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助手席  作者: 狸
33/64

最近

スマホのロックを解除して映った画面に一瞬思考が止まった。

そこには忘れたくても消し去りたくても忘れられなかった男からのメッセージだった。


:あ。


たったそのひと言は彼が私をブロックしていなかったことを教えてくれた。

意味のないひと言に意味を見出そうとしてしまうのは彼の存在がいかに私の中で大きかったのかを改めて感じさせた。


今まで必死に忘れようと次の人を探しても彼の影がちらつき恋もろくにできなかった私が

久しぶりに恋に落ちそうだとい時に

彼がこちらに手を伸ばしたようなそんな感覚だった。


既読をつけてしまった以上返信した方が良いのかと悩んでいるとすぐに


:ごめん間違えた。


と付け足された。

そこで無視をできなかった私は


:いえ大丈夫ですよ


とだけ返し会話が終わるかと思っていると


:元気?最近


:桜田さんはどうですか?


:普通かな


:そうなんですね


そう返したところで既読がついたまま返事は返ってこなかった。


なんで今になって彼からメッセージが届くのだろう。よりによってこんな時に。

私は何かを振り切る思いで彼のトーク履歴を消した。


この日を境に私はまるで彼を忘れるために杉本さんに好意を向けるようになった。

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