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「どのような立場で彼と会えばよろしいのでしょう?」
電話の向こうが静まり返った。切れたのではない。彼女がその問いを咀嚼しているのだ。
「……どういう意味?」結衣の声がわずかに張っていた。
「言葉通りの意味です」私は屋上庭園の欄干にもたれかかった。日差しが川面を金色に染め上げている。「私に同行してほしいと。それは、婚約者の立場で威圧しにいくという意味ですか? それとも、仕事の相手として体裁を取り繕うという意味ですか? それとも——」
私は一拍、わざと間を置いた。
「あなたが、誰でもいいから、ただ一緒にいてほしいというだけの話ですか?」
「誰でもいいわけがない」彼女はあまりにも早く答えた。
再び沈黙が訪れる。私は今の彼女の姿がありありと想像できた——社長室の革張りの回転椅子に腰かけ、指で無意識に指輪をくるくる回しながら、眉間には解くことのできない皺を寄せている。
「あなたは私の婚約者よ」ようやく彼女が口を開いた。声はかすかで、まるで自分自身に言い聞かせているかのようだった。「それは変わらない」
「では、なぜ私に同行してほしいのです?」私は畳みかけた。容赦なく。「あなたは佐々木結衣です。一人で彼に会ったところで、何かされるわけでもないでしょうに」
「私……」彼女は言葉に詰まった。
屋上庭園の下で、遊覧船の汽笛が鳴った。川風が私の白い胸元をはためかせる。
「結衣」私は彼女の名を呼んだ。声は少し柔らげたが、問いの鋭さはそのままに。「何が怖いのです? 一人で彼に会えば、心が揺らぐのが怖い? それとも、私に誤解されるのが怖い?」
電話の向こうで、椅子の回る音がした——彼女が立ち上がったのだ。
「佐藤があなたに会いたいと言っているのを知っているわ。二人で会ったら、言い争いになるんじゃないかと思って」彼女の言い訳は、いかにも苦し紛れだった。「佐藤って人が……物言いが率直だから」
「では、あなたが立ち会えば、収められると?」私は笑った。「それとも、あなたがそこにいれば、彼も言葉を控えると?」
「小林」彼女の声が突然、確かさを帯びた。ようやく拠り所を見つけたかのように。「あなたは私の婚約者よ。そのことは江城中の人が知っている。あなたに一緒に来てほしいのは、彼にはっきりと分からせたいから——これが私の選んだ道だと」
私の婚約者。
私の選んだ道。
この二つの言葉が彼女の口から紡がれた時、私が思っていたよりもずっと重く胸に響いた。
「わかりました」私はうなずいた。彼女には見えないけれど。「何時ですか? どこで?」
「午後四時、会社の下の喫茶店で」彼女は安堵の息をついた。「小林、ありがとう」
「礼には及びません」私は少し間を置いた。「結衣、あなたが今言った言葉——私の婚約者、あなたの選んだ道——彼に会った時、その言葉を彼の前でも言えますか?」
今度は彼女に迷いはなかった。
「言えるわ」
通話を切った後、私は屋上庭園に長く立っていた。
風が強い。川面を何艘かの貨物船がゆっくりと進んでいる。この街が足元に広がり、びっしりと建ち並ぶ建物は碁盤の目のようだ。そして私と佐々木の家は、その碁盤の上で最も大きな幾つかの石だ。
携帯電話が震えた。佐藤からのあの報せがまだ残っている。昨夜のものだ。
今となっては、返す必要もない。
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午後三時五十五分、私はその喫茶店の扉を開けた。
結衣はすでにそこにいた。薄鼠色の背広姿で、化粧はいつもより薄く、長い髪を肩に下ろしている——その装いが彼女を幾つか若く見せていた。彼女の向かいには男が座っていた。背を向けているので顔は見えない。
