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私は報告書に文字を書き記し、池田先生はそれを収めた。会議室には紙をめくる音と鍵盤を叩く音だけが残った。私は振り返って執務室に戻り、処理できることから手をつけ始めた。
第一、予算の過大計上。加藤のあの件、三年前の浜川の事業で過剰に計上された十五%だ。私は元の契約書と精算書を調べ、予算部に再計算させた。再計算された数字は当初より八百万少なかった。私は筆を手に取り、認可書に署名した。「再計算された額で入帳せよ。余剰分は事業の資金の入れ物に戻せ」山本が脇に立ち、私が署名するのを見ていた。彼は躊躇いながら言った。「副社長、この金を資金の入れ物に戻せば、吉田副社長の方は……」「吉田副社長は来週退職される。彼の事業は、今は私が管轄している」彼はうなずき、書類を持って去っていった。
第二、検収記録の不備。あの技術者が提出した手抜き工事の記録を、私は施工記録と監理報告書と照らし合わせたところ、三か所の隠れた工事の検収が行われていないことが分かった。私は施工業者に電話をかけた。「石井さん、浜川の事業の三か所の隠れた工事、検収記録がありません。追加するか、解体してやり直すか。どちらかを選んでください」電話の向こうは長く沈黙した。「副社長、追加すればよろしいのでしょうか?」「追加するなら、第三者機関の検査報告書を提出してもらう。費用はそちらで負担しろ」彼は承諾した。あの隠れた工事のほとんどに問題はないだろうと私も思う。しかし手続きが不備であれば、それが問題だ。手続きを補えば、問題は解決する。
第三、追加条項の問題。この三千万の条項は、私が署名すれば済むものではない。契約の相手方は吉田の甥であり、金は吉田の息子の口座に入った。私はこの条項を別に取り出し、引き出しにしまった。今は動かない。しかし見ないわけにはいかない。井上から渡された資料を開くと、その中に資金の流れ図があった。佐々木の会社の口座から空の会社へ、そして吉田の息子の米国での口座へ——その一つ一つがはっきりと記されている。井上は二年間調べ、私が思っていたよりも細かく調べ上げていた。私はこの資料も引き出しにしまい、吉田が差し出した差し込み記録盤と一緒に置いた。
午後三時、池田先生が修正された報告書を持って私のところに来た。「副社長、小さな問題は全て処理いたしました。予算は再計算し、検収記録は追加し、契約の不備は修正しました。帳簿上は90%清らかになりました」彼は報告書を机の上に置いた。「残りの三件は、いつお処理なさるおつもりですか?」
「待ちます」
彼は私を一目見て、追及しなかった。「では、まず初稿をまとめます。あの三件は別に付録とし、本文には入れません」
「お願いします」
彼は去った。私は報告書を手に取り、一通り目を通した。九十个の問題、八十七個を処理した。残りの三つは、三本の釘のように帳簿の最も深いところに打ち込まれている。伊藤の二百万、吉田の二億、そして三千万の追加条項。三件の帳簿、三人の者、一つの鎖。私は報告書を閉じ、机の隅に置いた。
携帯が震えた。葵からの報せだった。「今日、いろいろ処理したそうね。おじい様があなたのことを尋ねてきたわ」
「何を?」
「何を動かしたのか、と」
「予算、検収、契約。三件の大きなものは動かしていません」
彼女は「うん」と返した。そして声の記録が届いた。私が開くと、彼女の声は潜められており、人を避けているようだった。「彼はそれを聞いて、笑ったわ」
笑った。この笑いが何を意味するのか、私には分からない。しかし私には分かっている。彼は待っている。私が処理できるものを処理し終えるのを。私が彼に、あの三件をどうすればいいのか尋ねるのを。私は立ち上がり、窓の前に歩いた。おじい様の執務室、灯りはきっとまだついている。彼はそこにいる。私が就任してから今まで、彼は毎日そこにいる。何も言わず、電話もせず、私を訪ねもしない。ただそこにいて、私を待っている。
