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助手席  作者: 狸
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猫なで声

そう言うと杉本さんはスタスタと受付へ向かった。


「橋元さんの模擬試験を予約できますか?」


柔らかい声でそう言うと

受付にいた女性は


「杉本さんじゃないですかぁ〜。杉本さんのお願いなら仕方ないですね〜。」


そう猫なで声のような甘ったるい声で言った。


今まで受付の女性にあれこれ聞いたりしたことはあったが、あのはじめに入所するかどうかで質問責めにした彼女以外は皆不機嫌そうな態度だった。

それが彼を前にするとこうも態度が変わるものなのだなと心の中でそう思った。


「いつの予約にするんですかぁ〜?」


「今からで。」


「はぁ~い。」


「ありがとう。じゃあ。」


「頑張ってくださぁ〜い。」


杉本さんは振り返り


「じゃあ行ってらっしゃい。」


と何もなかったように言った。


こういうの慣れてるんだろうな。

ここにいる教官の中でも多分かっこいい方に入ってるだろうし。

なんとも言えない感情が私の心の中に


ぼとっ


と落ちてきた。


はいはい。言われた通り受けてきますよーだ。

どうせ落ちるけど。仕方ないよねなんの復習もできなかったんだから。

落ちてもあいつのせいだ。


そう保険をはりつつ残されたわずかな時間の中で教科書をパラパラと流し読みした。

気休め程度の復習だった。

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