第2章 エピローグ 仲間と共に
あの巨大な怪物を倒してから、2週間が経った。
街には、復興の兆しが見えてきた。
以前の怪物が暴れていた痕跡は、もうほぼ残っていない。
最近、重村商事が魔石発電を発表した。
すでに実用可能な段階まで進んでいるらしい。
既存の発電の十倍ものエネルギーが得られると聞き、世間は連日その話題で持ちきりだ。
そして、原子力発電所は今後の危険性から完全に停止された。
以前にあった、怪物の暴走が決め手だったようだ。
停止された事実にホッとする。
九尾ギルドでは、多くのメンバーが前回の巨人との戦いで、力不足を感じたらしい。
震えて動けなかった者たちを思い出す。
そのことが悔しかったのだろう。
現在はゲート内で、かなり意欲的にモンスターを狩っているとのことだ。
『レベルが連動する個体を狩って、どんどんレベルが上がっておる。
影殿も、ワシも抜かされんように精進せんといかんな』
玉野さんは、ニッと笑って言っていた。
私も、巨人には苦戦した。
今後、巨人以上の敵が出ないとは限らない。
より強くならないといけない。
そう思った。
ゲートのことを考えていると、スマホが鳴った。
画面を確認する。
担任から、『3日後に学校が再開する予定』と連絡が来ていた。
『課題を忘れるなよー』と追加で書かれてある。
冷や汗が背中に流れるのを感じた。
ここ最近の忙しさのせいで、課題を完全に忘れていた。
まだ、休校中の課題が一つも終わっていない。
咲に『至急! 課題ヘルプ!』とラインで送る。
そんな私を、「だから、前に会った時にも言ったのに……」と咲は呆れていた。
それでも、笑って手伝ってくれる。
こんな日常を送っていると、たまに思い出す。
岡本を刺した感触はまだ残っている。
岡本は、恐らく魔魂王に歪められた人間だったんだろう。
自身の行いを正当化するつもりはない。
でも、私はもう一度似たことがあった場合、同じ選択をする。
今は力を得た人間が増長しやすい時代だ。
魔魂王などに操られてなくても、似た人間はきっと現れる。
——日常を脅かすなら、人でも斬る。
私は、もう一度覚悟を決めた。
「天音。覚悟を決めたような顔をしてどうしたの?
ちゃんと課題に集中しないと手伝わないよ?」
咲がこちらを見ている。
「ごめんごめん。集中するから手伝ってください」
咲大明神に頭を下げる。
少しずつ、元の生活に戻っていくな。
そんなことを思った。
前はこの生活が嫌だった。
何もない日常。
家でも会話がほとんどない。
ただ惰性に生きていた毎日だった。
今は違う。
父親とも会話が穏やかにできるようになった。
親友とこうやって駄弁ることもできる。
重村さんや、玉野さんという仲間もできた。
最近のことを思い出し、笑みを浮かべる。
この生活を今後も守っていこう。
——仲間と共に
*******
???視点
魔魂王から、定期連絡が来ない。
蛮族の地だというのに、何をしているのだろうか。
やはり、あいつは口だけだったか。
腕を組み、考える。
しかし奴にも、曲がりなりに忠誠心はあったはずだ。
それでも連絡がないということは……。
……少しは面白い事になりそうだ。
ニヤリと、口元が歪む。
今度はワレが動こう。
そして、奴の痕跡を探す。
もし、生きていれば……連絡を怠った罪で、奴を殺そう。
だが、万が一にも、『蛮族』に殺されたとするなら……。
——そいつの情報を、集める必要があるな。
後書き
第2章「繋がる刃」を最後まで読んでいただきありがとうございました!
孤独で、一人きりで戦っていた天音が、仲間と出会い、背中を預け合える存在を得る。
第2章は、そんな変化を描いた章でした。
ここで第2章は一区切りとなります。
最後に登場した者の正体が気になった方は、ぜひ第3章も読んでいただけると嬉しいです。
少しでも「2章、面白かった!」「この謎の人物、気になる……」と思っていただけましたら、ブクマやページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価していただけると、とても嬉しいです。
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第3章の前に、間話が少し入ります✨
次の話もよろしくお願いします!