携帯がまた震えた。今度は佐藤からの報せだった。「小林様、監査の件、伺いました。あなたは上手くおやりになっていると」
私はこの報せを見つめ、一瞬呆けた。彼は警備部門にいるのに、情報が早い。「どうして知っているんだ?」「会社中で噂になっています。あなたが旧市街再開発の事業の帳簿の九十%を処理し、残りの三件の大きなものは手をつけなかったと。ある者はあなたが手をつけられないのだと言い、ある者はあなたが待っているのだと言う」
「お前はどう思う?」
彼はしばらく沈黙した。「あなたはおじい様がおっしゃるのを待っている」
私は画面を見つめ、返さなかった。彼の言う通りだ。私はおじい様が口を開くのを待っている。しかし私が待っているのはそれだけではない——おじい様に私が処理できるものを処理し終えたことを知らせることも待っている。残りのものは、私が処理できないからではない。私が処理すべきものではないのだ。それは彼のものだ。私には彼が折れる必要がある。
夕暮れ、執務室を離れる時、廊下で井上とすれ違った。彼は手に珈琲の杯を持ち、昇降口の前に立っていた。
「副社長、今日はご苦労様でした」
「いや。やるべきことをしたまでです」
昇降機が来た。彼は中へ入り、私も後に続いた。扉が閉まり、二人だけになった。
「あの三件の帳簿」彼は昇降機の表示板を見つめながら言った。「いつまでお待ちになるおつもりだ?」
「彼がおっしゃるまで」
「もし彼がいつまでもおっしゃらなければ?」
私は昇降機の鏡に映る自分の顔を見つめた。「ならば動かない」
彼は振り返って私を見た。「動かない? あの三件の帳簿はいつまでも宙に浮いたままか?」
「宙に浮いたままの方が、動かすよりはましだ。動かせば、古いことを掘り返すことになる。動かさなければ、余地を残すことになる」
彼はしばらく沈黙した。昇降機が一階に着き、扉が開いた。彼は外へ歩き出し、振り返った。「あなたは私が思っていたよりも落ち着いている」彼は去った。私は昇降機の中に立ち、扉がゆっくりと閉まるのを見つめた。
部屋に戻り、風呂に入り、長椅子に座って今日の書き留めを読み返した。八十七個の問題、処理した。三つの問題、残した。私は手帳に三つの数字を書き記した——二百万、二億、三千万。そしてこの三つの数字の下に横線を引き、一行書き添えた。彼は何を待っているのか?
携帯が光った。結衣からの報せだった。「おじい様、今日私に一言おっしゃったの」
「何と?」
「小林は彼が思っていたよりも落ち着いている、と。動かすべきものは動かし、動かすべきでないものは動かさなかった」
私は携帯を握りしめ、返さなかった。彼は私を評価している。まるで部下を、弟子を、駒を評価するように。落ち着いている、とは私が冒険せず、越えてはならぬ線を越えず、触れるべきでないものに触れなかったということだ。しかし彼は私のやり方が良いとは言わなかった。正しいとは言わなかった。続けよとも言わなかった。ただ——落ち着いている、と。これは老人が若者に下す評価だ。褒め言葉ではない。観察だ。
「結衣」私は一行打ち込んだ。「彼はいつ口を開かれるだろう?」
彼女は長く返事をしなかった。そして一行の文字だった。「あなたが待たなくなった時よ」
私はこの報せを見つめ、携帯を置いた。私が待たなくなった時。つまり、私が彼を待つのをやめた時、彼は口を開く。私自身であの三件の帳簿をどうするか決めた時、彼は私に、私の決断が正しかったかどうかを教える。これが彼のやり方だ。私に進ませ、私に選ばせ、私に間違いを犯させ、そして私が間違いを犯した時に教える——お前は間違っている、と。しかし私は間違いを犯さなかった。八十七個の問題をきれいに処理し、三つの問題を絶妙に残した。彼に口を開く機会はなかった。
私は立ち上がり、窓の前に歩いた。川の向こうの佐々木の建物の灯りが一つ、また一つと消えていく。十八階、私の執務室は暗い。二十階、伊藤の執務室は暗い。二十三階、井上の執務室は暗い。最上階、おじい様の執務室——まだ灯りがついている。彼はまだつけている。




