25.誘拐犯は…
バーンと大きな音がして、扉が開いた。
蹴破られたのか、半壊の扉が片側にぶら下がっている。
女たちが一斉にそちらを向いた瞬間、リーリエはその隙を逃さず、女に体当たりをして、距離を取った。
女たちの動きに気を配りながら、チラリと入ってきた人物を確認して、ホッとする。
銀髪が少し乱れているが、サファイアのようなその瞳は強い光を放っていて、怪我をしている様子もない。
レオナルドさん…助けに来てくれた。
力が抜けて、座り込みそうになるのを、まだ気を抜いちゃダメだと自分を叱咤する。
「ここは包囲されてる。大人しく投降しろ」
レオナルドが女たちに剣を向け、威嚇している。
すると、厳つい男が剣を抜くとレオナルドに斬りかかった。
厳つい男の剣の腕はレオナルドと互角のようで、暫し緊迫した鍔迫り合いが続く。
二人が互角ということは、向こうには戦闘力が分からない若い男がいる分、こちらが不利だ。
せめて、人質にならないようにしないと。
少しずつ移動して、半壊している扉に近づいていく。
リーリエが扉の近くまでようやく辿り着いた時、半壊の扉が全壊になった。
「レオナルド早すぎ」
「リーリエちゃん、無事!?」
魔法でぶら下がっていた扉を吹っ飛ばしながらやって来たのはげんなりした様子のライハートといつになく真剣な顔をしたアンドリューだ。
危ない…もう少しで飛んで来た扉にぶつかるとこだった…
リーリエは冷や汗をかきながら、自分の横に落ちている扉だった物を見つめた。
部屋の外にも騎士団の制服を着た騎士が何人もいて、包囲されているというのは事実らしい。
カンっと高い音が鳴って厳つい男の剣が飛び、レオナルドが剣を突きつけた。
厳つい男と若い男が両手を上げて降参すると、女は崩れ落ちるように床に座り込んだ。
「コーデリア殿下、いや今はマキスタ公爵夫人ですね。このことはキルバル国にも報告されていただきます」
ライハートが女を冷ややかな目で見下ろし、彼らを連れて行くように指示する。
コーデリア殿下…キルバル国の元王女?
なんでそんな人が…
呆然と連行されるコーデリアたちを見送っていると、剣を鞘に収めたレオナルドがリーリエに近づいて来た。
「怪我は…」
リーリエの左頬にそっと触れようとして、きゅっと拳を握った。
「赤くなってる。あの女!」
レオナルドの瞳に剣呑な光が宿ると同時に、冷たい空気が辺りに漂う。
寒い、寒い。
急激な気温変化に、リーリエの身体がぶるりと震えた。
「大したことないから、落ち着いて」
その冷気をしまって!
「あぁ、すまない」
ぶるりと震えるリーリエを見て、ハッとしたような顔をする同時に冷気のもれがピタッと止まった。
「それよりも、レオナルドさんの頬にキズが」
厳つい男の剣が掠ったのか、少し血が出ている。
レオナルドさんのキレイな顔にキズが…
学院で習った治癒魔法を使おうと、頬に手を寄せて気づいた。
おぉー、魔法が使えない。
まだ、足首にあの輪っかが付いたままだった。
「えー…、これのせいで治癒魔法が使えないみたい」
輪っかの嵌った足を少し上げて、気まずく、手をゆっくり下ろす。
「これか。今外してやる」
レオナルドはリーリエの足元に戸惑いなく跪くと、輪っかに魔力を込めた。
すると、パリンと音がして、輪っかが砕け散った。
「………治癒しますね」
はい、どうぞとなると、なんか恥ずかしい。
顔が赤くなっているのを感じながら、レオナルドの頬に手を近づけると、治癒魔法をかける。
みるみるキズが消えていき、元のキレイな肌に戻った。
やった。上手くできた!
リーリエは内心ガッツポーズだ。
「あー、お二人さん。僕たちのこと忘れてないか?そろそろ引き上げるよ」
アンドリューがため息を吐いて、ライハートと背を向けて部屋を出ていく。
うわっ!二人も助けに来てくれたんだった!
「あっ!ありがとうございました!」
慌てて頭を下げて、彼らの後を追って扉のなくなった部屋を後にした。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!
無事助け出されたリーリエ。
レオナルドがどうやって最速で助けに現れたのか?
次回リーリエ救出の舞台裏が明らかに!
木曜日の全31話完結に向けて、ここから一気に駆け抜けますので、今夜の更新もぜひお楽しみに!
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次回は本日20時10分更新です!




