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ソノマ

「山田様、あの・・・・」

 今夜のお相手はモーリス家のメイドの一人だ。

 金髪のソバカスがいっぱいある決して美人の部類に入る女性ではないが、勇者の子供が欲しいと主人であるパリスに申請したメイドの一人で、ソノマという女の子だ。


 マリアンヌが妊娠した事で、モーリス家所縁の女性にたくさん子供を産ませ様としているらしく、俺の子供を身ごもったらメイドではなく、パリスの妾として召し抱えられるそうだ。

 最初、パリスはマリアンヌの妹のデートリアンヌも俺に宛がう心算だったらしいが、まだ子供を産める程体が発達していないということで、モーリス家のメイドたちにも白羽の矢が当たったらしい。


「山田様・・・・」

 コトが終って直ぐにソノマが消えそうな小さな声で話し掛けて来た。

「今から私が言う事は他言無用でございます。他の勇者様にも言わないで下さい」

 そう言って、俺と自分に上掛け布団を頭からひっ被せた。


 ソノマが何かを一生懸命伝えようとしているのだが、俺としはチョーカーを使って命令され無理矢理関係を結ばされている事もあり、夜、俺を訪ねて来る全ての女性は敵というスタンスだ。

 だから、何を話し掛けられても聞く気にはならないのだ。


「勇者様召喚は振り子のせいではございません。魔法陣を組んで魔術院の職員たちが貯め込んだ魔石や少ない魔力を使って呼び寄せるのです」


 聞く気がなかったのに、ソノマの爆弾発言を聞き、俺は一瞬固まってしまった。

 何と言った?

 聞き間違いか?


「勇者様召喚は勇者様の体を乗っ取る為に、人為的に召喚を行っています。勇者様に紐づけられた貴族家の息子たちは勇者の体を下げ渡される事を国から約束されています」

「何だと!」

「シー。シー。小声でお願いします。大きな声を出すと、部屋の外に居る者に聞かれてしまいます」


 俺は今まで気づかなかったが、女たちが俺の寝室を訪ねてきている時、扉の外でモーリス家の者が聞き耳を立てているらしい。

「勇者の体はこちらの世界に来る時に作り替えられ、常人にはない程の優位性とスキルを授かります。こちらの人間と比べれば神の如き人物となります。それを横から掻っ攫い、自家のモノとするのです。勇者の体が乗っ取られると、乗っ取った者の髪の色に変わります。外見ではそれしか見わけがつきません」


 乃木坂!

 アイツの髪は受入貴族家子息のハーミットの髪の色に変わっていた。

 それ以来、訓練場には来ていない。


「勇者の体を乗っ取ると、貴族の子息の体は死に絶えます。そして乗っ取った勇者の体からは生殖機能が無くなってしまいます。行為は出来ます。でも、子供をもうける事はできなくなるのです。だから、普通は40歳くらいの勇者を召喚します。何故なら、勇者の体を乗っ取るには貴族側も勇者と同じくらいの年齢でなければ上手く乗っ取れないからです。なので、既に子供をもうけて後継ぎの心配のない40歳くらいの貴族が乗っ取りを希望しますので、勇者も大体そのくらいの年齢を狙います。しかし、今回は何故か召喚を失敗した様で、召喚された勇者が若かったし、数名の勇者は亡くなった形でこの世界に来られました。今回、乗っ取りを希望する子息はまず自分の子供を作る事になりました。後継ぎが出来てから勇者の体を乗っ取るために、今回は乗っ取りまでかなり時間がある様です。その間、勇者にはたくさんの女を宛がい、生まれてくる子供はすぐに隷属の首輪を嵌め、その貴族家の奴隷にする予定です。尋常ではない力を持つ子供たちなので、数多くの勇者の子供を抱える家は繁栄します」


 ソノマの爆弾発言に俺は直ぐには反応する事が出来なかった。

 あの召喚の時に見た荷馬車の足は、クラスメイトだったのかっ!

 振り子のせいじゃなく、意図をもって召喚されたのかっ!

 頭の中がぐしゃぐしゃだ。今はまともに考えられないっ。


「コトが終ったのに、長々とこの部屋に居たら、疑われてしまうので、そろそろ行きます」

 そう言って、俺が引き止めるのを無視して、ソノマは俺の部屋から出て行った。


 だからどの女も朝まではこの部屋に居なかったのか。

 無理やり関係をもたらされていたので、今まではとっとと出て行ってくれる事に毎回安堵していたが、今はさっきの話しを掘り下げたいのに、それが出来ない事がもどかしい。

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