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呪いをかけられた王子を助けたら愛されました  作者: Karamimi


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第15話:ティア嬢は僕の事をどう思っているのだろう~リベリオ視点~

「それでは、早速薬を飲んでみてください」


 嬉しそうに薬が乗ったスプーンを僕の口元に運ぶティア嬢。早速一口。


 んん!これは…苦いしマズイ。吐き出しそうになるのを必死に堪え、何とか飲み切った。これは少しずつ飲むのはさすがに辛いと思い、残りも一気に飲み干す。


 これをこれから毎日飲むのか…辛いな…

 そう思っていると、周りの皆が急に騒ぎ出したのだ。どうやら僕は、ほんの少し若返ったらしい。確かに体も少し動くようになった気がする。


 そして次は、不潔になる呪いを解く薬を口にする。これもマズイ、マズすぎるぞ…涙目になりながら、何とか飲み切った。でも、なぜか皆が首をかしげている。ハエも飛んだままだし…そう思っていると、ティア嬢が体を綺麗にする魔法をかけてくれたのだ。


 その途端、ハエもどこかに行ってしまった。どうやらずっと風呂に入っていなかったから、呪いが解けても臭いが取れなかったらしい。


「どうやら不潔になる呪いは解けた様ですわね。よかったですわ」


 そう言って嬉しそうに笑うティア嬢。僕もつい頬が緩む。でも次の瞬間


「殿下、よかったですな。今までは本当に臭くてたまらなかったですからな」


 そう言って下品な顔をして笑っているのは、魔術師長だ。こいつ、いくら何でも失礼すぎるだろう!さすがのティア嬢も苦笑いしているではないか!


 さらに今度は兄上が


「本当を言うと、最初はこれっぽっちも期待していなかったんだ。でも今は、君なら全ての呪いを解ける気がするよ」


 何て失礼な事を言ったのだ。その上、ティア嬢の手まで握っているし!ティア嬢に気安く触れるな。そんな思いから、すかさず兄上からティア嬢の手を奪い取り、文句を言った。本当にどいつもこいつも!


 その後もティア嬢が僕の魔力を確認するために僕の手を握っているのを見た魔術師長が、同じように僕の手を握ってきたり、定期的にティア嬢の様子を見に来ると言ったり、本当に腹ただしい限りだった。


 そしてその日の夜、一番上の兄上と母上が、僕の部屋へとやって来た。


「リベリオ、あなた少し若返ったのね。それに臭いも全くしなくなったわ。よかったわね」


 嬉しそうに微笑む母上。


「ええ、ただ、歳を取る呪いは、1ヶ月間薬を飲み続けないといけない様なので、呪いが解けるのはまだ先ですけれど」


「それよりもリベリオ、君の今日の態度は良くないよ。ティア嬢が好きなのは分かるが、あの様に嫉妬心を露わにするなんて」


「あら、そんな事があったの?リベリオが嫉妬するだなんて、それだけティア嬢の事が好きだという事よね。でも彼女、リベリオの呪いを解いたら、王宮魔術師になりたいと言っていたわよね。王宮魔術師はなぜか皆結婚しないのよね…もちろん、結婚をしてはいけないなんて事はないのだけれど…ティア嬢は、リベリオの事をどう思っているのかしら?」


 母上が首をかしげる。ティア嬢が僕をどう思っているか…きっと嫌ってはいないだろう。だからと言って、僕を恋愛対象として見ている訳でもないだろう。


 そもそも今の僕は、醜い姿をしているし…


 ふと鏡に映る自分を見る。やっぱりまだまだ醜いな…


「そんな悲しそうな顔をしないで。少なくとも、ティア嬢はあなたにとても親切にしてくれている様だし、きっと嫌っている訳ではないと思うわ。それに、婚約者もいない様だし。そもそも、結婚に興味がないみたいね。でも大丈夫よ、呪いが解ければ、きっとあなたの美しさにノックアウトされるわ」


 母上がそう慰めてくれる。でも…


 たとえ呪いが解けたとしても、彼女は人を見た目で判断する様な人ではない気がする。現に僕がまだ呪いをかけられる前から、僕に寄り付きもしなかった令嬢だ。きっと僕に興味がなかったのだろう。


 でも僕は…


「母上、たとえ呪いが解けたとしても、ファリスティ伯爵に僕とティア嬢を婚約させろ!と迫るのはやめて下さいね。僕は彼女を無理やり手に入れるつもりはありませんから。だから…」


 呪いのせいで心まで醜く生きる事すら諦めようとしていた僕に手を差し伸べ、生きる希望や人としての温もり、温かさを教えてくれたティア嬢。そんな彼女を、自分の欲望を満たすために、無理やり自分のものにする事だけはしたくない。


 ただ、僕の手で彼女を幸せにしたいという思いもある。醜い顔をして何を考えているのか、そう思われるかもしれない。でも僕は…


「リベリオ、あなたは相変わらず優しいのね。でもきっと、優しいリベリオに戻してくれたのは、ティア嬢なのよね。大丈夫よ、無理やりあなたの元にティア嬢を嫁がせるように、伯爵に迫る事はしないから。でも、リベリオはティア嬢と結婚したいと考えているのでしょう?」


「ええ、もちろんです。ですから彼女に好かれる様な男になれる様に、頑張るつもりです」


 生まれて初めて僕が愛した女性。彼女がずっと笑顔でいてくれたら、僕は嬉しい。そしていつか、未来を共に歩んでいけたら…


 不思議だな、呪いをかけられてから、未来を夢見る事なんてなかったのに。それもこれも、全てティア嬢のお陰だな。


 たとえ全ての呪いが解けなかったとしても、ぼくはティア嬢が傍にいてくれたら、それだけで幸せだ。彼女が王宮魔術師になりたいと願うなら、彼女の夢も叶えてあげたい。だからもし呪いが解けなくても、王宮魔術師になれる様、父上や兄上に頼もう。ただ…あの失礼な男と一緒に働かせるのは不安だな…


 まあ、その点はおいおい考えて行けばいいか。とにかく今はまだ、ティア嬢との時間を大切にしたい。少なくとも呪いが全て解けるまでは、僕の傍にいてくれるのだから。

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