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仲間のいる日常

 サラを仲間にして1週間、早くも俺は彼女を仲間にしたことを後悔していた。

 なぜなら……


「起きなさい! 今日も依頼を受けに行くわよ!」

「もう毎日行ってるだろ、休ませてくれよ」

「あたしは早く借金を返して自由になるの! いいから早く起きなさい、よ!」


 毎朝この調子である。

 やはり俺の所有物という扱いが気に喰わないらしく俺とルークの前で「借金なんか倍にして返してやるから自由にしろ」と『誓約』を持ち掛けたのだ。

 その場の勢いだったのだろうがいきなり雇い主への反抗宣言は大問題になり大勢の神官たちに説法を受けていた。

 その結果、彼女は俺に支払った金額の倍、金貨1万枚を返却するまで俺から一定距離を離れると死ぬという魔法を掛けられてしまった。

 魔法が解除された後は俺とサラとの問題なので一切関知しないがそれまでの間に問題があれば相談には乗ってくれるとルークは言ってくれた。

 彼女は彼女で俺から金をせびるかと思えばプライドがあるようで自分が役立った分しか報酬を受け取ろうとはしない。

 そのくせ「一晩金貨1000枚でどう?」とか言ってからかってくるのだ。

 一回ふざけて「払ってやろうか?」と言ったら顔を真っ赤にして「冗談に決まってるでしょ」と逃げてしまった。何でもするとは一体何だったのか。それ以来何も言ってこなくなった。

 こんなことがあったため、かえって手を出し辛くなったこともありずっと同室に泊まっているのに彼女とはそういう関係にはなっていない。

 正直この時に手を出しておけば良かったと後になって後悔した。


「あ~もう、今日はここから動かないから適当に薬草の採取でもしてこいよ!」

「嫌よ、アンタが中心街に行っただけで死ぬかもしれないのよ。怖いじゃない」

 モンスターに殺されると言わないところが彼女の凄いところだ。

 実際、採取場所に出没する程度のモンスターなら彼女一人で対処可能だし最悪囲まれても逃げ切るくらいの能力はある。

 先日教会で彼女のレベルアップを行なった際に能力を聞いたのだがレベル上限が76でレベル11、能力はマジックユーザとしてはかなり優秀な値だそうだ。

 ただレベルが高いだけで魔法が苦手な俺では魔力はそのうち抜かれるだろう。

 ちなみにサラのレベルアップにチェルを呼び出さず教会を利用しているのは権力者や教会、裏社会から目をつけられるのを避けるためで彼女にも内緒にしている。

 この世界では簡単にレベルアップを行える存在は重要で精霊を呼び出せればそれだけで商売になり食べていくには一生困らないぐらい稼げるのだ。

「今日行ったら明日は絶対休みだからな。いいな」

 俺が折れる形でとりあえず今日はレベリングを兼ねた仕事へと出ることとなった。




「ほら右、あ~もっとよく狙え~」

「うるさい、ごちゃごちゃ言うな!」

 サラは空へスラッシュ(風の刃)の魔法を飛ばす。

 今日は街道に出没するスピンバードの駆除だ。

 これはサラの魔法で対処可能で報酬も結構いいので彼女にとって資金、経験値の両方で良い稼ぎになりそうだ。

 サラの魔力には限りがあるため結局大半は俺が対処することになるのが不満なのか機嫌が悪い。

 彼女の主な稼ぎは自力で倒したスピンバード5匹分の報酬と採取した薬草等を売った分だ。

 それでもそこらの冒険者よりは随分稼いでいるんだが依頼の貢献度が俺の10分の1以下というのがお気に召さないらしく早く強くなるために戦闘系の依頼を受けてくる。

 彼女の装備と宿代・食事代はこっち持ちで借金にはカウントしていないんだからもう少しのんびりしようよといっても聞いてくれない。

 彼女と組むようになって毎日依頼に出てたが明日はやっとゆっくりできる。

 俺はひさしぶりに穏やかな気持ちで眠りについた。


サラの性格は臆病でそれがばれないように強気に振舞っている。と設定しています。

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