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尖塔

 ソノマに確認した所、王族は今城にいる7人、つまり王と王妃、側妃が2名、いずれもまだ幼い皇子が2人と王女が1名だけだそうだ。

 他にも外国へ嫁に行った王の姉や妹がいるらしいが、勇者の体を乗っ取る秘術はこの城の中で生まれた男子にしかできないらしい。

 それも母親が王族ではなく、父親が王族の場合のみなのだそうだ。

 どういう理屈でそうなるのかは分からないが、染色体のXとかYが関係しているのかな?

 ソノマが言うには王城の中に王族男子にのみ秘術を与える機械か施設があるのではないかと言われているらしい。

 母体が王族の血を持っている場合はその装置なりなんなりを使っても意味が無いのではないかとのこと。

 つまり母体は王族の血が入っておらず、子供には王族の血が入っており、その上で子供が男児ならその装置なりなんなりを使えるのではと理解した。

 これらの情報はリーブンの家で何度か聞いた事があり、この国の貴族の間では常識として持っているべき知識だとソノマが言っていた。

 だから、嫁に行った者までは考えなくて良いそうだ。

 しかも現在、他国へ嫁いでいるのは現王の大叔母一人で、子供に男子はいないそうだ。


 ただ、王がお手付きにした女性が男子を密かに産んでいれば王族の血を継ぐ男子が存在する事になるが、それは公にされていないので分からないそうだ。

 ソノマが思うに、秘術を持つ王族の子を城のどこで産めば良いか、装置があるならそれがどこにあるかなどは代々の王族とその出産を手伝うメイドや医者しか知らないはずで、主な王族が亡くなった後で庶子の手にその情報が届くかどうかは頗る怪しいとのこと。

 何れにしても、ソノマの様な庶民は、詳細な情報を手に入れる手段がない。

 伯爵家の中でのやり取りが偶然耳に入った時の情報を纏めているだけに過ぎないのだ。


 兎に角、今城に居る7人を()()ばいいんだよな。

 女には秘術は出来ないし、今後王族男子がいなければ条件を満たした子を産めるわけではないから普通なら王妃や側妃は対象外だが、今、本人に自覚がないまま妊娠しているケースもあるから殺らせてもらうぞ。


 城の中へ潜り込むのはかぎ爪付きロープがあれば勇者スペックなら大丈夫だろう。

 ただ城の中の見取り図が無い。

 大広間へ行くだけで迷子になりそうなくらい廊下をくねくねと曲がった記憶がある。

 どうしたものか・・・・。


 ソノマが言うには夜王家の者たちが寝るのは、城の中でも居住区ではないかとのこと。

 ただその居住区がどの辺りなのかは知らないんだとか。

 そりゃそうだよな。

 でも、城の奥の方にある事は間違いないだろう。

 塀や壁を上り、尖塔に登り詰めれば、城の全容が見えると思う。

「まずは夜中に一度尖塔まで登り、簡単な見取り図を描いて、何とか戻り、次の夜にでも襲うか?」という案を言ってみたら、井ノ川が「それなら前の日の日が上る直前に入り込み尖塔に登り、見取り図を頭の中に入れるなり、メモするなりして、そのまま夜を待ちやっちゃう方が出たり入ったりするより簡単だ」と言い出した。

 それもそうなので、尖塔の色に似た服と、暗闇でも目立たない服、そして俺たちの食事を購入して、翌日の夜遅くに忍び込んだ。


 薄っすらと空が明るんでくる頃、上から見ると一目瞭然で奥の方に城の他に立派な建物がある事が見て取れた。

 そしてその建物の横には少し小さ目の建物があったので、あそこが使用人たちが生活する棟なのか、或いは王の妾たちの住み家なのかもしれない。

 表側の城は黒っぽい石で作られているのに、王の居住区域とみられる2つの建物は白い石で出来ている。

 居住区の建物はどちらも平屋だった。

 殲滅の勢いでやるしなかないな。

 二つの建物に分かれ、取りこぼしの無い様に中心に向かって殲滅、出会った所で終わり、念のために持って来ていた毒を井戸の中に投げ入れる所までを目標とした。


 それじゃあ夜まで待つかと俺たち二人は灰色の服に着替え、頭には灰色の布をターバンの様に巻き、尖塔の灰色の屋根に寝そべったのだが、まだ朝日が昇り切らない内に井ノ川が起き上がってとんでもない事を提案して来た。

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