よりも、そんな簡単でいいんかい!?

 もっとこう魔法の鏡を使うとか、儀式場が必要だとか、召喚魔法が必要だとか、血の誓いが必要だとか、以下略。

 お手軽に頭の中で思ったらハイ、ポンかよ。

 レンジでチンより簡単じゃね?


「たった、それだけ・・・・・?随分と簡単だな。」


「では、早速使ってみてはいかがですか。」


 ケッ!おまえに言われるまでも無く、早く俺は春香の所へ行きたいんだよ!!!!

 なぁ~んか、こいつ腹立つし(顔は好みなんだけど。)絶対に一生こいつとは、平行線だな、フン!!。

 まあ、ここは気を取り直して早く過去に行かなきゃ。

 ええと、時刻設定は事故十分前ぐらいでいいか。


「待ってろよ春香、今行くからな。」


 目を閉じて設定した時刻を念じる俺。

 そして、ゆっくりと目を開けると、自分を取り囲むようにあった事故車両や緊急車両が消え去り、先程まで不通になっていた車線に通常の流れが戻っていた。


「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!すげぇぇぇな!!ちょっと感動した!!!本当に、この場所の時間が戻ったんだな。」


 ただ、高速道路という自動車専用道路に一人、車にも乗っていない徒歩の翔威は思いの外目立っていた。


「いつまでも、うろうろしてたら『人生に悩み錯乱した少年、誤って高速道路に進入!自殺願望か!?』みたいなニュースになっちまうな。」


 まずは通報される前にここから動かないと。

 それに、事故がおきるまであまり時間も無い事だし、とっとと春香の乗ったバスを探すか。 


 でも、どうやって捜すかなぁ・・・。

 ここは事故現場だから、連れ去った女が現れた地点まで戻らないと駄目だな、でも徒歩じゃ目立つしなぁ。

 なるべく目立たない方法で・・・。


「・・・・そうだ。」


 テレポを空中で、五メートル間隔ぐらいで一方向に連続使用すれば空中移動っぽくなるかな。

(厳密に言うと現れた瞬間に落下を始めるから、斜め前方に連続テレポですね。)

 幸いテレポに使用回数制限は無いしな。


 ただ、低空を飛ぶと色々な人々に見られて、よく朝には「すわっ!!東京に宇宙人来襲か!?」みたいなワイドショーネタになって大騒ぎになりそうなので。

 地上から五十メートル程上空を飛びつつ高速を遡る事にした。


 しばらく飛ぶと事故現場で見たバスと同じバスを視界に捉えた。


「見つけたぜ!!春香。」


 バスの内部状況を確認したいので、今度は高度をバスの内部が分かるくらいに下げつつ、バスの左斜め後方二十メートルにつけて併走(併飛?)しつつ様子を伺う。


 どうやら春香一家はこちらから確認しやすい一番後方の座席に乗っているようだ。


 ふと、バスの後方の車に目をやると。

 車内の子供たちが、こっちを指さして激しく大騒ぎしているようだ。


(あっちゃ~、そりゃ見つかるわな~。でも写真とかは勘弁してくれよ・・・明日から学校に行けなくなっちまうじゃん・・・。」


 腕時計に目をやると、事故が起きる三分前になっていた。

 そして、コマ落ちしている動画のような景色の中。

(連続テレポしているため。)

 バスの車内で動きが。


 誰だあれは??

 春香の目の前に突然人影が・・・。


「おっと、来やがったな!」


 俺は追跡をやめ、車内へテレポしていった。


 春香の前で、今まさに誘拐しようとしていたのは。

 銀髪のショートヘアにディープブルーの瞳。

 そして、どっかで見たことあるようなセーラー服姿の少女だった。

 (ちなみに、誘拐女は冬服でジニスは夏服だったりする。)


 ぱっと見の印象はジニスが「見た目は翔威のモロ好み」だったが、こっちは「気が強そうなのがアリアリで、友達にすらなりたくなぁい」らしい。


 俺は謎の女の背後から、威嚇の意味も込めて大声で問いかけた。


「おまえは、一体何者だっ!!春香をどうするつもりだ?」

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