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215 百済再興と斉明天皇

 額田王ぬかだのおおきみは最初は天武天皇に嫁ぎ、後に天智天皇に嫁ぐという兄弟の天皇をめぐるラブロマンスと優秀な万葉集の歌人であると言うことで知られているが、この額田王は、当初、皇極こうぎょく天皇(後に斉明天皇として再度天皇となる)の身の回りを世話する官女として宮廷に入ったという。この額田王の歌として次の秀歌があるが、万葉歌人の山上憶良たまのうえのおくらによればこれは斉明天皇の作だと云う。


 熱田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかないぬ 今は漕ぎ出でな


 (熱田津にぎたづ《現・愛媛県松山》の港に 船に乗ろうと日を過ごしていると 潮の流れも最高になった さあ今は出帆しましょう) 


 この歌が斉明天皇の歌だとすると斉明天皇の決然とした意志が今に伝わるように思う。斉明天皇は皇極天皇であり天智天皇と天武天皇の母である。


 

 蛇足だが、筆者の好きな額田王の歌を書いておきたい。ここには古代の美しさがあふれている


 茜さす 紫野むらさきの行き 摽野しめの行き 野守のもりは見ずや 君が袖振る


 (あかね色の夕陽がさす、王領の紫色の染料を作る紫草を栽培する畑を行き、原野を行くと君が遠くでそでを振る、そんなことをしたら、野の守備の者の目につくではありませんか!)


 君待つと わが恋いをれば わが屋戸のすだれ動かし 秋のかぜ吹く


 (君を待って胸を焦がしていると わが家のすだれが 秋の風に吹かれています)

  

 愛人の中大兄皇子(天智天皇)も

 

 香具山は 畝傍愛しと 耳成と 相争いき 神代より かくにあるらし いにしへもしかにあれこそ

 うつせみも 妻を争うらしき


 (大和三山の香具山は 畝傍うねび山が愛しいと 耳成みみなし山と争いました。神の世よりこのようでありましたから、古代もそのようで、現在も妻を争うようです)


 と歌っている。この時期はなんというロマンと暴力に満ちた時代であったのだろうか。

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