足音を聞いて、その男が振り返った。
佐藤一郎。
写真で見るよりも痩せていた。頬骨が目立ち、洗いざらしで色あせた白い上衣は、袖の留め釦が一つ欠けている。だが、その目だけは確かに異質だった。この街に住む者にはない澄んだ光をたたえ、まるでまだ何ものにも汚されていない場所からやって来たかのようだった。
彼は私を見て立ち上がった。
「小林様」彼は手を差し出した。掌はざらつき、指の節にはうすい胼胝がある。「私、佐藤と申します」
握手の時、彼は力を込めもせず、緩めもせず。ちょうど良い加減の、卑下もせず傲慢もせぬ態度だった。
結衣は二人を見つめ、指を膝の上で組み合わせていた。
「お掛けください」私は佐藤に椅子を勧め、自らは結衣の隣の席を引き寄せて、ごく自然に腰を下ろした。腕を彼女の背後の背もたれに掛けた瞬間、彼女の身体が微かに強張ったが、逃げたりはしなかった。
佐藤の視線が、その動作に一瞬留まった。
「佐藤様」私が先に口を開いた。その口調はまるで商談のようだった。「お目にかかりたいとのことですが、どのようなお話で?」
彼は結衣をひと目見た。彼女はうつむき、珈琲の器を見つめていた。
「お聞きしたいのです」佐藤の声は穏やかだった。「結衣さんに対して、あなたは本心からお気持ちをお持ちなのでしょうか」
結衣がはっと顔を上げた。
この問いはあまりに率直すぎた。落ちぶれた身の者が、由緒ある家の跡取りに向かって投げかける言葉とは思えなかった。
「佐藤!」彼女が遮った。その声には慌てた色があった。
私は笑った。
「その問いについては」私は彼女に目をやり、それから佐藤へと視線を移した。「彼女にお聞きになるのがよろしいかと」
佐藤の表情は変わらなかったが、その目が結衣の顔を捉えた。
空気が数瞬、凍りついた。
「私……」結衣が口を開きかけて、指をさらに強く組み合わせた。「私たちの婚約は、二つの家の——」
「婚約のことを聞いているのではありません」佐藤が遮った。その声に初めて、かすかな動揺が走った。「お聞きしているのは、あなたの心です。あなたが、そうしたいのかどうか」
この言葉はまるで石を池に投げ入れたようだった。波紋が一圈、また一圈と広がっていく。
結衣の目の縁が赤らんだ。
彼女は佐藤を見、そして私を見た。唇が微かに震えている。
「私……」その声はかすかで、聞き取れないほどだった。「約束したことは……違えたりはしない」
それは答えではなかった。
佐藤にも、明らかにそう聞こえた。彼の目が一瞬陰り、すぐにまた凪いだ。
「わかりました」彼はうなずき、立ち上がった。「小林様、お時間をいただき、失礼いたします」
「お待ちください」私は彼を呼び止めた。「佐藤様、今お仕事をお探しと伺いましたが」
彼は振り返った。
「噂に聞きましたので」私はポケットから名刺を取り出し、机の上に置いた。「佐々木会社の警備部門で、管理者を探しております。条件は悪くないかと」
結衣がその名刺を見て、瞳をわずかに縮めた。
佐藤はうつむいてそれを見たが、手には取らなかった。
「小林様、私、施しはご遠慮いたします」
「施しではございません」私は背もたれに寄りかかった。「あなたの経歴は拝見しました。退役した偵察兵だと。力量は十分です。佐々木の家には、信頼のおける者が必要です。もしこれを施しとお感じになるなら、お受けにならなければよろしい」
佐藤は長い沈黙の後だった。
「佐藤……」結衣の声がかすかに響く。「あなた……」
「考えてみます」彼は最終的にそう言い、名刺は手に取らずに、背を向けて去っていった。
扉が閉まった後、結衣の肩が力なく落ちた。彼女は机に伏せ、両手で顔を覆った。その肩が、かすかに震えている。




