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おじい様が場所を教えてくれた。沖縄、陵水。私が一度も聞いたことのない場所だった。私は秘書に一番早い便を予約させ、誰にも告げなかった。結衣も知らない、葵も知らない、吉田も知らない、伊藤も知らない。ただ佐藤だけが一通の報せを送ってきた。「彼女に会いに行くのか?」私は「うん」と返した。彼はそれ以上尋ねなかった。
飛行機が着陸した時、沖縄の日差しは目を開けていられないほどだった。陵水は沖縄の東海岸にあり、東京のような喧騒はない。海は灰青色で、風が強い。私は車を借り、海岸線に沿って四十分走った。案内表示は「清水湾」という場所を示していた。団地でもなく、宿泊施設でもなく、椰子林の後ろに建つ二階建ての小さな家だった。白い壁、青い窓、庭には鳳凰木があり、花が真っ赤に咲いている。
車を道端に停め、私は運転席に座ったまま長く見つめた。家は静かで、覆いは閉ざされ、庭には籐椅子が一脚、空っぽだった。車を降り、鉄の扉を押し開けると、足音が石畳に響く。入り口まで行くと、扉が開いた。一人の女が扉の中に立っていた。白い綿麻の連衣裙を着て、髪は白く混じり、きちんと整えられている。彼女は痩せていた。痩せて頬骨が突き出ていたが、目はとても澄んでいた。沖縄の日差しのように。
「どなたをお探しですか?」彼女の声はかすかで、風が椰子の葉を揺らすようだった。
「あなたです。松本さん、私、小林と申します」
彼女は長いこと私を見つめた。「佐々木の方ですか?」
「いいえ。佐々木の婿です」
彼女は笑った。その笑みはごく淡く、水面に広がる波紋のようだった。「お上がりなさい」
私は彼女の後について中へ入った。居間は広くなく、きちんと片付けられていた。長椅子一脚、映画箱一つ、本棚一つ。本棚には何冊かの写真帖が並び、一鉢の緑の蔓があった。葉は生き生きと輝いている。彼女は長椅子に腰を下ろし、向かいの椅子を指さした。
「座って。お茶になさいますか?それともお水?」
「水で結構です」
彼女は私に水を注ぎ、自分も一杯注いだ。杯を手に持ち、窓の外を見つめた。庭の鳳凰木の花びらが何枚か落ち、鮮やかな赤が血のようだった。
「おじい様、先日来られたのよ」彼女は言った。「ご存じ?」
「存じています」
「彼は私のことをお話しになりましたか?」
「少しだけ。多くはありませんでした」
彼女はうなずいた。「彼は多くは話さないでしょう。多く話せば、誰にとっても良くないから」彼女は水を一口含んだ。「あなたはあの三件の帳簿のために来られたの?」
私は彼女を見た。この女は何でも知っている。
「そうです。でもそれだけでもありません」
「では、何のために?」
「あなたに会いたかった。あなたが一体どんな方なのか、知りたかった」
彼女は一瞬呆けた。そして笑った。今度は本当に笑った。目が三日月のように細くなった。「私? 私は何者でもないわ。ただ死を待つ老婆よ」
「どれだけお待ちですか?」
「四十年」
この三文字はとても軽く言われた。まるで自分とは無関係なことを話しているかのようだった。私は彼女を見た。彼女は窓の外を見ていた。鳳凰木の花びらがまた何枚か落ちた。
「松本さん、一つお尋ねしてもよろしいですか?」
「どうぞ」
「なぜ身分をお求めにならないのですか? 株も、何も?」
彼女は長く沈黙した。もう答えないかと思われた。そして彼女は杯を置き、長椅子の背もたれに寄りかかった。
「私が欲しいのはそれらではないからよ」彼女は言った。「私が欲しいのは、彼に覚えていてほしいということ。私という人間を、私と共に過ごした日々を。身分も、株も、金も——それらは彼が他の人に与えたものだ。取り戻すこともできる。しかし彼が覚えていることは、取り戻せない」
「彼が忘れるのを恐れませんか?」
「彼は忘れないわ」彼女は笑った。その笑みはとても苦かった。「彼が私に負っている借りは、佐藤の祖父への借りよりも大きい。佐藤の祖父は彼に五百万を貸した。彼は三十年かけて返した。私は彼に四十年を与えた。彼は返せない。だから彼は毎年会いに来て、毎年金を送り、毎年私の前に座って、何も言わず、ただ座っている。彼は借りを返しているの。でも彼は知っている。この借りは返しきれない」
私はその場に座り、この言葉を頭の中で何度も繰り返した。身分も、株も、何も求めない。ただ彼に覚えていてほしいだけ。この女は四十年という時間を一人の男の記憶と引き換えた。それだけの価値があったのか? 私には分からない。しかし私は突然一つのことを理解した——おじい様が言った「清らかになれるその日まで生き延びる」というのは、佐々木の会社があの関係を必要としなくなる日を待っているのではない。彼女が死ぬのを待っているのだ。彼女が死ねば、この借りはようやく清算される。
「松本さん」私は口を開いた。「おじい様は、あの三件の帳簿は動かせないとおっしゃいました。動かせば、佐々木の会社は終わると」
彼女は私を見た。「彼の言う通りよ。動かせない。あの金は、一部は私に、一部は彼を助けた者たちに行った。動かせば、あの者たちは去る。佐々木の会社は江城で立ち行かなくなる」
「不公平だとは思いませんか?」
