28.黒歴史となりました
おはようございます。初めてのふかふかベッドとあまりのシーツの肌触りのよさに緊張しきりだったリーリエです。少し睡眠不足です。
あの後、夜遅くなってしまったので、事情聴取は翌日にされることになったのですが、なんと!王宮にお泊まりすることになってしまったのです。
もちろん、食事も王宮で取ることになってしまいました。
今後二度と王宮で食事をすることなどないに違いありません。
それなのに、それなのに!マルドレイ夫人の顔が過り、マナーが気になって美味しそうなお料理を堪能することができませんでした。すごく、大変、非常に!残念です。
でも、今頂いているお茶とお茶菓子も大変美味しゅうございます。
朝食を終えてしばらく経った頃、同じように王宮に泊まることになったパトリシアがリーリエの部屋を訪ねてきた。
侍女はお茶とお茶菓子を用意して、部屋を出て行ったので、二人きりのお茶会だ。
「あのキルバル国の元王女様はリリーのお父さんに一目惚れして、ゴリ押しで、婚約しようとしたの。でも、お父さんには既に心に決めた人がいて、それがリリーのお母さんよ」
リーリエはパトリシアに、小説でのリーリエの生い立ちの設定を聞くことにした。
母が亡くなってしまって、細かな話を知る人はいないので、これを機会にと教えてもらうことにしたのだ。
あくまで小説の中の話だと、前置きをされたけれど…
「お母さんはガルトン男爵の長女だったんだけど、実の母親は幼い時に亡くなって、後妻できた継母と腹違いの妹に虐げられていたから、リリーのお父さんはどうしてもお母さんと結婚してその家から救い出したかった。両親を説得して、やっと許しを得たところに、降って湧いたのが王女からの求婚だったのよ」
「あの元王女は権力を使って無理矢理、婚約しようとしたってこと?」
「そう。だから、馬車の事故を装って、死亡したことにして、駆け落ちしたの」
「でも、あの粘着質な元王女は諦めなかったってことね」
「病的に執着してて、馬車の事故が偽装だと突き止めてしまった」
「それから、ずっと探し回ってるのかしら。公爵夫人ってライハート殿下が言ってたから、他の人と結婚したのよね?」
あまりの執着振りに呆れながらも、昨日の狂気を孕んだ目を思い出して、ブルリと震えた。
「行方は分からないし、生きていたとしても市井に降りたような男に王女を嫁がせる訳にはいかなかったのね。実際は兎も角、表向きは死亡したことになってるし、向こうの王家は、いつまでも未婚の王女を置いておく訳にはいかないから、公爵家に押し付けたってことよ」
「はぁ、それは上手くいきそうにない結婚ね」
こんなに他の男に執着てる女を押し付けられた公爵は堪ったものじゃないだろう。
「実はお父さんは王女の手の者から、お母さんとリーリエを逃す時に崖下に落ちて亡くなってしまっているんだけど、王女の怒りを恐れてそのことを報告しなかったことから、未だに生きてると信じて探してたの」
「本当、傍迷惑な人よね」
ため息しか出ない。
「小説では、学院に入ってすぐにリリーが攫われそうなっているのを助けたのが、今の生徒会メンバーよ。その時、犯人は逃げてしまったんだけど、生徒を攫おうとした者を捕まえるべく、動き出したの」
「なるほど。やっぱり生徒会メンバーは主要人物の集まりだったのね。パティはすごい美人だし、男性陣は別格のイケメンだと思ってたのよ」
リーリエは今まですごい勢いで空回りしていたなと、ハハハと力なく笑う。
「大っきなメガネで瞳の色を変えて、学院に入って来たのは驚いたけど、リリーはやっぱりヒロインだなって思ったわ。別の意味で存在感を放ってて」
最後の方はメガネにおさげ姿のリーリエを思い出したのか、クスクスと笑っている。
「本当なら、色々探っていくうちにメルトロー侯爵家に行き着くのに、学院に入る前に本当のお父さんに行き着いているなんて、ある意味、ヒロインよりヒロイン力があるかもよ」
なんと!ヒロイン断固拒否のつもりだったのに!?
大きな勘違いのもとで、イケメンは攻略対象者だと思い、好かれないようにしていたなんて、今となっては、すっかり黒歴史だ。
今までの色々が恥ずかしくなってきて、ガックリと肩を落とした。
お読みいただきありがとうございました!パトリシアから本当の小説の話を聞いて、勝手な勘違いの末、やっていたあれこれの行動を思い出して悶絶するリーリエ(笑)
本作は、明後日【木曜日の朝7時10分】の投稿をもちまして、プロローグを含めて全32話で堂々完結となります!最後まで見守っていただけると嬉しいです!★「事件の決着にスッキリした!」「二人のハッピーエンドが早く見たい!」と思ってくださったら、ぜひページ下部の 【☆☆☆☆☆】を★★★★★(満点) にして、完結に向かう作者の背中をポンと押していただけませんか?皆様の 【ブックマーク】 と星の数が、最後の執筆の最大のエネルギーになります。よろしくお願いいたします!
次回は本日20時10分です。




