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女嫌い王太子は恋をする。※ただし、そのお相手は乙女ゲームのヒロインではないようです  作者: ごろごろみかん。
二章:恋の自覚

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2回目の魔力譲渡


その後、数時間後。


「おはよう、ユティ。よく眠れた?」


「おかげさまで、あまりよく眠れなかったわ」


……うん、よしよし。

再会した時よりはまだまともに話せているわね。OK。

私が1人頷きながらフェシーを見ると、たった今部屋に入ってきた彼は椅子に座り、私の顔を見るように覗き込んできた。

そして、眉を寄せて尋ねてくる。


「どこか体調悪い?」


………近い!!

近いのだけど!?

思わず肩を手で押してしまう。

なにこれ、このひとってこんなにパーソナルスペースが狭かったかしら!?いや、むしろ距離を取りすぎるくらい取っていたのではなかった!?


「体調ではなくて!……気になりすぎて、眠れないの!」


わざとらしく大声になってしまったが、フェシーはその理由に納得したらしかった。

そのまま体も離してくれたので、ほっとする。

これでまともに話すことが出来るわ……。あの距離で話すのなんて、心臓に悪すぎるもの。


「ああ。……ユティは色々あって疲れたでしょう?だからまずはゆっくり休んでいて欲しいんだけど」


「状況がどうなっているか気になって全く休めません」


「……まあ、そうなるよね。うーん……ユティ、本当に体調は問題ないんだね?」


心配そうに?疑うように聞いてくるフェシーに私は自信満々に頷いて見せた。


「ええ、枯渇しかけていた魔力もばっちり回復しましたわ!ですから、私もお話に混ぜてくださいな。私、結構今回の件の功労者だと思うのですけど──ここにきて輪から外すだなんて有り得ませんわよね?」


「魔力枯渇しかけてたの?」


「え?あ、あぁ……。まあ、フェシーがどこまでご存知なのかは分かりませんけれど、私いくつか魔法を使ったんですの。私は魔力数値こそ平均ですが、出力にムラがある体質でして」


ただ魔力のコントロールがド下手くそというだけのことだが、好きな人の手前、いいように言っておく。


「最大出力で魔力を数回……ぶっぱなしてしまいまして。それで……結構すっからかん?限界?だったようなんですのよ」


自分の魔力値が底をつきそうだと自覚したのは昨日ベッドに入った時である。時間経過とともに多少回復はしたものの、全快には至っていない。せいぜい3割程度回復したくらいだ。今なら魔法のひとつなら打ち出せるだろう、くらいの。


だけど回復したことには間違いないのでそう言うと、フェシーが腰を上げ、退室しようとする素振りを見せた。ので、思わず服の裾を掴む。


「どこ行くんですか?」


「医師に診てもらう。他人の魔力残数は診える人間が限られる」


確かに城に務める医師なら魔力残数も見れるだろうけど……。残り3割という心もとない数字を暴露されるのは遠慮したかった。

それに、状況がどうなっているのか気になりすぎる。


「平気よ。元気だもの」


「以前、罹った魔力脱汗症を覚えていないのか?いまきみが風邪でも引いたら間違いなく重症化するぞ」


「でも魔力は時間経過ですぐに回復するし。数時間後に発熱とかしなければ問題ないわ。別に風邪気味というわけでもないのだから、わざわざ診てもらうほどじゃないわよ」


「………先生を呼んでくる」


「いらないったら」


「いいからきみは大人しくしてなさい!」


完全に駄々を捏ねた幼子に言うような言い方をされ、少しムッとする。

本当にいいのに。それは杞憂というものだ。

私の気を損ねたことに気がついたのか、フェシーはなんだか情けない顔で私を見た。そして、ため息をつく。


「……ただ、純粋にきみが心配なんだよ。医師に診てもらってほしい」


「……それは、あなたのワガママ?」


「そう、ワガママ」


どこか諦めたようにフェシーが言う。

私はそんな彼をまじまじ見ながら、何となく、どうしてかその言葉が滑り落ちてしまった。


「先生を呼ばずとも……魔力譲渡、すれば良くない?」

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