「不公平?」彼女は笑った。「小林、不公平って何だと思う? 私が彼と一緒にいた時、彼は何も持っていなかった。その後、彼は佐々木の会社を手に入れ、家庭を築き、子を儲けた。私は何も求めなかった。欲しくなかったからではない。欲しければ、彼は彼でなくなることを知っていたからだ。彼はああいう人なの——人に借りを作ったら、必ず返さねば気が済まない。私が求めてしまえば、彼は私に与えねばならない。与えれば、彼は他の人に借りを作ることになる。私は彼に他の人に借りを作ってほしくなかった」
私は彼女を見た。四十年待ち続けた女が、沖縄の海辺で、小さな家と一株の鳳凰木を守っている。身分も、株も、何も求めない。ただ彼に覚えていてほしいだけだ。
「松本さん、佐藤の祖父のことをどれだけご存じですか?」
彼女はしばらく沈黙した。「彼の祖父は良い人だった。私が危なかったあの時、医者を探し、手を尽くし、私のことを隠し通してくれたのは彼なの。おじい様が彼に負っているのは命の借りよ」
「その命というのは、あなたの命ですか?」
彼女はうなずいた。「私はおじい様の子を孕んだことがあるの。無事に生まれなかった。私は死にかけた。佐藤の祖父が私を救った。おじい様が彼に負っているのは、金ではない。私なの」
私はこれらの言葉を佐藤の手紙の内容と重ね合わせた。佐藤の祖父はおじい様の松本美月の一件を処理し、彼女の命を救い、このことを隠し通した。おじい様が彼に負っている借りは二つ——一つは金の、一つは人の。佐藤の祖父は彼に返済を求めず、佐々木の家に覚えていてほしいと願った。佐々木の家が覚えているということは、佐藤がそこにいるということだ。
「松本さん」私は立ち上がった。「ありがとうございました」
「礼には及ばないわ」彼女も立ち上がった。「小林、一つ伝えたいことがあるの」
「何ですか?」
「おじい様が私に伝えてほしいと言ったの。あの三件の帳簿は、あなたが動かせると思った時に動かしなさいと。彼が口を開くのを待たなくていいって」
私は呆然とした。「いつおっしゃったのですか?」
「彼が来た日に。彼は言った。『もし小林があなたを訪ねて来たら、あの三件の帳簿は、彼が動かせると思った時に動かせと伝えてくれ。私が口を開くのを待たなくていい』」
私は居間に立ち、窓の外の鳳凰木を見つめた。おじい様が沖縄で過ごしたあの一週間は、別れではなかった。後事を託すためのものだった。彼は最後の言葉を松本美月に預け、私が来た時に伝えさせた。彼は私が来ることを計算していたのだ。
「なぜ電話で伝えさせなかったのですか?」
「電話は安全ではないからよ。それに——彼は私にあなたに会ってほしかったの」彼女は私を見た。「彼は言っていた。『小林という男は、私よりも落ち着いている。佐々木の会社は彼に任せれば安心だ』と」
私はそこに立ち、何と言葉を発すればいいのか分からなかった。「彼に任せる」。結衣ではない、佐藤ではない、吉田ではない、伊藤ではない。私だ。
「松本さん」私は口を開いた。「私は佐々木の会社を受け継ぎません。それは私のものではありませんから」
彼女は笑った。「彼も同じことを言っていたわ。『小林は受け継がないだろう。しかし彼は結衣が受け継ぐのを助ける』と」
私は小さな家を出て、庭に立った。鳳凰木の花びらが肩に落ちる。鮮やかな赤が血のようだった。私は振り返って見た。彼女は入り口に立ち、白い連衣裙を着て、髪は白く混じり、痩せて風が吹けば飛ばされてしまいそうだった。
「松本さん」私は言った。「どうぞお元気で」
彼女は笑った。その笑みはごくかすかで、風のようだった。私は車に乗り込み、機関を始動させた。後ろ写し鏡に、彼女が入り口に立っている。どんどん小さくなり、どんどん遠くなっていく。最後には白い点となり、椰子林の向こうに消えた。
飛行機が着陸した時、空はもう暗くなっていた。私は携帯の電源を入れ、何十もの報せが押し寄せた。結衣から、葵から、吉田から、伊藤から、井上から。私は見なかった。ただ佐藤にだけ一通送った。「会ってきた。彼女は元気そうだ」
彼は「うん」と返した。
私は空港を出て、車に乗り込んだ。機関を始動させた時、携帯が鳴った。佐々木結衣。
「彼女に会いに行ったの?」
「うん」
「彼女は何て?」
「おじい様が彼女に伝えてほしいと言っていた。あの三件の帳簿は、私が動かせると思った時に動かせと。彼が口を開くのを待たなくていいって」
電話の向こうは長く沈黙した。そしてかすかな嗚咽が聞こえた。
「結衣?」
「いるわ」彼女の声は嗄れていた。「小林、彼は後事を託しているの?」
私は答えなかった。どう答えてよいのか分からなかった。
「彼は言っていたの」彼女の声はかすかだった。「松本美月がいなくなったら、彼は退くって。彼が退けば、佐々木の会社は私のものになる。でも彼はあなたのことは言わなかった」
「彼は言った。私があなたを助けると」
彼女は沈黙した。長く。もう切れたかと思われた。
「小林」ようやく彼女が口を開いた。「あなたは、それでいいの?」
私は携帯を握りしめ、窓の外の夜色を見つめた。「いい」
私は嘘をつくかもしれない。
彼女は何も言わなかった。しかし私は聞こえた。彼女は泣いている。とてもかすかに、風が椰子の葉を揺らすように。




