表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/73

逃げ方

 地上に出てすぐ、俺たちは二手に分かれる事にした。

 俺と辰徳が一緒というのは直ぐに決まった。

 元々の世界で友達同士だからいつも俺と辰徳は二人でセットになりやすい。

 となると高橋や井ノ川、斎藤の三人でもう1グループになる。

 そこに高橋が俺たちと来たがったが、井ノ川が異議を唱えた。


 要するに斎藤と一緒は嫌だということなんだと思う。

 思うに、そこは口に出して言えないので井ノ川も「魔法を使える者がそっちしかいないっていうのはダメだ。二手に分かれるのなら、どっちにも魔法が使えるヤツを配置するか、そもそも分かれずに全員一緒に逃げるかだ」と言う言い方になったのだろう。


 二手に分かれるというのは、追っ手を撒くには二手に分かれた方が良いという案が辰徳から出されたからだが、最終的には同じ場所に集まろうとしているので、最終目的地は同じなのだ。


 最終目的地は、このザイディール国がある大陸の果て、港町があるポルジャ王国だ。

 こうなる前から5人で何かあったら別大陸へ行こうと話し合ってたので、行先に関して意見の相違は発生しないのがありがたい。


 大陸を変えるためには海を渡る必要があり、船便が出ているポルジャ王国から船に集合したいのだ。

 これから半月経ってもポルジャで合流できなければ、夫々が船に乗って別大陸のガルゾ国へ行く事にしている。

 ガルゾ国は黒目黒髪の人が多いそうだ。

 そうすれば一々髪を染めなくても紛れる事が出来る。

 

 山口がザイディール国に戻るかどうかは、はっきり言って分からない。

 どちらの可能性もあると思う。

 戻るのなら、俺たちが二手に分かれなくても良いが、そうでなければ俺たちを追ってくる可能性もある。

 こっちが二手に分かれれば、どっちを追えば良いかで迷うだろう。

 それを狙っての2人と3人という組み分けだ。


「俺は辰徳が言った様に、二手に分かれた方が安全だと思う」

「しかし、5人揃っていた方が何かが起こった時に対処できるぞ」と高橋は少し必死だ。

 みんな斎藤が考え無しの所があり、しゃべってはいけない時にしゃべり、やってはいけない時にやってしまう事を知っているので、ヤツと一緒に少人数で逃げる事のリスクを考えてしまうのだ。

 それなのに、斎藤は「俺様の知恵がお前らを生かしているだぞ」とか、平気で言っちゃうヤツなんだよな。


 この前も女の子を口説きたいがために「俺は異世界から召喚された勇者だ」とか宣った。

 何を考えているんだか・・・・。

 それをみんなに責められると、「別の国なんだし、向こうも冗談だとしか思わないよ」とか、ツルンとしているのだ。

 自分の発言や行動が仲間全員を危険に晒す可能性に思い至らない所が怖いんだ。


 そんな斎藤を押し付けた事で高橋たちの身に何かあっても寝覚めが悪い。

 結局5人一緒に移動することにした。

 最初は定期便の乗合馬車で適当に移動する事にした。

 足跡が残らない様にだ。


 何とかネグラにしていた安宿を引き払い、全ての荷物を持って馬車に乗り込んだ。

 今はただただ山口がダンジョンの中でも獲物にやられる事なく、一晩生き延びてくれと必死に願う事しかできない。

 後、5時間もしたら魔法で作った枷は外れるだろうから・・・・。


 そんな時、斎藤が爆弾発言をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